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第3章 [16]

 


 王宮でのお茶会から数週間。めざめの神殿での修行で、サティアナに変化が現れ始めた。

 コツコツと、練った霊気を出来るだけ維持し続けるという努力を重ねた結果、ある程度の長い時間でも意識をしっかりと保てるようになったのである。



「よし!みんな一旦やめて昼休憩に入りなさい。」



 アレックス先生が修行場でそう叫ぶまで、サティアナは途切れずに霊気を維持できる様になっていた。



(やった!今日は午前中とても上手に霊気を操れた!)


 内心そう思って少しニヤニヤしていたサティアナに、ミッシェル先生が声をかけた。



「サティアナ。良く出来ていたわね。あれを確実にできるように成れば、霊力と呼ぶ事が出来るでしょうから、もう一息ですね。頑張りましょう。」



「はい、今日はとても調子が良いみたいです。疲れ方も違います。」



「それは貴女の努力の賜物です。少しずつ何かを掴んでいるのですよ。この調子で頑張りなさい。」



「ありがとうございます!」



「では、休憩しましょう。しっかりご飯を食べなさい。」



「はい!あぁ、おなかが空いたなぁ~。」


 ふふふ、とミッシェル先生が微笑んだ。

 ミッシェル先生、笑うと可愛らしいのよね、とミッシェル先生の控えめな笑顔を見てサティアナは思った。




 サティアナ達ビッグスタークラスの生徒は、普段は騎士養成学部と魔法師養成学部の生徒と教員が使う別食堂と呼ばれる食堂で昼食を取る。

 この食堂は、以前サティアナ達とソフィアナ達が軽い会食をした普通学部の大食堂とは違い、戦闘訓練などをして制服や靴が汚れた生徒たちが入室しても良いように、床は石畳、食卓と椅子も丸洗い出来る簡素な木製になっている。もちろん、食堂を使う側の生徒や教員達も最低限の身なりは整えるのではあるが、それでもやはり汚れるものなのであった。

 大食堂とはメニューも少し異なり、麺類や軽食が大食堂よりも豊富である。加えて、丼ものの種類も豊富。その代わりお茶などの飲み物は用意される種類がない。お茶か水、それだけ。

 デザートなどももちろんない。パンか炊飯か麺。胃袋が満たされてチカラが湧くものが在ればそれで良いのである。




「あ〜おなかすいたなあ!」「あ〜ハラがすいたなあ!」


 ナギアとエイデンがほぼ重唱する様に声を上げた。

 ふたりはお互いに顔を見合わせ、その後エイデンはニヤリとし、ナギアはアハハと笑った。



「ナギアは何にするんだ?」



「わたしはねぇ、麺が良いかな~。エイデンは?」



「俺か〜、やっぱり豚丼だろう!肉は裏切らない!」



「いつも肉じゃん。野菜も食べなきゃダメだよぅ~。」



「うっ、、野菜は家で食べさせられるからイイんだよっ!ここでは食べないんだ!」



「ふぅ〜ん。」



「ナギアこそ、いつも麺ばかりだろう。肉を食え肉を!」



「お肉はさ、食べ過ぎるとわたしお腹の調子崩しちゃうのよね。ほどほどがいいのさ。」



「かわいそうな奴だな、お前。」




 そんな二人のやりとりはクラスの皆を笑顔にする。



(このクラスが仲良くいられるのはホント、この二人のおかげだよね。)


 サティアナはナギアとエイデンに心からの感謝を、心の中で捧げたのだった。





 昼食を食べ終え、めざめの神殿に戻ったサティアナ達。

 神殿の外扉付近にはちょっとした休憩場所があり、そこで休むことにした。


 この休憩場所はサティアナ達が入学してからすぐに急ごしらえで整えられたものであり、シャルロッテがビッグスターホルダーとして入学したために作られとされている。

 生徒として教師が来る前に待機しているのは当然であるが、王女を立ちっぱなしで持たせるのは心苦しいと二人の教師からアカデミー側に相談があり、その結果作られた場所なのであった。

 当初はシャルロッテが休憩するくらいの広さで作る予定であったが、その話題が王宮内でシャルロッテの耳に届くと、シャルロッテが父親である国王にお願いし、10人ほどが休める場所へと予定変更され、すぐに工事が始まったのだった。

 休憩場所はあっという間に出来上がり、二人の教師が心苦しい思いをする事も無くなった。


 この休憩場所が出来たために、王立アカデミーに所属している全てのビッグスタークラスの生徒が、食後のひと休みを邪魔されない場所で過ごすという有り難い恩恵を授かる事が出来たのは言うまでもない。


 そんな生徒達から人知れず感謝されるシャルロッテであるが、そんなシャルロッテもまた、自分の護衛騎士であるガイ・プーリーがひと息いれる場所を彼女自身はからずも作れたことに、人知れず感謝しているのであった。


 少しお茶目な心優しき王女と忠誠心が深く真面目な性格の護衛騎士。お互いに微塵も面に出さないが、お互いを思いやる主従関係なのであった。




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