表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/72

第2章 [17]

 

 ソフィアナにお茶の対応をしてもらうことにして、サティアナは一番近い書棚から順に見て回り、好みの図鑑を見つけることにした。


「ほんと、いろんな本があるなぁ…」


 サティアナはハシゴや足掛を起用に使って上の段から順に書物を一覧していく。スカートではなくいつも通りのパンツスタイルなので出来る事であった。

 図鑑以外であっても、気になった背表紙の本を取り出してパラパラとめくってはもとに戻す。

 いくつか良さそうな図鑑に目星を付け、一度席に戻ることにした。



「おかえりなさいませ。冷めてしまいますわよ、姉様。」


 先にお茶をいただきながらソフィアナがチクリとする。


「ごめんごめん。すっかり夢中になってしまったよ。」


「それで、良い物は見つかったのですか?」


「うん、いくつか目星は付けたのだけど、迷ってるんだよ。」


「お母様のお名前で予約してくださっているのですし、欲しい物があれば恐らく今日だけはいくつでもお持ち帰りできますわよ?」


「ううん、いいの。少しずつ集めるのが楽しいから、たくさんは必要ないんだ。新訂の魔物図鑑は買おうと思ってるけど、あとは悩み中だよ。」



 ソフィアナがいれてくれたお茶を鼻先に持ってくると何とも良い香りがし、サティアナはスーっと深呼吸してそれを愉しんだ。



「良い香りですわよね。様々なハーブをブレンドしたお店自慢らしいですわよ?」


「これ、好きだなー!とっても美味しい。お土産にできないのかな?…そうだ、ソフィーも本見てくる?私ここに残ってるよ?」


「いえ、わたくしの今日のお目当てはこの店の食事と姉様ですからお気になさらずとも大丈夫ですわ。本は食後に姉様と見て回るつもりですの。」


「お目当てって……。まったく、ソフィーは本当に私のことが好きだね。ふふふ、ありがとう。私も大好きだよ。」



 姉をお目当てのひとつに指定する妹であるが、そんな彼女に苦笑いしながらもサティアナは感謝の意を示した。



「いいえ。姉様が素晴らしすぎてわたくしの姉離れが全く進まないことは少々いけない事だとわたくし百も承知なのです。ここはお叱りになっても良いところなのですが、そーゆうところですのよ、姉様!」


 照れ隠しに自虐を入れるところも可愛らしい妹であるが、褒められているような叱られているような複雑な気持ちになるサティアナであった。


 近くの店員を呼び食べたいコースのメニューをそれぞれ伝え、店員が去ると、サティアナはソフィアナに質問した。


「あ、ねえ。この機会にソフィーに聞きたいことあるんだった。聞いてもいい?」


「なんです?お答えできる事ならば。」


「うん。ソフィーがね、私以外に良いなと思う方は誰なのかな?前に良いと思う人はもう婚約してるーとか言ってたじゃない?私もその方を拝見してみたいなって。」


「え!な、なにを急に!」


「良いじゃない。その方はなんてお名前なの?私の知っている人?」


「……い、いま姉様に申し上げるのは恥ずかしくてとても言えませんし、後々恥ずかしい思いをするのも嫌なので言いません!はやく他の質問に変えてくださいませ!」


「えぇー、…つれないなあソフィーったら。別に茶化したりしないのに!…じゃあー、そうね。ソフィーは年上が好みだから、私のクラスメイトはきっともう全員見知っているよね?」


「え?ええ、それはもう。姉様の周りにいらっしゃる方々の事ですから見知っていますが、それが?」


「あの中なら誰が好みなのかなって。」


 ニヤニヤしながら質問するサティアナである。


「!!―――姉様ったら、完全に茶化そうとしているではないですか!もう!!……でしたら、でしたら姉様はどうなのですか?」


「え?」


「姉様の好みを教えてくださったら、わたくしもお答えいたしますわ!」


「ええー?!私〜?……そうだなぁ……。うん、オリバー・カットはなかなかイケメンだよね!でも何となく気難しいような印象があって、でもまだ親しくないからちゃんとした性格がわからないんだよね。だから総合的な判断はまだ出来ないなぁ。……あとはやっぱりシャルロッテ殿下かな。とにかく全てが完璧な御方だよね!慈愛に満ちておられて高潔であられる。その美しさも相まって、まるで女神様のようだもの。あの方を護衛できるガイ殿が羨ましいくらいだよ。」


「でしたら。わたくしも僭越ながらシャルロッテ殿下を推させていただきますわ。女神様とおっしゃる姉様のご意見に激しく同意いたしますわ!…オリバー・カット様も素敵な殿方ですけれど、ベンジャミン・ガンタップ様も素朴で優しげな方でしたわ。」


「あ〜、ソフィーは彼みたいな男性が良いわけだね。ふんふん。確かにベンジャミン・ガンタップは素朴だ。いつもニコニコしていて少し気弱なところがあるけど私もあの子の雰囲気は嫌いじゃないよ。背も高いしね!それに、馬に乗るのも馬を扱うのも上手だったよ。」


「ガンタップ領は酪農が盛んな丘陵地帯ですものね。馬の扱いに長けた殿方は人気が高いのですわ。それでなくてもビッグスタークラスにいらっしゃるだけで大人気ですけれどね。他のクラスメイトの方はどの様な方々ですの?」


「エイデン・クエンチは物怖じしないし頭の回転が早くて男子たちの中心にいる様な子だね。話もうまいよ。授業でもたまに私に絡んできたりする。ホセ・ツイストはがっちりしてて体幹が強くてとても姿勢が良くて、いつも同じ表情をしていて寡黙だね。でも彼にとって何か嫌な事があると眉毛がピクって動くんだよ!少し前に発見したの。エミリー・スパイラルは口調が厳しいけれどそれは照れてるだけで、性格は優しく世話焼きかな。それに彼女はすごく物知りだよ。ナギア・レンジはとにかく明るい楽天家!あまり深く考えない感覚派だけど、それはこちらで気を付けてあげれば彼女の底抜けの明るさに周りが救われることもあると思うな。あと、彼女は武器の扱いと身体の使い方が上手でとても参考になる。」


「うふふ。姉様の説明はとてもわかり易いですわ。皆様とも仲良くやれているようですね。」


「ええ、まだ始まったばかりだから皆のうわべの部分しか分からないんだけどね。女子と男子はまだそれほどでもないのだけれど、男子同士・女子同士は仲良くなってきていると思うよ。」


「ふふ、姉様が屋敷にお友達をお連れくださる日が来るのが楽しみですわ。その時はわたくしにもご挨拶させてくださいね!」


「うん、そうだね。私も、ソフィーがお友達を連れて来てくれたら是非挨拶させてほしいな。」


「ええ、機会があればお願いいたしますね。」


 綺麗な余所行きの笑顔で答えるソフィアナを見て、その機会は無さそうだなと察するサティアナであった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