五十五話 評価は高いから
「母さん、もうそろそろ父さんが帰ってくるんじゃない?」
父さん......
澪の?
あれ?好きな人のお父さんと話さないといけないって結構ヤバない!?
「そうね、ということは次期橘家当主と現島風家当主の顔合わせってことね」
え?
あっ、そうか確かに立場上そうなるのか......
というかそんなに大切なことなのに俺が好きだと思っている澪のお父さんだから緊張するって考えになるって......
俺って俺が思っている以上に澪に惚れてるんだなぁ。
「鏡兄、大丈夫?」
「え?あぁ、大丈夫だ」
どうやらかなり緊張した顔をしていたようで心配されてしまった。
「鏡くん、父さんが島風家の当主だからってそこまで緊張しないでもいいよ」
「え?あ、おう」
澪、違うんだよ、俺はそっちで緊張してる訳じゃないんだ......
「うふふ、そうよ、あまり緊張しなくていいと思うわ」
?
なんか唯さんがニヤニヤしながらそう言ってくる。
どうしてニヤニヤしながら?
(練、鏡くんは澪のお父さんに挨拶するのに緊張しているのよ、澪の、お父さんにね)
(え?ということは当主に挨拶をってことじゃなくてってこと?............あー、そりゃあ好きな人の父さんに挨拶するのは緊張するか)
ん?なんか練と唯さんがコソコソと話しているな。
「鏡兄、本当に緊張しないでも大丈夫だよ?父さんの評価は高いから」
「ん?どういうことだ?」
よく分かんないけど、前評判からの評価の話じゃないのか?
それに別に俺は優秀でもなんでもないから話しただけで評価が下がる可能性が高いだろうし。
ガチャッ
「みんなただいま〜、この部屋に全員いるって聞いたんだけどやっぱ居たんだね〜」
ニャッ!?
何か若い男性の声がしたので慌てて振り返るとそこには見た目が20代くらいの人が居た。
「あら、おかえりなさい、あなた」
「うん、ただいま、澪もおかえりなさい」
「ただいまー!」
あなた?
唯さんのあなた?
おかえりなさいにただいま?
も、もしかして......
「君が鏡くんかな?噂はかねがね聞いているよ、私は島風 海、澪の父だ、よろしく頼む」
ブックマークとか評価をしていただけると作者が嬉しくなるのでよろしくお願いします!
★★★★★