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四話 気まぐれ


お裾分けを貰い始めてから二週間程が経った。

だからと言って関係が全くなく話さない人が、知り合い程度になっただけでマンションですれ違えば会釈したりする程度の関係に落ち着いていた。ちなみに学校ではお互いに関わらないようにしようということにしている。

一般的に毎日お裾分けを貰っている時点で普通の知り合いでは無いのだが。


(昨日のクリームコロッケ美味かったなぁ)


と、昨日の夕飯を思い出していると。


「なぁ、鏡」

「どうした彰久」

「今日暇だろ?」

「暇だと思うか?」

「今日暇だろ?」

「......今日宿題出たよな」

「今日暇だろ?」

「数学の宿題とかめんどくさいよな、時間もかかるし」

「今日暇だろ?」

「............暇だ」


暇だと言わないと終わらないリピートだと気づいた鏡は暇だと言うしかなかった。


「だよなぁ!知ってた!遊びに行こうぜ」

「どうせ静香もいるんだろ?二人でデートでいいじゃねぇか」

「デートもいいけどダチと遊ぶのは普通だろ?いいじゃんか」

「遊ぶのはいいとしてお前ら隣で歩いてる時にイチャイチャするじゃねぇか、隣を歩いてる俺の気持ちが分かるか?圧倒的にいたたまれない状況なんだぞ?」

「俺らにイチャイチャするなと?無理な相談だな!」

「そこで胸を張るなよ......」


大体三人で遊びに行くと二人がイチャついているのを隣で歩きながら眺めるというポジションにつく鏡は周りからの同情の視線に晒されつつもリア充の空気に当てられるので一番辛いのだ。


「ならあれだ、鏡も彼女を作るんだな」

「どうしてそうなるんだよ」

「そしたらダブルデートが出来るだろ?」

「俺が今彼女を作る気がないのはお前がいちばん知ってるだろ?それに俺と付き合ってくれるような女子がそもそもいねぇよ」

「相変わらず淡白だなー、それにお前はもう少し髪を整えたりすればイケメンなのになぁ、勉強も運動も真面目にやれば凄くできるし」


そう言いながら鏡の長い前髪を持ち上げて


「地毛は茶髪だし目はカラコン入れてる訳でもないのに琥珀色、顔も整ってるし淡白だけど懐に一度入ったらその人のことしっかり見るし守る、おまけに財閥の跡取り、しかも付き合ったら甘くなりそうだしそんなの普通にモテるだろ」


