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六話 学生の本分は



島風が一度家に帰っている間に鏡は袋に入っていた食べ物を飲み物やゼリーなど以外何も入っていないスカスカの冷蔵庫に入れていく。


(5キロの米も入ってるな、炊くつもりか?一応炊飯器もあるが)


少し重いと感じながら持って帰ってきた袋の中には5キロの米も入っていた。炊飯器がなかったらどうするつもりだったのだろうか。


そうこうしている内に冷蔵庫にしまい終わったので、今のうちにと鏡は部屋着へと着替える、すると


ピンポーン


とチャイムが鳴ったので恐らく島風が来たのだろうとドアを開けに行き開けると


「お邪魔します。橘さんの家に入るのは初めてですね」


と言いながら島風が入ってきたのだが、島風の姿は白いTシャツにジーンズという格好であったが収まりきってない胸や太ももが主張を凄くしていた。

鏡はその姿を見て柔らかくも張りがありそうな太ももや胸に目が行きそうになるが全力で自制心を働かし我慢をしていた。


ちなみにだが鏡の服装はバスパンに速乾性のTシャツと、今すぐ運動が出来そうな格好をしている。


「いらっしゃい、あまり何も無いがゆっくりしていってくれ」

「綺麗な家ですね。料理は出来ないのに掃除はできるんですね?」


島風は悪戯っぽい笑顔を浮かべてこちらに向けてくる。


(最近はこういう仮面ではなく素の表情が少しずつ出るようになってきたな)


「俺は料理以外はできるんだよ、一人暮らしするために必要なスキルだろ?」

「料理もそうだと思いますけどね、橘さんはなぜ一人暮らしを?ご両親が単身赴任とかですか?」


島風はふと気になったようで、そう質問してくる。


「いや、うちはかなり放任主義でやりたいことをやらしてくれる家でな、高校に上がるのをきっかけに引越しをってなったんだが幼なじみと同じ高校にと思ってこちらに残って部屋を借りたという訳だ」


実家は元々こちらにあったのだが引越しをするということになった時既に彰久達と一緒の高校に行くと決めていたのでこちらに残ることにしたのだ。


ちなみに引越しの理由なのだが空気が綺麗で人が少ないところに行きたいという理由で田舎に行こうとなったことだ。


通勤や買い物はヘリやトラックに積んできたりと文明の力に頼っている感は否めないし、もはや田舎の風情ぶち壊しじゃないかと思ったのは記憶に新しい。


「そういう島風はどうして一人暮らしなんだ?」

「両親が見聞を広めるために一人暮らしをしてみなさいとの事で一人暮らしをしています」


島風はこう言ったのだが


(これは嘘だな)


鏡は島風が話す直前に一瞬固まり目の光が消えたのを見ていた。


(恐らく島風が仮面を被るようになったのが関わっていそうだな、この話題は地雷だったか、なら)

「そうなのか、まぁ一人暮らししてみると意外と分かることがあるよな、ところで今日の夕飯は何を作るんだ?」


鏡はこれ以上話すのは良くないと考え、話を流しつつも違う話題へと変える。


「今日の夜はオムライスにしようと思っています、私の得意料理なので期待していてくださいね?」


と微笑みながらこちらを見てくる。


(上手く話題を変えられたな、というかオムライスが得意料理なのか)


