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七話

ギデオンはアリアをじっと見つめながらくすっと笑った。


「へぇ~。確かに、殿下に見れば分かるって言われたけれど、なるほどねぇ。」


 楽しそうなギデオンは、シルビアンヌの方へと視線を向けると言った。


「せっかく年も近い事だし、ぜひ友人になってほしいな。シルビアンヌ嬢。それに、アリア・・嬢?」


 この生暖かい視線は何だろうかとシルビアンヌは内心思ったが、ここで下手に言い返すのも得策ではないかと笑顔を張り付けると頷いた。


「もちろんですわ。あぁ、そうそう。ギデオン様は狩りが得意なのですよね?凄いですわね。」


 突然の言葉にギデオンはきょとんとした後に、少し恥ずかしげに微笑むと頷いた。


「あ、あぁ。うん。狩りは得意なんだ。」 


 シルビアンヌはぜひとも自信を持ってほしいと思い、言葉を並べ立てる。


「私には出来ない事ですから、本当に凄いと思います。それに、男らしくてかっこいいです。」


 可愛らしく微笑みながらシルビアンヌにそう言われたギデオンは驚いたように頬を赤く染め、そして頭を掻きながら、言葉が小さくなる。


「あ・・いや、そんなに褒められることないから・・・恥ずかしいな。」


 恥ずかしがる姿は可愛らしいなとシルビアンヌは思いながら、こうやって褒めておけば、きっと姉達に馬鹿にされようとも蔑まれたような事を言われても耐えられるのではないかと言葉を続ける。


「恥ずかしがることはございませんわ。とっても素敵だし、かっこいいと思います。ふふ。狩りのできる男性は女性の中でも憧れる人が多いと思いますわ。」


「そ、そうかな。」


「そうですわ!アリアもそう思いますわよね?」


 シルビアンヌはアリアに視線を送ると、小さくウィンクして合図を送る。


 アリアはギデオンが褒められる姿に少しばかり納得しない様子で、棒読みで言った。


「ええ。そうですねー。かっこいいと思いますー。本当にー。」


 何だその言い方はと、咎めるような視線でアリアを見れば、アリアはぷいっと横を向いてしまった。


 シルビアンヌはその姿に思わず、はっと気づく。


 そうよね。自分が褒めてあげたいと思っていた人を他人が褒めてそれを嬉しそうにされるの何て嫌よね。さすがヒロインちゃんだわ!アリア。ごめんなさいね。貴方の私は出番を奪ったのね!


 でも、でも、焼きもちを焼くあなたも可愛いわ!


 ギデオンはそんな様子をにやにやとした視線で見つめると、その後は三人で庭を散策しようと歩き回ったのであった。


 さすがにたくさん歩き回って疲れたシルビアンヌは、ギデオンに部屋に案内され別れると大きく息をつきながらベッドに倒れた。


「はぁー・・・疲れたわ。」


「大丈夫ですか?シルビアンヌ様?」


 アリアはせっせとお茶の準備をし、シルビアンヌの為に足を清めるお湯などを他の侍女に頼んでいた。


 シルビアンヌはベッドからその様子を見つめると、アリアの手が空いたところでベッドへと手招きをした。


「アリア。ちょっとこっちにいらっしゃい。」


「どうしました?まさかご気分でも悪いので?」


「違うわ。こっちよ。」


「え?えっとわぁぁっ!」


 アリアをベッドへと引きづり込んだシルビアンヌは、アリアを抱きしめながらぎゅっぎゅーっとして大きく息を吐いた。


「はぁぁぁぁぁ。ずっと我慢していた私を褒めてあげたい。偉い私。よく我慢したわ。」


「シルビアンヌさまぁー!?」


 頭をなでなでしながら、アリアのつむじの匂いをすーすーと吸い込み、シルビアンヌはほうっと息を吐いた。


「癒されるわ。それにアリアが可愛すぎて我慢するのがとっても辛いわ!何で貴方はそんなに可愛いのよ!」


「離して下さい!シルビアンヌ様ぁー!私には刺激が、刺激が強すぎます!」


「嫌よ!ずっと我慢していたんだもの!」


 ぎゅーぎゅーっと抱きしめられているアリアは、こういう所は兄妹そっくりだと声にならない悲鳴を上げる。


 そして先ほど思った事を思わず口に出していた。


「シルビアンヌ様は男らしい人の方が、好みなのではないのですか?」


「え?」


 きょとんとしたシルビアンヌに、アリアは頬を膨らませながら言った。


「だって、さっきギデオン様をあんなに褒めちぎっていたではないですか!」


 え?なにこれ?焼きもち?焼きもちなの?


 シルビアンヌは頬を膨らませてこちらをおそらくは睨みつけているつもりなアリアをまたぎゅーっと抱き寄せると頭を撫でまわした。


「私にとってはアリアが一番に決まっているじゃない!もう!この愛い奴めぇぇぇぇ!」


「本当にですか?本当に私が一番ですか!?」


「もうもう!当たり前よ!貴方が一番!マイスイートエンジェルよ!」


 言っている意味は良く分からなかったアリアではあったが、その言葉に満足したように頷くと、にっこりとほほ笑むのであった。




マイスイートエンジェル!

うん。すみません。読んで下さりありがとうございます。

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