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第1章 [22]

 


 父上の後について行きながら、私は以前神殿に入った時のことを思い出していた。

 あの時は母上もヨハンもいて、夜だった。どこへ行くのかも分からず、ただ両親の後をついて行くだけだった。


 今は朝。あの時よりも私は成長した。少なからず、これから何をするのかは知っている。


 なのに何故かあの時よりも緊張している私がいた。

 あの荘厳な神殿の中に入るという想像が、私を緊張させているのだろうか。鳥肌が立つほどの凛とした空気が、今でも思い出せるから?



 神殿の扉が開く。父上に従い中に入った。



 神殿内の静けさと反する様に私の肌はザワザワと騒ぎ立てた。畏怖というのはこういった感覚なのか。



 唾を飲み込んでいると、父上が拝謁の仕方を教えてくださった。



 まず、靴を脱ぎ、敷物の上にあがる。

 上座まで行ったら、胡座をかいて座り、一度平伏する。

 2回柏手を打つ(これが守護神様の御前に参上した合図になるとのこと)。

 平伏して神様にご挨拶申し上げる。自分だけに聞こえるくらい小さな声で良いから言葉として口から出すこと。言い方に決まりはない。述べる内容は、自分の名前、初拝謁の謝辞、その他今後の抱負など。あとは守護神様の流れに身を任せれば良いらしい。

 挨拶が終わったらもう一回2回柏手を打ち、一度平伏して立ち上がる。

 脱いだ靴を履いたら終わりだ。



「そしてサティアナよ、守護神様の御名であるが、真ん中の社殿におわす御方、我が守護神様を()()()()()()様とおっしゃられる。トコアマツチ様は、我がアンハードゥンド家が代々お使いしている最高神格のうちの一柱の神様であられ、この世界が泥海だった太古より存在なされている神様である。天と地、陰と陽などの世界の均衡を司っておられる神様であられる。そして、その左右の社殿におわすのは、風神()()()()様と雷神()()()()様であられる。この二柱の神様はトコアマツチ様が御自らお造りになられた眷属神様である。ホンシー様は風を、レイジー様は雷をお使いになられる神様である。今の説明でわかったか?」




「……トコアマツチ様……ホンシー様……レイジー様……はい、御名はわかりました。」




「ではさっそく、ご拝謁させていただくとしようか。先ほど言った通りにやってみなさい。私はここから見守っているからね。」



 はい、と父上から視線を反らしてひとつ深呼吸し、先ほどの説明通り敷物に上がり上座まで行き平伏し、2回柏手を打った。


「我が守護神トコアマツチ様。眷属神風神ホンシー様雷神レイジー様。お初にお目にかかります、アンハードゥンド家、現守り人の長女、サティアナ・アンハードゥンドでございます。この度私も大人の仲間入りということで守護神トコアマツチ様へご拝謁の機会をいただくことが出来まして、まことに有り難うごさいます。私はこの後王都に――――」



(―――――待っておったぞ、我が子霊よ――――)



 え……?

 そのまま私は意識を失った。



 ―――――――――



 次に意識が戻ると、すぐにあの声がまた聞こえた。

 聞こえるというか、脳に直接入ってきた。


(――――待っておったのだぞ、お前が我に会いに来るのを。)



 えぇ?――――つ、つまり、あなた様は守護神様でございますと?

 ……えぇー!なんで?なんで私どうなってる?あ、目が開かない!っえ!なになに、てゆーか身体!身体どこ?なんだこれ!?どうなってるの、私!?



(――――落ち着け、我が子霊よ。お前は今、意識のみで我の側におるのだ。目も開かなければ身体も動かせまいよ。死んどらんから安心せい。)


 とりあえず、何度か深呼吸して頭の中を落ち着かせる。という感じの意識をしてみた。


「す、すみませんでした。取り乱しまして……」



(うむ。落ち着いたな。)



「はい……。状況はわかっておりませんが……。」



(良い。我がお前の魂をちと拝借したのだ。お前と話したくてな。すぐに戻すから少し聞け。)



「あ、はい……」



(良いかお前、お前の魂は我と契約をしておるのだ。だから何度姿を変えて生まれ変わろうとも我と繋がっておる。その証にお前は両手に星を付けておるのだ。両手に星を持つ者は皆そうじゃ。どこぞの神と繋がっておる者なのだ。我と契約しておるのはお前だけじゃがな。……いかん、余計なことを話したら時間が無くなった。また王都の神殿でな。我はいつでもお前と繋がっていることを忘れるでないぞ。これから生きる上で大切なことをお前の父に乞うてみよ。そして父にもらった言葉を己の信条にせよ。ではな。)



 あ、はい。……と言おうとしたらまた意識が無くなり、次に意識が戻ると、私は胡座をかいて平伏していた。


 今の出来事が信じられないまま、とりあえず柏手を2回打ち、退席して靴を履いた。



 父上の元に戻ると、父上が心配そうな顔で私を見ていた。私は、心ここに非ず、といった表情をしていたようだ。



「サティ、大丈夫か?少し意識を失っていたようだが?」



「はい、父上………なんと申し上げるのが良いかまだ整理がつかないのですが……守護神様とは無事に挨拶ができました。」



「ん?……そうか?――――では、食堂に行くとするか?」



「あ、はい。みんな待っているでしょうから。」




 そして私は父上とともに神殿を後にし、食堂へ、現実へ向かった。






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