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第3章 [12]

 



「――では、デュアルホルダーが生まれたということは、厄災が近いと?」



「はい。我が神様の仰ることには、そうなります。」



 サティアナに対するいくつかの質問を経て、お茶の席はデュアルホルダーの存在意義などの話になっていた。



「厄災っていうのは、やっぱり魔物なんだよね?」



「スターホルダーの異能力(チカラ)と言うのはそもそも魔物に対して使うものなのだから、魔物と考えるべきでしょうね。」



「……あの、お母様。お母様は……人が魔物になった者、と言うのは聞いたことがありますでしょうか?」



「人が魔物化……魔人と言えるかしら……。古文書などの文献では目にしたことがありますが、近代では聞いたことがありません。陛下ならば聞いたことがあるかも知れません。今晩にでもお話しさせていただきましょう。」



「…私も、その可能性は我が神様から伺ったことが無かったので、機会があれば聞いてみましょう。」



「であれば、やはりわたくし達は修行を頑張らねばなりませんね。サティアナ、スターホルダーに加護を与える神について貴女の神様から何か教えられていますか?」



「そうですね……どの神というか、おそらく全ての神が星印(スター)を贈る可能性はあるのだと思います。ですがどの神が誰に加護を与えたのかは、我が神様も分からないとの事でした。が、唯一、シャルロッテ殿下の事だけは伺っております。」



「それはどの様な神なのです?」



「…創造神であると。」



「「「!」」」




「創造神は神々の中でもその頂点にあらせられる神です。それゆえ我が神様もシャルロッテ様に付けられた御印が特別なものである、つまり創造神のものであるとお分かりになられたと仰せでした。」



「…そうなのですね。」



「…そして我が神様はおっしゃいました。厄災が現れるまで、シャルロッテ様を御守りする様にと。それは、何をおいても優先する様にと。それほど重要な役どころなのでしょう、シャルロッテ殿下は。ですから私だけではなく、エミリー、ナギアにもそれを念頭にお願いしたく思うのです。」



「ええ、わかったわ。」

「うん、まかせて!」



「………それは、ありがたいけれど恐れ多いですわね。わたくしに一体どの様な異能力(ちから)が授けられているのか…。まだ霊気さえままならないというのに。」



「……ねえシャルロッテ、貴女がたいへんな努力家であるのは誰よりもこの母が一番解っています。貴女ならきっと大丈夫よ。今まで通り焦らず努力なさいな。」



「はい、お母様。」



「みなさんも、どうか娘をよろしく頼みますね。それから貴女達の成長も、わたくしは信じて疑いませんからね。それぞれが目指すべき、立派な騎士にお成りなさい。」



「御言葉、ありがたき幸せにございます。」

「頑張ります!」

「必ずや殿下を御守りいたします。」



 そして予定の時間が来て、お茶会はお開きとなったのだった。






「結局、サティアナから霊気のコツを教われなかったなー。」



「休み明けに教われば良いじゃない。それにこう言った精神世界の問題は、自分で正解を出さなきゃ意味は無いのよ?」



「それはそうだね。んー、でもコツも聞きたい!」


「そうね、今度修行場で一緒にやってみようか。」


「うんうん、きっとシャルロッテ様も喜ぶよ!」


「そうね、みんなでやってみましょう。」



 帰り道、サティアナ達3人は街を歩きながら主に食べる物を買って、途中の広場で胃袋を満たした。


「緊張で飲み物以外、大して口に入れられなかったわ。」



「そう?あの茶色いケーキは美味しかったなあ!!」



「ナギアったらいつの間にかあの一番美味しそうなケーキ、食べていたよね!私はお茶がとても美味しかったから、どこの茶葉か聞いておけば良かったな。」



「そう言えば、魔法の訓練場には明日行くの?」

 思いついたようにナギアが言った。



「うーん、明日でもあさってでもいいけど。エミリーはどう?」

 サティアナがエミリーの回答を待つ。



「そうね。明日は神殿での修行が無いから、まずは行くなら明日がいいと思うわ。」

 エミリーが答えた。



「了解!では、明日都合のつく人達で行くことにしよう。」




 サティアナがそう結論づけ、お腹も満たされた3人は広場を後にした。

 大通りを、それぞれの帰路への分岐点まで一緒に歩きながら向かう。


 ナギアにサヨナラし、エミリーにサヨナラし、最後に残されたサティアナは、美味しそうな菓子屋を見つけ、屋敷の者達にお土産を買うことにした。



(リリーが好きそうなお店だなぁ~)



 そんな事を思いながら店の中に入ると、そこで見知った顔を見つける。




「噂をすれば!」



「…え?あ、サティアナ様!もうお茶会はお開きしたのですね?」



「ええ、それで帰り道に可愛らしいお店を見つけたから入ってみたら…」



「私が居たと。」



「しかも、リリーが好きそうなお店だなって思って入ってみたんだよ!うふふ!」



「まあ、しっかりその通りでしたね!」



「私もお店に入ったらリリーが居たから、さすがに驚いたけれどね!それで、リリーのおすすめのお菓子はどれかな?」



「サティ様が好きそうなお菓子なら、この辺りでしょうか?」



「むむむ…確かに、私が好みそうなお菓子ばかりだね!さすがはリリー、しっかりお見通しだ。」



「サティ様の事ならばなんなりとお申し付け下さいませ?」

 鼻高々に自分の胸を拳でトンと突くリリーを見て、自分の居場所に帰って来たのだと安心するサティアナであった。



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