実は鏡は卵料理、というか鶏が関わるものは大体が好きなのだがその中でもオムライスはかなり好きな方なのだ。


話しながら思いもしなかったところでテンションが上がった鏡であったが。


「ではもうそろそろ勉強を始めましょうかとりあえず数学からでいいですか?」

「マジで勉強しなきゃダメか?やりたくないんだが」


勉強という言葉を聞いて、一気にテンションが下がる鏡。


「なんのための集まりだと思っているのですか、そもそも学生の本分は勉学と言ったでしょうに」

「そうなんだが、それとこれとは違う問題なんだよ」

「そんな調子で大丈夫何ですか?一応参考までに前回の試験結果を聞いても?」

「全教科平均を少し超えたくらいだ」

「意外とできているのですね、聞いてる感じですと全く出来なさそうですのに」

「授業中睡眠学習しているからな」


と、ドヤ顔をしつつ言い切る鏡なのだが


「そこはドヤ顔する場面ではありません。そんな調子でよく平均点が取れましたね......」


呆れた顔をする島風に見られて少しシュンとする鏡であった。


「ではやりますか、道具一式を持ってきてください一時間ほどやりますよ」

「......了解」


その後にちゃんと勉強をすることにしたのだが結果から言うと


「つまりここの部分で公式を当て嵌めてxに代入すると答えが出ます」


(すげぇわかりやすいんだが)


「てことはx=6か」

「正解です、物覚えがいいのですね。このちょっとの時間でだいたい覚えてしまっているじゃないですか」

「先生がいいからな、凄く分かりやすい」

「そんなことないですよ褒めても何も出ないですよ?」


と、言いつつも満更でもなさそうに笑顔を浮かべている。


(素の笑顔を浮かべている方が可愛いな、って何考えてんだ?俺)


柄にもないことを考えている自分に戸惑い落ち着こうと深呼吸をする。


「....聞いているのですか?」

「ん、すまん聞いてなかった」

「ですからもうそろそろ夕飯を作ろうと思います」

「あ、ああ分かった」


そう言って一度勉強道具を二人して片付け台所へと向かう


「料理するのに必要な設備はあるのですね」

「あぁ、昨日言った通り親が揃えたからな、料理器具も全部揃っていると思うぞ」

「ええ確かに揃っていますね、ですが皿の数とコップが足りないかと、私の家から持ってきま少し待っていてください」


島風は一度家に戻り皿やコップを袋に入れて持ってきた。


「とりあえず始めますが橘さんはどうしますか?」

「正直言って手伝うとしても邪魔になるんじゃないのか?」

「そうですね、何も出来ないなら邪魔になるかもしれないですね」

「なら俺は大人しくリビングにいるよ」


そう言って大人しく引き下がる。

ソファーで転がってテレビをポケーとみている。

『新刊発売!アモル・スペクルム先生の『その気持ちは表裏一体』五巻!』

「ふんふんふーん」

(ん?鼻歌?)

唐突に鼻歌が聞こえてきたのでその方向を見てみると台所にいる島風から聞こえた。

大分ご機嫌がいいようで結構大きめな鼻歌だ。

鏡は島風のエプロン姿を見て、(完全に主婦だよなぁ)という感想を抱いていた。

そうこうしているうちに皿のこすれる音が聞こえてきたので台所へと向かい。


「手伝う、どれを運べばいい?」

「ありがとうございます、ではそちらの皿を先に運んでください」


指示された通り皿を運び、席に着く。

持ってきた皿には美味しそうな半熟で作られたトロトロのオムライスが乗っていた。


「ケチャップはお好みでつけてください」

「わかった、すげぇ美味そうだな。俺オムライスめっちゃ好きなんだよ。」


目の前のオムライスを見ているだけでテンションがすごく上がり、頬が緩むのが止まらない


「すごく嬉しそうですね」

「おう、すげぇ嬉しい、ありがとな!」

「そ、そうですか」


テンションが上がっている鏡は笑顔を向けながらに素直にそういうと、島風は少し下を俯きながら頬を赤く染める。


「いただきます」

「いただきます」


オムライスを一口食べるとトロトロの卵は口の中で解け、ケチャップの酸味と卵の風味のハーモニーが広がる。


「うめぇ」


しみじみと呟き、黙々と食べる。いつもより食べる速度が早いのは気のせいではないだろう。


「ごちそうさまでした」

「お粗末さまでした」

「すごく美味かった、今まで食ってきたオムライスの中でトップレベルだった」

「ありがとうございます」


お互いが微笑みつつ話す、暖かい食卓であった。


暫定の評価でも構いません、自分の指標になるので出来れば評価をお願いします。

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