第一話 異世界転移
「国王陛下、やはりもうこれ以上我々の兵士たちでは持ちませぬ。やはりあれを使うしかないのでは?」
「ふむ。本当は多くの人員を割いてしまい使いたくはないのだが…」
「教皇様も創造神様から『やはりあの手を使うべき』と神託が来たそうです。」
「神が言うのであれば仕方があるまい。今すぐ神域にて異世界の勇者を転移する準備を。」
「御意。」
こうして、異世界の勇者、藤原命斗たちは異世界に転移したのである。
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「我らの勇者様方、どうか我々を、ナイランドの人々を魔人から救ってください。」
まぶしい光が輝き終わると、灰色のローブを着た老人が僕らにそう告げた。その老人の周りには、また灰色の服を着た人が大勢いる。周りはまるで教会のような場所で、足元には、天地君から光が押し寄せてきた魔方陣と似たような模様の円があった。
おいおい、マジかよ。異世界転移しちゃったよ。オタクなら一度は体験したいことベスト3には入るイベント出ぞ、これ。
まあ、そもそもこの状況を冷静で聞いていられる奴なんて…あっ、天地君は冷静だ。さすがは勇者だ。
それはわかっても、なんで遠藤君は冷静なの?やっぱ君もオタクだよね。人の振り見て我が振り直せ、じゃないけど君もだよね。あっ、僕はオタクではないぞ。断じて違うぞ。勘違いするなよ。
そんなことはどうでもよくはないけど、どうでもいい。それより…
「ちょっとないやってるんですか、あなたたち。学生を昼間から意味の分かんない場所に連れていき、何がしたいんですか。」
言わんこっちゃない。彼女は俺たちの日本史の担当、塩塚杞紗。まだ新人教師ということもあり、生徒からは「シキ先生」なんて呼ばれている。生徒との触れ合いを大事にって、いつも昼食前に授業が日本史なら、必ず一緒に食べるんだよな、この人。まあ、そのせいで、異世界転移なんていう被害を受けているけどね。まあ要は熱血とまではいかないけど、生徒思いないい先生。橋本さんと同じで生活態度に文句を言わな出ればいい人のなのだが。ちなみに美人である。そのため、一度クラス内で、「彼って、シキ先生の性格を考えて、生活態度が悪ければ、かまってもらえるって考えているんじゃない。」なんて言われたのだ。まったく、心外だなー。こっちだって好きで徹夜してんじゃねーよ。
要は塩塚先生は生徒たちがいきなり変な場所に連れていかれて、めっちゃ怒っていると思う。
「大体このセットは何ですか、いったいどんなドラマの撮影をしているんですか。」
「少々落ち着いてください。おそらく幼くて冷静にこの状況を理解できぬのであろう。だかr…」
「誰がちびですって、許しませんよ。」
あっ、ちなみに先生はロリです。じゃなくて、まあやっぱりこうなるよな、普通。
急に光から目が覚めたら、自分たちが知らない場所って。普通に怖い。
「そっ、それはすまぬ。それより、やはり私たちの言うことが信じられんのか。まあ、仕方があるまい。ならば外へ出てみよう。」
そう、老人が告げると、僕たちは外に出た。
「うっ、噓でしょ、ここはどこなんですか。ちょっと、そこのおじさん説明しなさい。」
驚くのも当然だ。何せそこは富士山の頂上よりも高い山だったのだ。ちょっとこの展開は想像してなかった。
「ですから、先ほど言ったとおり、皆様を異世界から転移させたのです。」
「そっ、それは、本当ですね。嘘だったら、わっ、私は許しませんからね。それより、私たちを転移させた理由や、この国のことをしっかりと教えてもらいますからね。」
あれ、先生は思っていたより吞み込みが早いな。何なら話を進めているよ。だてに大人やってるわけじゃないんだな。
「そっ、それに、ちょっとここ高くて怖いですし。」
やっぱ前言撤回、先生はただの高所恐怖症だっわ。
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いろいろとあったが、とりあえず僕らは教会の隣に設立されている会議室でいろいろ説明させられた。扱いなれすぎだろ、こいつら。
