第四話 午前三時の茶会
時は夕食の時となり
あの後色々大変だったよ。…え、何があったかって、自分でも言いたくないよ。それに、慰めに来てくれた先生のステータスも…
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塩塚杞紗 25歳 ランク:1
職業:指揮者
筋力:8 体力:12
防護:6 俊敏:15
魔力:462/462 知力:72
魔力適性:土属性魔法(+27) 風属性魔法(+27)
光属性魔法(+120)
技能:支援魔法[筋力上昇 体力上昇 防護上昇 俊敏上昇 魔力回復
火属性適性上昇 水属性適性上昇 土属性適性上昇
風属性適性上昇 光属性適性上昇]
妨害魔法[筋力低下 体力低下 防護低下 俊敏低下
火属性適性低下 水属性適性低下 土属性適性低下
風属性適性低下 光属性適性低下]
交響曲[第一]
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最初のステータス値だけだと僕以下だろう。しかし魔力からがチートすぎる。なんだよ、魔力:462/462。
勇者の約三倍はおかしいだろうがよ。おまけに知力が72って。一応勇者内だと二番目の高さらしい。ちなみに一位は僕だ。適性も何気に六属性のうち半分ある。何なら光属性でいえば天地君以上だ。技能なんて…もはや僕とは比較にすらなんない。というか、先生の数値って年齢以外の数値全部三の倍数じゃん。スゲー。
まあ、これを見てわかるよう、今の僕には仲間がいない。
「どうにかなんないかな。」
「どうにかって何が?」
「うっわ。…なんだ、大橋さんか。驚かさないでよ。」
「藤原君、そんなこと言ったって隣から物凄く落ち込んでいる人がいたら心配するよ。」
本当は嫌だけどこの人は味方だったわ。
「ありがとう、大橋さん。」
「そうよ藤原君、別に戦場の最前線に出て戦うことが戦争に活躍することだけじゃあないわよ。」
「大谷さんもありがとう。でも、大丈夫だよ。明日は朝から早いし僕はもう食べ終わったから部屋に戻るよ。」
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はあ、何が異世界の勇者だ。僕完全雑魚じゃん。やだな。
そんなことで悩んでいると、突然ドアにノック音が聞こえた。
こんな時間に誰だろう、大橋さんか大谷さんな。心配かけたかもしれないし。そう思って俺がドアを開けると…
「やっほ藤原君。元気ないね、どうしたの。」
なんと人格が変わったと思うほど態度が変わった国王が来たのだ。
「ちょっと紅茶とお菓子持ってきたから一緒に食べてくれんかな。」
「わっ、わかりました。どうぞお入りください。」
こうして僕は客室とはいえ、国王を自分の部屋に招いたのだ。
「いや、ここは窓際なおかげで外が見やすいな。最高だそ。」
「それで、なにが目的ですか国王陛下。」
「国王陛下はやめんか。カイトと呼べ。」
「では、カイト殿…」
「殿もなし。それにタメ口でな。」
「わかったよ。カイト…やっぱりタメ口で話すからせめて『さん』はつけさせて。」
「まあ及第点としよう。それより今日は用事があってきた。」
「ですから先ほどその用事が何か尋ねたじゃないですか。」
「そうだな。では藤原君、いや命斗、茶会をしよう。」
「はっ、はい?」
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「いや、このホントに紅茶はうまいな。」
「そうですね。」
国王と一緒に飲まなきゃな。あの後ホントに茶会を始めて、僕に向こうでの世界の生活を根掘り葉掘り聞いてきた。うまく振り回すのが超大変だったよ、マジで。
「それでは命斗、前置きはこれぐらいにしといて、本題に入ろう。」
いや、今までの前置きだったの。
「ステータスプレート見せて。」
「別に、いいですよ。」
そうやって国王に見せると…
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藤原命斗 15歳 ランク:1
職業:錬成士
筋力:15 体力:10
防護:15 俊敏:20
魔力:25/25 知力:300
魔力適性:皆無
技能:錬成 翻訳 明鏡止水
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いったい何がしたいんだと思ったが、なんか知力が前より100上がってんだけど。
「やっぱそうか。すまんな命斗。うちのメイドたちがお前に対する態度が冷たくなったんだな。」
「なぜそれを。」
「まあ、それを教えるのには知力の簡単な解釈を知ろう。知力はたぶん冷静さうんぬんかんぬんと言われたかもしれないけど、実はどれだけ精神攻撃されても耐性があるかで知力の大きさが変わるんだ。つまり知力が上がるのは精神的苦痛を感じてそれを耐えた時だけなんだ。」
「な、なるほど。」
そこまで拡大解釈というわけでもない。それなら確かに急激に知力が100もあがる説明ができる。でも疎外されたのはメイドだけじゃなくてクラスメイトからもなんだよな。
「これからは待遇改善を俺は目指すから、ほんとすまんな。」
「OK、国王の立場も大変なんだろ。ならカイトさんも知力すごいんじゃないのか。」
「それ分かっちゃう?じゃあ俺のステータスプレート見る?」
と言われてステータスプレートを懐から出した。
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カイト・K・フルエラ 27歳 ランク:25
職業:錬成士
筋力:60 体力:86
防護:90(+20古代遺物効果) 俊敏:74
魔力:120/120 知力:130
魔力適性:光属性(+20) 火属性(+20)
技能:錬成 翻訳 剣術 体術 フルエラ流護身術
話術[腹話術] 回復魔法[下位 中位]
状態異常耐性Lv.8(古代遺物効果)
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「あれどうしたんだ命斗、俺のステータスプレートを見て驚いているのか?」
「当然だよ。だってカイトさんが27歳だったんだなんて。」
「いや驚く場所おかしくない。」
「冗談だよ。実はカイトさんが錬成士だったこととステータス値が思っていたより高かったから驚いているんだよ。筋力は多少劣っているとはいえ他の値だけで見たら勇者の一人と言われても、俺より説得力あるステータスなんだから。」
「確かに言われてみれば。知力なんて現在次席の塩塚より上じゃん。」
「気づいてなかったのかよ。というかフルエラ護身術ってなんだよ。」
「代々フルエラ王国の国王が自分の息子にこれを教えているのさ。」
「あとこの古代遺物ってなんだ?」
「ああ、それは失われた技術で作られたもののことを指す。ちなみにこのステータスプレートもその一種だよ。それを発掘していわゆる装備として身に着けるんだ。」
「そうなんだ。」
この世界に装備の概念って一応あるんだ。
「あと伝えるの遅れたけど命斗、君明日…もう3時過ぎてるから今日か。にはこの国の錬成士を集めた集団、『錬成協会』の工房に来てもらうよ。あとこの国で錬成士って結構立場上の存在だからね。」
「そうなんだ。それなのにあの対応か…」
「まあそう落ち込むな。とりあえず明日は俺が迎えに来るからな。それとその時は護衛とかいるから今みたいにフレンドリーな雰囲気きださないでね。」
「了解。」
「じゃあ今日はこれで去るよ。またね。」
「ああ、じゃあな。」
こうして、国王との茶会は幕を閉じた。
国王カイトのイメージはとしてはカンナ感じです。
ONな時…若いけど仕事がしっかりできる優秀な若者
OFFな時…簡潔に言うとチャラ男。威厳のいの字すらない。この状態で初対面な人は普通に国王だとき ずかない。