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七話 仮面の内側

テスト期間最終日


テストが終わったあとの帰り道。


(そういえばテストで勉強を教えてあげるからということで夕飯を作ってくれてたけどどうなるんだ?)


この前助けた時のお礼ということで今回のテスト勉強を教えてくれていて、食費を折半することになったので、その勉強のついでで夕飯を作ってくれていたがどうするのだろうか。


鏡としては温かい出来たてのご飯が食べれると考えれば、出来れば夕飯は家で作ってもらい一緒に食べれた方がありがたい、それに


(一緒に夕飯が食べれないと考えると冷たくなって心に穴が空いた感じになるんだよな)


最近の食卓を思い出したあとに元の一人で食べていた風景を思い出すと一気に冷たく感じ悲しくなるのだ。


(出来ればこのままであってほしいな)


他意はない、他意はないのだ。

ただ食卓を共にする方がご飯も美味しく感じる、それだけの話なのだ。


(それに最近は一緒にいて話していると楽しいんだよな)


テスト直近になってきてなのだが自分が思った以上に優秀だったのか、テスト前に既に教えてもらうのが終わってしまい、ずっと復習をしていた。


その復習も夕飯前に終わってしまうので夕飯を食べた後の時間は島風とお茶を飲みながら雑談をし、解散するという流れが出来上がっていた。


最近は島風が少しずつ素の状態で会話をしている部分が増えてきているような気がしていて、少しずつ信頼してもらえているのかな?と思っている。


と、そうこうしているうちに自宅マンションに着きそうなところで


「分かってるって母さん、ボク、一度家に帰ってから折り返すからちょっと待っててよ。今高校の人とかに見られたら大変なこ....とに......」


電話している島風がいた。

最初は口調が違かったので気づかなかったが姿が見えてから島風だと認識した。


(うん、何も見なかったことにしよう。見られたら大変らしいからね。ボクは大人しく帰るよ。)


武士の情けじゃという面構えで島風の横を通り抜けエントランスの方に行こうとすると


ガシッ


(おい...捕まったんだが......)


「とりあえずボク一回電話切るから!後でかけ直すから!いいね?じゃっ!」


すごい速度で喋って通話を切る島風。

というか見なかったことにして忘れるから帰らして欲しいんだが、誰か助けてぇぇぇぇって顔をせざるを得ない状況に


「ちょっと待ってよ橘さん、少し、少しお話合いしたいなぁ」

「ぼ、ボクは何もミテナイヨ、ボクは」

「ボクボク言うなぁァァァ」


見られたらいけないと言っていた瞬間に見られた島風は何とかしようと鏡を引き止めた訳なのだが、逃れたい鏡は頭から離れないボクを使うことにより島風にクリティカル攻撃していた。


(ボクっ娘ってきょうび聞かねぇし見ねぇよなぁ)


鏡としては高校生での天然物のボクっ娘を見るのが初めてで、驚きと混乱が来ていた。


聞こえる、聞こえるぞ。『ボクは君の〇』とか言ってる理性のない声が聞こえる。


というかここで騒ぎ立ててたら迷惑かかるのでは?と思った鏡はとりあえずにと島風を引きずり家に帰ることにする。


「島風、一度家に来い、ここだと迷惑がかかる」

「なに!?ボクを家に連れ込んで何をする気!?まさか黙っていて欲しければケーキを作り続け橘さんに貢ぎ続けろっていう拷問でもするつもり!?」

「いや!しねぇよ!?っていうかどんな拷問だよそれ!」

「ボクが大好きなケーキを作り続けさせた挙句ボクは一口も食べれないっていう拷問!」


(どんな拷問だよそれ!初めて聞いたわ!というか島風ってケーキ好きなのな!)


まさかの新手の拷問が出てくるとは思わなく、しかも好きな食べ物が分かるという混沌としていくという困った状況になっている。


「とりあえず話し合いたいなら外はダメだ、迷惑がかかるからな、とりあえず落ち着いてついてこい」


とりあえず一度家に帰る、手洗いうがいをきちんとしたあと二人でソファーに座り話始める。


「電話しているの聞いたんだよね?」

「あぁ、帰ってきたところにちょうどな」

「そう...だよね、先に謝らないといけないかな。ごめんね、ボクは橘さんの、いや、皆と話している時は仮面をつけて本来の自分ではないように話していたんだ」


先程まで声を張っていたのとは逆に声のトーンを落として、謝罪をしてくる。


「それに、普段の喋り方で一人称がボクだなんて、気持ち悪い...よね」


「謝る必要なんかない、普通自分以外の人と話す時人は仮面をつけるものだ、大人になって働く時なんかつけっぱなしだろう。そんな誰でもやってる事で謝る必要なんてない、それに俺は島風が仮面をつけていたのには、気付いていて一緒にいたんだ、なんの問題がある」

「え、どうして......」

「あー、まぁそれはあれだ、勘ってやつだ」


気付いていたのは普段の学校の様子を見ていての、雰囲気の違和感、そして最近話すようになって出すようになった表情を見て確信に変わっていたのだがそこまで説明は必要ないと考えた。


「それに一人称がボクなのが何が気持ち悪いんだ?」

「だってボクは女の子で、ボクっていう一人称は男の子が使う一人称じゃないか」

「なるほど、で?だからどうした」

「で?って......」


で?それが?ってなるのが普通だろ、だって


「それが島風の個性なんだろ?誰が否定するって言うんだ、自分は自分、他人は他人、誰に何と言われようとそれは変わらないだろう?少なくとも俺は島風を否定しない、自分に自信を持て、持てないなら俺が肯定してやる、味方してやる、気持ち悪がって離れて行くなんてことはしないしそもそも気持ち悪くなんてない」


そこまで言うとしっかり島風を見る、島風は目に涙を貯め、いつ溢れ出すか分からない決壊寸前のダムのような状況になっていた、だから鏡は優しい笑顔を浮かべて


「昔何があったかなんて事は聞かない、だけどそのボクっていう一人称でその喋り方が本当のものなんだろ?ならそれが島風、お前だ、お前なんだよ」


鏡はふと前に一度彰久が一度懐に入れるとその人のことを見るし守ると言っていたことを思い出し、お前も人のことをよく見ているよな、と思い苦笑いが浮かぶ。


けど今は島風のことを見ようと表情を引きしめ島風のことを見つめる。


「だから今は吐き出せよ、今まで溜めに溜めたその気持ちを俺が聞いてやる、俺の胸を貸してやる、まぁ、あまり頼りにならないかもしれないが」


そこまで言って綺麗で手入れをしっかりしているだろう頭に手を乗せ撫でる。


すると島風が


「そんなこと...ないよ」


そう言いながら鏡の胸へと顔を押し付けて嗚咽を漏らし始める。

泣きわめくような鳴き方ではなく、コップから零れ落ちてしまった水のような、そんな鳴き方であった。


泣いている間、鏡は、声を出さず代わりに安心するようにと優しく撫で続けていた。





いいですよね、性別アストル〇ォ。

セイバーアストル〇ォ欲しいです。

回しても出なかったんですよ。

次の復刻はいつになるんでしょうね。


暫定の評価でも構いません、自分の指標になるので出来れば評価をお願いします。

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