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第2章 [2]

 



「おはようございます、父上、母上。」



「おはようサティアナ。制服が良く似合っているじゃないか。」



「ありがとうございます。そう言っていただけると、身が引き締まりますね。」



「おはようございます、サティアナ。今日は髪を可愛くしてもらったのね?」



「ええ。。今日は式典とクラスでの顔合わせだけということなので、リリーが張り切ってしまいまして。。ははは」



「良いのではないかしら。クラスでの初顔合わせなのだから、気合を入れないと!さすがはリリーですわ。」





「おはようござい……まあ姉様!とっても素敵ですわ!髪をおろしてくださったのね!今日の姉様はきっと皆様の視線を釘付けなさいますわ〜。どうしましょう、私、姉様の隣を歩く自信がありませんわ。」



「おはようソフィアナ。何を言うか。今日のお前だって充分に素敵だぞ~。私もこのような娘達をもって鼻が高いわ。はっはっは!」



「そうよソフィアナ、貴女もとっても綺麗よ。自信をお持ちなさい。」



「そうだよソフィアナ、私なんてそんな大したものじゃないんだから。それより貴女のほうがとても綺麗だよ。今日は会場まで案内よろしくね。」




「サティ姉様、ソフィー姉様、お二人ともとても素敵ですよ!」




 朝食前から家族で誉め讃えあって少し気味が悪いが、アンハードゥンド辺境伯本家の家族は今日もいつもと変わらず仲が良かった。今日は長女サティアナの入学式である。次女ソフィアナにとっては進級式だ。



 今朝は父母・サティアナ・ソフィアナの4人で馬車に乗り、王立アカデミーを訪れる予定である。アカデミーの正門を抜け少し進むと大きな停車場があり、そこで馬車を降りる。馬車を降りた後、学生達は大講堂前の広場でそれぞれ受付をする。保護者達は式の準備が整うまで待合所である中講堂で待機するのだ。


 今日はリアムは別邸で留守番である。リアムの護衛としてゼフラが別邸にて待機となる。




 朝食後、自室で少し休んでからサティアナは出かける用意を始めた。

 靴を室内履きから外履きに変える。ビッグスター養成修養クラスはロングブーツ指定である。

 帰り道はソフィアナと二人で歩いて帰るので、ハンカチの他にお財布も持つ。両手が自由になるようにいつもの腰帯鞄を身に着けた。それと、大切な剣も。騎士養成部は帯剣が基本なのだ。それは入学式から適用される様で、入学式要項にも記載されていた。



皮胴衣(コレ)……今日ばっかりは必要なかったかなぁ?……まあいっか。帰りは歩きだし、着てれば安心だもんね。」



 サティアナは、制服の下に身に着けた彼女専用の皮胴衣を脱ごうか少しばかり考え、結局そのままにした。

 アンハードゥンド辺境伯領では毎日身に着けていたものなので、王都でも同じ様に防具代わりにしているのだ。

 アカデミー入学前に同じ物を何着か仕立て揃えたほどであった。

 そうして身支度が済むとサティアナはラウンジに移動し、ソファーで寛いだ。



 出発時間が近くなるとソフィアナも来て、今日の式典の様子などをサティアナに話してくれた。ソフィアナにとっては何度目かの入学・進級式典である。慣れたものだ。

 入学・進級式典では、国王陛下来賓のもと、学長、各部長など各界でも高名な人物が御登壇されるが、とりわけ国王陛下がおわすので警備にも万全を期す。よって王都防衛団や近衛騎士団が見られる貴重な機会でもある。さらには新入生の保護者である貴族や商家、その他有名人などが一堂に会するとにかく華やかな式典なのである。


 そう説明するソフィアナの息も荒くなっており、彼女も心待ちにしている様子が伺えた。

 しかしサティアナにとって今日という日は、妹が嬉々として迎える式典よりも、サティアナの人生で初めての「学校」という、彼女にとっては未知の物事に向かう緊張感でいっぱいなのであった。



「ねえソフィー、学校の友だちってどうやって作るの?」



「え?……えぇ、そうですわね………。自然と?御出来になるかと思いますが……姉様でしたらすぐにでも。」



「ええ~?それじゃ答えになってないじゃない。ソフィーはどうやって作ったの?」



「わたくしは―――そうですわね、まずは少しばかり観察いたしました。自分と気が合いそうな方がいないかしらと。あとは、話しかけて下さった方のお話を良く聞くようにいたしましたわ。…まぁでも結局はそのような方々とはいま一緒に行動はしておりませんけれど。姉様、お友達というのはすぐに出来るものではありませんわ。知人を経て友人になるのです。それに、わたくしのやり方では姉様はお友達を作れないと思いますわ。わたくしと姉様はまるで違うのですから。姉様はそのままで、姉様らしさを大切になさいませ。」



「私らしさ、か。父上と同じこと言われたよ。うん……そうだよね!心配したって仕方ないか。直感を大事に、段々と、だね。ありがとソフィー。どっちがお姉さんか分からないね!ははは」



 そんな話をしていると、ラウンジにゼフラが現れた。

 ゼフラが現れたということは、出発の準備が整ったということである。

 ソフィアナに続いてサティアナもソファーから離れゼフラの方へ向かう。



「お嬢様方、お時間です。どちら様もとても素敵ですよ。道中お気をつけ下さいますよう。」




 ゼフラがわざとらしく胸に手を当て敬語を使い頭を下げる。そして娘二人が通り過ぎる頃合いを見計らって頭を上げ、振り返ったサティアナに向かってニヤリと片方の眉を上げた。



 サティアナはゼフラにあっかんべーをした後、貴族令嬢らしくすまし顔でにっこりと微笑み、行ってまいります、と胸に手を当て礼をして玄関を出た。




「やるな、お嬢。。。」




 ポリポリと眉を掻くゼフラを残して、サティアナとソフィアナは馬車に乗り込み、その後すぐにマティアスとルイーズも合流し、馬車は出発したのだった。








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