五十四話 鏡兄
「鏡くん!ごめんなさい!」
「鏡くん?」
「ヒッ、すみませんでした!橘さん!」
最初に弟くんは頭をサッと下げて謝ってきてくれたのだが弟くんが鏡くんと呼ぶと澪が睨みをきかせたことにより土下座で謝ってた。
「あー、まぁいいよ、頭を上げなよ」
「ありがとうございます!」
結構体育会系っぽいノリだよなぁ。
「ごめんね、鏡くん、ボクのクソみたいな弟が」
「あはは、別に構わないよ、澪の弟なんだから、それと自分の弟のことはクソとか言っちゃダメだよ?」
「ムー、だってぇ」
リスみたいに頬をパンパンにして上目遣いに見てくる。
んー、可愛い。
なんというか、わざとじゃないのが分かっているからこそ胸に来るものがあるよな。
澪の弟君は何かを感じているのか俺と澪の顔を交互に見てから首を傾げた。
どうしたんだ?
澪から視線を外して弟君を見ていると俺のことを指さしてきて......
「義兄さん?」
「「はぁぁぁ!!?」」
ななななな何を言ってるんだ!!?
まぁね?なれるならなりたいよ?
そりゃ、その、俺は澪のことが好きだし、出来れば付き合えればって思ってるし、もちろんその先もって思うけど。
でも澪がどうなのかってところな訳でして......
チラッと見ると澪は顔を赤くして口をパクパクしている。
あ、あれ?意外と反応が悪くない?
いや、もしかして怒ってるのかな?
すると澪はチラッと俺の事を見てきて目が合ってしまった。
お互いに目を離せなくなる引力があるのかと思うほどに俺は目をそらすことが出来ない。
澪も同じなのか意地なのか、分からないがずっと目が合っている。
「あらあら、お熱いこと」
ハッと弟くんと唯さんがいることを思い出して目をそらす。
「母さん!」
「本当のことでしょー?お互いにじーっと見つめあっちゃって〜」
唯さんと澪がぎゃいぎゃいと騒ぎ立てて話し合っていると澪の弟君がチョコチョコと歩いてきて話しかけてきた。
「あの、橘さん?」
「どうしたんだ?」
「そういえば名前を言ってなかったなーって思って、俺の名前は島風 練、中学3年です、ヨロシクっす」
「ん、よろしくな、俺は橘 鏡、澪と同級生だ、練って呼んでいいか?」
「いいっす!」
そうか、練は中3か、うちの妹も中3だから同級生だな。
「じゃあ俺は鏡兄って呼ぶっす!」
「おう、いいぞ」
澪と唯さんの喧嘩が終わるまで趣味とかなんなんだ?とか色々と仲良く話していたのであった。
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