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第1章 [24]




 食堂に入ると、叔父上夫妻と息子のレオン、あとお師匠様が到着していた。


 お師匠様に軽く挨拶して、叔父上と叔母上のもとに行った。




「叔父上、叔母上、明けましておめでとうございます。叔母上お久しぶりです。お元気にされていましたか?レオンも、こんにちは。」


 4才になったレオンが、私の姿を見た途端パァーっと満面の笑顔で私に抱っこをせがんで来る。私はレオンを抱き上げた。



「おおねえたま」



 と言って私の顔を両手で挟むと頬ずりしてきた。なんだか甘い香りがする。


 そこへ母上とソフィーがお茶の用意を持って来たので、レオンを抱き上げたままソフィーの所へ行く。



「ちいねえたま」



 と、私に抱かれたまま今度はソフィーに頬ずりするレオン。

 ソフィーも笑顔で頬ずりされていた。


 ふたりでレオンを撫でたり触ったりして可愛がっていると、母上がいらしてレオンを抱っこなさった。レオンは母上の大きくて柔らかな胸が好きなようだ。小さくても男子だな、と私とソフィーは顔を見合わせ笑った。



 テルマ叔母上様は、サラサラの黒髪に白く透き通る肌が際立つ外見。目鼻立ちは派手ではないがとても整っており美しい。背もそれほど高くなく、私は既に彼女と目線が並んでいる。もともと痩せ型で可憐な印象だがレオンを出産なさってからは女性らしい体型になられて、何と言うか色気が増した気がする。叔父上も放ってはおけないだろうな。



 とても美しい私の母上と並んでも、見劣りしないのが素晴らしい。御二方が並ぶ姿は拝みたくなる程だと皆が口を揃える。こんなに美しいお二人が私の母上と叔母上だなんて、幸せだよね。

 そんなことを思いながら飲むお茶は、美味しかった。



 父上とリアムが登場して全員揃うと、少し早いけれど出掛けることになったみたいで、我々お留守番たちは玄関までお見送り。と言ってもすぐそこの城下町の広場だけどね。

 我がアンハードゥンド家は城下町クロムの元旦祭りに対して、酒や食べ物を供物として提供し、その開催に際してご挨拶をなされ、その際には城下町の上役や商人などと今年一年の無事を願いながら酒を飲み、街の人達と少し交流するのだ。

 それは代々引き継いできたこの屋敷と城下町との絆である。

 そうやってこの土地は長らく繁栄してきたのだ。とても重要なことである。だから城下町の人たちは皆優しく、活き活きとしているのだと、領主側の人間である私は思いたい。




 お見送りが済むと、今度は皆で応接広間に移動し男性陣の帰りを待ちながらのんびりと飲み食いしながら過ごすのだ。


 応接広間では、叔母上が趣味にしている鍵盤楽器を演奏し、それに合わせて母上が歌い、私とソフィーは踊った。レオンは叔母上の膝の上。


 ひと息入れたあと、次は私と母上で踊り、最後に私と叔母上で踊った。叔母上の代わりにソフィーが鍵盤を奏でた。





 ひと息入れたとき、私は露天風呂の話をしようと叔母上に話しかけた。




「叔母上。叔母上様方は今年もこちらにお泊まりですか?」



「ええ、お義姉様の御厚意で今年もお邪魔いたします。いつもありがとうございます、お義姉様。」



「わたくしも貴女とお酒を飲みながら夜遅くまで語らえる良い機会なのですよ、テルマ。わたくしも楽しみにしているのだから、お気になさらずにね!」



 ふふふ、と微笑み合うお二人は本当に絵になるなぁ。



「本当にお母様と叔母様はお似合いのお二人ですわね~」

 隣でソフィーもほぅとため息をついた。私と同じことを思ってたみたい。



「ええ。わたくしがもし殿方だったら、テルマを放ってはおけませんわ〜。わたくしならすぐに求婚いたします!だから、カーティス様は褒めてあげなければいけませんのよ?」




「わたくしも殿方であったならルイーズ様をなんとしても妻にしたく思ったことでしょう。こんなに慈愛に満ち溢れた美しい御方をわたくしは知りませんもの!」




「うふふ、御二方とも相思相愛でいらっしゃるのね。わたくしもどなたかのお嫁さんになったら、義理の姉妹とはお母様方の様な関係を作りたいですわ~、わたくしの憧れです。」



 それにはお互いに努力も必要ですよ、と母上はおっしゃって、叔母上もそれに頷いていらした。



 そして頃合いをみて私は話を続けた。


「であれば母上。私は今日この後、以前から母上に所望されていた露天風呂を作ろうかと思います。雪見風呂はいかがですか?今から作れば明日には入れますよ?」




 あら!と嬉しそうになさる母上。その隣で目を見開いている叔母上。



「サティ、それは良いことだわ!でもね、どれくらいの時間がかかるかしら?外は寒いわ。今日は火を焚けないから、貴女の体調が心配ですね?」




「母上。外で焚き火なら大丈夫でしょう?」




「そうね。外で焚き火なら咎められはしないわね。でも寒くて風邪でも引いたら王都に行けなくなってしまうわ。」




「大丈夫です、適度に体を暖めながら作りますから!」




「姉様、それなら私が焚き火をお造りいたしますわ!」



「ありがとうソフィー!頼むよ!」

 ソフィーは火属性の魔法が使えるのだ。これは嬉しい。




 日暮れまであと三刻ほど。規模から考えると、今から始めてギリギリ間に合うくらいかな?

 よし!じゃあやっちゃおう!



「では母上、私は今から裏庭で作業を始めます。場所は、以前に作った所でよろしいですよね?」



「ええ、そうね!くれぐれも無理はしては駄目よ?後でお茶を持って行きますからね。」



「わかりました!!では!!」



 そういうと私は着替えて裏庭に向かったのだった。










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