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四十八話 気に入ったわ

何駅か電車を乗り継いで着いたのは前澪とカラオケをしに来た街だった。

慶次さんとたわいのない会話をしつつついて行くと周りは店がどんどんとなくなっていき住宅街へと入っていく。


結構周りが住宅街になってきたな、こういう中で美容院やるってのは結構その場に根付いた店って感じか?


などと考えながらついて行くと何やら周りとは雰囲気が違う建物の前まで来た。


「ここよ」


一言そう言って慶次さんが入っていったので後ろからついて行く。


入ってみると若い人がかなりの人数居た。


なんか外観も内装もオシャレだし思ってた地元の理容院美容院みたいな感じじゃないんだけど!?


「ふふ、ここは時々芸能人が来てるって話があって人気があるのよ、まぁ話があって、というより事実なんだけどね」


芸能人が来てるのかー、え?俺そんなところで髪切るの?


「肩張ってても仕方ないわよ?それに切ってもらう人は芸能人のメイクとかしている凄腕のオーナーなのよ?」


えぇ、マジか......

いや、こんな考えはダメだよな?

あいつの隣に立ちたいって思ったんだ。

少なくとも自分でなんとかできる気持ちの面くらいは強くないと。


「あら?慶次じゃない?」


ここで慶次さんのではないオカマ口調の声が聞こえてきた。


「久しぶりね、悟」

「ええ、半年ぶりくらいかしら?いきなり連絡があってびっくりしたわ、それでその子が?」


こっちをサッと見てきた。

この人かっこいい人だなぁ、普通に整った顔をしているしファッションもモデルのような感じで仕上がっている。

たぶんオカマだって最初に言われても嘘だと思うレベルだ。

まぁ、慶次さんの紹介だからこそすぐに理解はできるが。


「橘鏡です!」

「ふむ、橘......ね、私は橋口 悟(はしぐちさとる)よ」


???

何か含みがあるような言い方をされた。


「慶次、私が恩を感じているのはこの子の父親であって息子ではないわ?この子は私がカットするレベルの器の大きさをしているの?」

「ふふ、そうね、どの基準も達しているとは思うわよ?顔も、器も、理由もね?」


この人が慶次さんが俺に紹介するって言っていた人か。

それに父親に恩、慶次さんと一緒か。

それと

......この人大物だな、芸能人を相手にしているだけはある。

選り好みするタイプの人か、確かにスタッフがいる中自分が相手するに足るかを見るってのは俺も嫌いではないしな。


「顔?」


そう言いながら俺の髪をめくりながら目を細める。


「へー、それにこの目は......」


目?


「ねぇ、鏡くん、君はなんでここに髪を切りに来たの?他にもあったはずでしょ?」


なんで?なんでか......それは......


「俺が好きな人の隣に立てるように、その上で信用できる人に相談したからこそここにいます、それに今見て思いました、あなたなら楽しんで俺の事を整えてくれるような気がするんです。切るならお互いに楽しんでた方が面白いですよね?」


つまんねぇな、ってお互い思ってるよりもお互い楽しんだ方が絶対に面白いだろう。

まぁ、俺の中で一番は澪の隣に居るためだけど。


「............いいじゃない、お互いに楽しく、それは大事よね、それに好きな人の隣に立つため?いいわ、いいわよ」



「そういうの、私の大好物だわ!確かにそれだけを言われて切る私ではないわ?もちろんその後に続いてる言葉も聞いてだけど、けどここまで本気の目をして好きな人の隣に立つためって言う子はいなかったわ」

「ふふ、この子化けると思わない?」

「思うわ?中も良ければ顔もカッコイイし完璧ね」

「それじゃあ......」

「ええ、切るわ?もちろんよ、慶次、そこで待ってなさい。この子、変えてくるわ?」


そう言って俺の事を引っ張って奥へと入っていく。

ちょっ、え?今?


時間は大丈夫なのだろうか、とか、今は忙しいとかないのだろうか?そう思ったのだがどうやら、優先順位順でやってくれるらしく、俺のことを気に入ったので一番にしてくれるらしい。

すげぇありがたいけど他の人に申し訳ないと思ってしまった。



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