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五十一話 危ねぇ、飛ばされるかと思った


あの後自宅の最寄りの駅まで行って慶次さんとは別れた。


本当にお世話になったので感謝と今度お礼をという話をしたのだが。


『いいのよ、私がしたくてしたんだから、お礼は好きな人を彼女として私に紹介してくれればいいから』


と言ってくれた。

男らしいと思ったけどそれを口に出すと絞られそうだったので改めて感謝と約束をしてきた。


家についてすぐにシャワーを浴びに行ったが、やはり自分が自分ではないような気がして妙に落ち着かない。

シャワーを浴び終え着替えると、ふと携帯が目に入って。


『年末に澪が帰省するのよ、そこでなんだけど次回の会議は家が会場だから泊まりに来ない?今年は鏡くんも会議に出るって聞いたし夫も会いたがってるし、いいでしょ?』


このことを思い出した。

そういえば返信してなかった......


でも本当にどうしたもんか。


あの時とは違って少しでも澪と同じ時間を過ごしたいと思っているし、年末離れ離れになると考えると凄い嫌だと思ってしまう。

だけど昨日思ったようについていくと、澪にも迷惑がかかってしまうし嫌だと思うだろう。


だけど一緒に居たいしついて行きたいけど......

いや、本人がいいって言うかどうかってことにすれば......


そう思い至った俺は唯さんに返信をする。


『昨日の件なんですけど、俺は出来ればついていければ、と思うのですが、やはり澪さんが家族だけで過ごしたいと言うのであればそちらを尊重したいと思っていますので、澪さん次第にしたいと思います』


こう送ると直ぐに返信が来て。


『分かったわ、澪に聞いておくわ』


とだけ返ってきた。


あとは澪次第だな。


服に着替えてソファで寝転がってそう考えていたのだが、突然眠気に襲われて、そういえばお風呂などに入って体温を上げたあと少しずつ体温が下がる過程で眠くなるんだっけか。

とか思いながら寝てしまった。







ガチャガチャ

ガタン


何かの音で目覚めた。


ふと時計を見てみると18時前くらいになっていた。

あー、澪が来たのかな?

そう思って玄関に迎えに行くと。


「あっ、鏡くん!お、邪魔しま、、、す?」


ん?なんか澪が戸惑って?


「え、え?髪切ったの?」

「そうだけど」


へ、変だったのか?

いや、ここまで意気込んで変だったらちょっとショックなんだけど。


「ど、どうしよう、あのカッコいいのがデフォルトになるとか落ち着かないんだけど......いや、カッコいいのも好きだし、髪の長かった時も好きだし、というか鏡くん自体が好きなんだけど......」

「澪?ボソボソ言ってて聞こえないんだけど」


やっぱり変だったか?


「鏡くん!その、似合ってる!似合ってるんだけど、カッコよすぎてちょっと」

「ほ、ホントか?カッコいいって思ってもらえて嬉しい」


まじか!澪にカッコいいって言って貰えた!

すげぇ嬉しい!


「ちょっ、その笑顔は反則......」


ん?どうしたんだろう。


「と、とにかく、えーと、ボクご飯作ってくるね!」


澪は顔を赤くしながらスタスタと入っていってしまった。


いやぁ、それにしても褒められるとは、やっぱ嬉しいなぁ。

髪切りに行って良かったぁ。


褒められたのでルンルン気分でご飯が出来るのを待つ。

いつも通り手伝えることは手伝い、ご飯も食べた。


食後の時間。


「ねぇ、鏡くん」

「ん?どうした?」

「年末さ、ボク実家に帰省するんだけど」

「おう」


あー、その話か、というかもう唯さん言ったのか。


「良かったら一緒に家に来ない?母さんも会いたがってるし、それに......」


よっしゃ!ついて行っていいのか!

絶対行く!


ん?それに?


「ボクもついてきてくれないかなぁって、思ってたし」


....................................ハッ!

危ねぇどこかに飛ばされるところだった。

なに?いきなりなに?可愛い、可愛いかよ。


「あぁ、俺からもお願いするわ、ついて行ってもいいか?」

「もちろん!やったね!年末も鏡くんと一緒にいれる!」


凄く嬉しいことを言ってくれるなぁ、と実感したが、それとは別に『友達』として特別に思ってくれていると分かっているからこそ辛いと思ってしまった。


絶対に振り向かせてみせようと意気込んで年末の予定を埋めるのであった。


三作品ほど新作はじめました。

良ければ見ていってください!

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