五十八話 さっさとそうしてよ、本当に
ハッ!!
目覚めるとそこは風呂場、周りを見てみると練がいるくらいで特に何も無い。
「夢か......」
何か見てはいけない夢だったような気がし
「鏡兄、夢じゃないぞ」
「ですよねぇ......」
本当にどうしよう......
嫌われちまったか?
でもどうすればいいって言うんだよ......
「ハァ、なんだかんだ言って似た者同士だよなぁ、ほら!鏡兄、風呂入るよ、話はそれから!」
「え、おう」
服をさっさと脱ぐと腕を掴まれグイグイと引っ張られた。
ガラガラガラ
お、おぉ、すげぇ!
更衣室から出るとすぐそこは露天風呂だった。
旅館かよ!
こういう風呂には憧れるなぁ。
体を洗ってからお風呂に入る。
あー、きもちぃぃぃ。
体を洗っている間は死ぬほど寒かったけどこのためだと思えば全然いい。
「どう?切り替えられた?」
「切り替えた......訳では無いんだよなぁ」
いや、だってさ......好きな人の裸を見ちゃった訳でさラッキースケベとか言うのかもしれないけどお互いに気まずいじゃん。
というかこれで喋れないとかになったら本当に辛いんだけど。
もうどうすればいいんだよ......
「うわぁ......これはもうダメだなぁ」
練は首を振りつつそう言う。
「鏡兄、起きちゃったものは起きちゃったんだよ、ちゃんとお互いに話し合って、それで謝れば大丈夫だって............姉さんも同じ感じになってたし」
「そう......か?」
最後の方は聞き取れなかったけどお互いに話し合って......か。
「分かった、そうしてみる」
「ハァー......さっさとそうしてよ、本当に」
♢少し前
ドタバタドタバタ
「練!!」
「姉さん!ノックし......なんでタオル1枚で来てんだよ!服着ろ!」
練は忘れ物を取りに戻っていたらタオル1枚で姉が部屋に強襲してきたのだ。
恥ずかしいというより恐怖の方を感じてしまった。
「あのね、あのね、ボクね」
何故かテンパっている様子の澪に疑問を抱いたのか練は大人しく事情を聞く。
そしてため息をついた。
「ハァー、そんなことかよ、お互いに話して謝れば済むじゃんか」
「そんなことじゃないよ!殴ちゃったし、裸見られたし!もう、これで気まずくて話さなくなっちゃったらどうしよう......そんなの嫌......」
もうこの発言を聞いただけで先程の両思いだろ、に関しては少なくとも姉さんの方は確信に至る。
「俺、鏡兄と風呂入るからそんときに聞いてくるから、ほらさっさと出てって着替えて」
「本当に?本当?」
「本当だから!」
重い足取りで部屋を出ていく姉を見て目を覆う練であった
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