あの老人、確か名前はボウズ・ミラー。名は体を表す、ではないが、ハ…髪がさみしいのである。神に祈っているけど、髪はないらしい。というか、教会なのに坊主ってどういうことなの。いろいろ情報多すぎだろ、このおっさん。一応この世界の教皇らしい。
そんなおじさんが言うには、この世界はまずナイランドというらしい。そして、そこには、人間族、亜人族、魔人族が生きているそうだ。この中でも人間族と魔人族は対立関係らしい。何度も戦争を起こしているらしく、人魔対戦なんて言われているらしい。1000年ぐらい続いているらしいが、ここ数年、魔人が突然強くなったらしい。それゆえ、今まで拮抗していた戦いが魔族側が優勢になったらしい。そこでピンチヒッターとして、僕たちが選ばれたらしい。まったく、いい迷惑だわ。
「我々から伝えることは以上です。何か質問はございますか?」
「あのー、やっぱ異世界ってことは魔法って使えますか?」
「適性なども関係しているが、使えることには使えるぞ。」
マジか、やったぜ!男なら誰しもが憧れる魔法が使えんのか。これを聞くとは、遠藤もたまには使えるな。
「他にはございませんか?」
「具体的に私たちにはどうしてほしいのですか。」
「それは、また明日話す。それよりほかにはないかな?」
ちっ、濁したなこれは絶対に戦場に行くな。たぶん、今日のうちに反対する人をなくしておいて、後から戦場で戦え、とかいうんだろうな。それよりこんな質問、冷静でいられない中すごいな。だれなんだ?…あっ、大谷紅葉だ。彼女は確か高橋さんとの幼馴染で、学校中では高橋さんと並ぶほどの美人なんて言われていたからな。高橋さんとは違ってクールで、少し周りより大人な感じがする。実際ポニテだし。ちなみに、陸上ではなく剣道だ。全国大会優勝候補になるぐらいだってさ。すごいよね。
でもこのままだと普通にまずい。みんなあとで困るぞ。…正直、この手はあんまり使いたくはないけど、そうしなければみんなのみが危ない。やっぱりあれしか。
「質問はもうこれでないかな、では皆様に協力するちょうい…」
「ナイランドから、僕たちの住んでいた地球に戻ることはできますか?」
そう、異世界に勇者を転移させたのはよいが元に戻れないなら、普通にやばいんだよな。
「それは今関係な…」
「濁さず、はっきり言ってください。いや、聞く必要もないですよね。帰れないんですよね。そうでしょ、ボウズさん。」
「そっ、それは本当ですか。でしたら我々も少し相談するの時間がいりますよ。」
よし、いい流れに持って行けた。先生が反応したおかげでみんなようやく理解してきたな、現実のやばさを。
俺たちはもう二度と故郷には帰れない。そうわかれば、少しは考えが変わるはずだ。…でもみんなやっぱり初めはショックだろうな。みんなを絶望の淵に追い込みたくないから言いたくなかったのに。まあ仕方がないか。これで無事に世界を救わずに…
「塩塚先生、それでも僕は、困っている人がいるのに見殺しにはできません。」
「天地君、気持ちはわかりますが…」
「先生、逆にもう地球に戻れないないなら、逆にいいじゃないですか。」
おいおい天地君、それは現実逃避じゃないのか。このままだとまずいぞ。みんなが賛同しちまう。
「はあ、まあ正道がそういうなら、私がつかないとまずいわね。」
「紅葉ちゃんが頑張るなら、私も頑張るよ。」
ほら、天地君の幼馴染二人がつられて協力するとか言ったらみんなが今度は賛同するぞ。
ほら、みんなやるぞー、とかって気合入っているぞ。終わったな。
「皆さん、現状を理解できているんですか。このままでは…」
「先生、あきらめよう。」
「ぐす、藤原君ありがとうございます。冷静なのはあなただけでしたか。」
やばい、先生めっちゃ可哀そうなんだけど。どうしようもないな。
こうして、僕たちはナイランドの勇者として戦うことが決まった。
意外とかの次元じゃないほど主人公冷静すぎる。