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第2章 [13]

 


「じゃあ、さっき自分がした事を順番に言っていくけれど、感覚的な部分が多いからうまく伝えられるかはわからない。その上で聞いてね。」






 そうして、クラスの全員を前にして、サティアナは先ほどのやり方を説明した。


 守護神様との接触に至る前までの事を思い出しながら懸命に伝えたつもりだったが、やはり充分には伝わらなかった様子であった。






 サティアナの説明を受けて、もう一度それぞれ訓練する時間を取ったが、やはり霊気を感じることが出来た生徒はいなかった。それはサティアナも同じであった。






「最初は皆そうさ。我々も、何度も訓練を繰り返してコツを掴んだんだ。一日一日の積み重ねが大事なんだ。さあ、今日のところは切り上げて、また明日頑張ろう!」






 レイズ先生はそう言って生徒たちを励まし、全員でめざめの神殿を退出したのだった。






 教室に戻り、次の日からの時間割などを確認してその日は下校時刻となった。




 サティアナはシャルロッテ殿下を馬車まで送り届け、そのあとひとりで考え事をしようと、構内の開放されている屋外修練場まで来た。修練場では熱心な生徒達がすでに各々修練をしていた。




 サティアナは人のいない適当な場所を陣取り、体術の稽古型を決めながら頭の中を整理し始めた。守護神様から言われた事を誰にどうやって伝えたら良いかを考える。




(まず、相談させていただく相手だけれど、やっぱり父上かな……父上はいつまでこちらに滞在なさるんだっけ?それも踏まえてやっぱり最初は父上に相談するのが良いのかな……。)




 サティアナの型稽古はしなやかで動静がしっかりして華があるため、修練場でとても目立っていた。本人はそんなことには気が付かず、体術の型稽古を終えると続けて剣技の型稽古に入った。


 剣を抜き、最初の型に構える。






(どこまで話すか、か……。相談させていただく相手が父上であるなら、守護神様の話の内容を全てお話しさせてもらっても良さそうだよね。その上で陛下に申し上げる内容はお任せするのが良いのかも……。うん、そうしよう!困ったときの父上頼りということで!)






 サティアナは身体を動かしているうちに頭の中が整理でき、自分の父親に話すのだから自分らしく正直に行こうと決意することが出来たのだった。






 モヤモヤしたものが晴れたサティアナは、勢いに乗って剣技の型、後半の舞を舞う。それは周りの視線を釘付けにするほど素晴らしいものであった。




 剣舞最後の姿勢を決めた時、サティアナの周囲には人が集まっていて、おぉーという歓声が起きた。




 剣舞の途中から、自分の周りに人が集まって来てしまっているなと思っていたサティアナであったが、舞が終わると一礼し、皆の歓声に応えた。






「君は新入生かい?」




 一人の男子生徒に質問されて、





「はい、あの、皆様、ありがとうございました!」




 と再び一礼すると、その場から逃げる様に駆け出したのだった。




(あまり目立つのも良くないのに、目立ってしまった!)






 サティアナは正門近くまで駆け着くと、少し早足でアカデミーの敷地を脱出し、少し歩いた所で馬車を拾って居住区の近くまで乗せてもらうことにした。






 そのままアンハードゥンド別邸に帰宅したサティアナは、両親の帰宅時間を確認し、それまではラウンジでゆっくりと過ごしたのだった。






 ―――――――――――








 両親が外から戻ってきた報告を受け玄関まで出迎えに行ったサティアナは、そこで父親に折り入って話があると切り出した。






「お帰りなさい、父上、母上。それであの、少々お時間をいただけないでしょうか?緊急かつ重要な相談です。」






 サティアナがそんな風に切り出すのは珍しかったので、両親は目を丸くしてお互いの顔を見合わせたが、すぐにマティアスが答えた。






「わかったよ、サティアナ。しかし今日私はこのあと陛下と王宮で会食なのだ。帰ってからでも良いかい?」






「父上がこれから陛下に拝謁されるのであれば、最高です。王家も関わる話なのでぜひ今からお話させてください!」








「なに?!…それはビッグスターが関わるのか?……わかった、今から時間を取ろう。ルイーズ、君には書記を頼めるか?」






「もちろんですわ。」






「では私達の部屋に行こうか。ヨハン、お茶の用意を頼むよ。」






 かしこまりました、と、ヨハンが一礼した。






 両親に従い彼らの部屋へ入るとその後すぐにヨハンがお茶の準備を始め、ヨハン退出後サティアナは両親の向かいに座り、娘からの相談が始まる。






「本日、めざめの神殿で起きた出来事なのですが―――」






 霊気を感じる訓練中に守護神様とお会いしたこと、守護神様がおっしゃっていた創造神様のこと、シャルロッテ王女に関すること、王女を護る様にと主から仰せつかったこと。あの時自分の身に起きた内容をそのまま全てサティアナはマティアスに話した。






「―――お話は以上です。これを父上にお預けいたしとうございます。」






「うむ…。陛下には……まあ全て話すことになるであろうな。私もそろそろ地元に帰らなければならない。お前に話を聞いたのが今で良かった。この件は早々に陛下のお耳にお入れしなければな!」






「はい、よろしくお願いいたします。」






「貴方様、わたくしはこちらを貴方様がお出かけまでに清書いたしますので。」






「ああ、いつもありがとう。よろしく頼むよ。」




 そう言ってマティアスがルイーズをそっと抱きしめると、ルイーズは満足げに机に向かった。






「さてサティアナ、もう少し聞かせてほしいことがあるぞ。」



「はい。」



「今の話を誰か他の者に話したか?」



「いえ、今話した内容は、父上と母上に聞いてもらったのが初めてです。」



「わかった。それから、シャルロッテ殿下をお護りする役目であるが、守護神様から期限を区切られているのかな?」



「いえ、おそらくですが、守護神様が私にその役目を解くと仰せになるまでは、私が生きている限りかと思います。」



「なるほどな…。話を聞く限り何やら良からぬ事が起こりそうであるな…。」



「はい。私にもそう思わせていただきました。父上、差し出がましい意見と承知の上で申し上げますが、領内の軍備増強も考えた方が良いかと思います。」



「そうだな。そのあたりも陛下とご相談させていただこう。お前はいただいた役目を頑張りなさい。ここからは大人の領分だ。」



「はい、いつもご心配おかけして申し訳ありません。ではよろしくお願いいたします。」



 そう言ってサティアナは両親の部屋を退出したのだった。





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