そこまで彰久が言うと前髪を持ち上げていた手をペイっと鏡が剥がす。


「髪を整えるのもめんどくさいし、勉強とか運動もやらんし、彼女が欲しいわけではないからやらねぇよ」

「本当にもったいないやつだよなー、まぁそれは置いといてだ。遊びに来るってことでいいんだよな?」

「ハァー、まぁいいけどさ」


ため息を吐きつつも遊ぶのは嫌いでは無いので満更でもなさそうな表情を浮かべる鏡であった。






「気をつけー礼」

「「「「さようならー!」」」」


「よっし、飯食いに行こーぜー」

「その前に買い物なー」

「この後図書室だっけ?」

「そーそー、なんか本を返したいらしいよー」


学校が終わり放課後、教室は一気に騒がしくなる。生徒達は遊びに行ったり部活に行ったりと思い思いの時間が始まる。


「おーい鏡、HR終わったぞー、行く準備しろー」

「んー、」

「向こうのHRが早く終わってるらしいから多分もうそろそろ来るんじゃないか?」

「来るまで寝......」

「あっくーん!鏡っちー!」

「おっす、シズー」

「......よぉ」

「およよ?鏡っちはお眠かにゃ?」

「こいつ昼飯食ってる時以外全部寝てたんだぜ?」

「嘘つけ、お前が休み時間の時に毎時間話しかけてきて起こしてきたんだから休み時間は起きてるだろ」


実際一時間目から六時間目までずっと寝ていたためそこは誤差の範囲だと思うのだが。


「毎日のように寝てるのに良くテストの平均点取れるよねー普通にすごいと思う」

「あくまで睡眠学習だからな、勉強してるってことだ」

「まぁ、寝ながら授業内容覚えてるなら明らかに浅い睡眠なんだろうけどな」

「んー、まぁそれは置いといて遊びに行こ!とりあえず学校出ようよ!」

「じゃあ行こうか!シズ、鏡」

「はいよ」

「分かったよ!あっくん!」


学校を出て、最寄りの駅へと歩きながら今日どこに遊びに行くかを話し合う。


「どこに遊びに行く?」

「とりあえずショッピングモールでいいんじゃないか?」

「俺はそれでいい」

「鏡はそれでいいと、シズは?」

「私もそれでいいよ!」


ということでショッピングモールに行くことになったので。電車で移動。



閑話休題



「よっし着いたな!」

「どこ行くー?」

「とりあえずウィンド......冷やかしに行くのでいいんじゃねぇか?」

「鏡......お前......」

「鏡っちさすがだねぇ」


何となく横文字を使うと負けのような気がしたので言い直しておく。


「まぁ、とりあえずそれでいいか」

「じゃあ私服見に行きたい!」

「ん」

「シズの行きたいところならどこでもついて行くぜ」


適当にブラブラと歩いていると


「この店に入ってもいい?」


それはスポーティー系の服装を多く扱っている店だった。


「俺はぜんぜん構わないぞ」

「俺もそれでいい」


三人で店に入り服を見る、ただ服を見るということは時間がかかるのであって


「これとかどうかな?」

「いいんじゃないか?シズの元気な感じが出つつもベージュを入れることで大人っぽく見えて似合ってるぞ」


(これ、いつまでかかるんだよ)


得てして女性の買い物は長くなるものなのだ、耐性のない鏡は辛い。


「ちょっと俺お手洗いに行ってくる」

「オッケー」

「分かったー!」


買い物が長くなりそうなので一度お手洗いに行くことにした。




(まだ終わってないか?見に行くか)

「いらっしゃーい!今なら二十%オフだよ!」

「アモル・スペクルム先生の新刊が発売中だよー!」

「ですから、行かないと言っているでは無いですか」


店へと戻ろうと歩いていると喧騒の中に最近聞き馴染んできた声が聞こえた。

そちらを見てみると


「お姉さん一人でしょ?なら少しくらいお茶しに行ってもいいじゃない」

「私は用事があるのです、そこを通して頂いてもよろしいですか?」

「でもお姉さんずっとそこに一人で立っていたじゃん、用事があるならそこに居ないでしょ?」

「ならば携帯を弄っていたのを見ていたのでは?連絡をしていたのですから立ち止まるのは当たり前でしょう」


大学生くらいの男にナンパされている島風が居た。


(しっかり絡まれてるなぁ、ってヤバっ手掴まれてるし結構力入ってねぇか?)


「痛っ、ちょっ、離してください!」

「ね?行こうよ、向こうのカフェとかさ」

「おい、そこまでにしろ」

「橘さん!?」

「ん?誰だよ俺が先に声をかけたんだぞ?」


ナンパしている男は鏡もナンパしようとしていると勘違いしたのかよく分からないことを言い始めた。


「俺はそいつと約束してたんだ、用事があるっつってただろ?」

「え、何君彼氏?そんな訳ないよねー、めっちゃ地味だし、少しくらい譲ってくれてもいいじゃない、なんなら君も一緒に来てもいいんだよ?」

「確かに彼氏ではないがこっちにはこっちの予定が」

「じゃあ、遊びに来てるだけでしょ?なら一緒にお茶する分にはいいじゃないかー」

(こいつしつけぇな、面倒くさ、なら......)

「だから」

「ア゛?無理だつってんだろ?」

「ヒッ」


鏡は前髪をかきあげ全力で睨む。


「さっさと向こういけ、二度は言わねぇ、いいな?」

「は、はひ、すみませんでした」


男はビビって早足で逃げていった。


(ビビりのやつで助かったな、物理的になるとめんどくさい事になるからな、と)

「大丈夫か?島風。怪我は無いか?」

「う、うん。ボ、私は大丈夫です」


島風は頬を赤く染めながら自分は怪我していないと伝える。


「怪我がなかったならそれでいい、俺は今友人と遊びに来てるからもうそろそろ行くわ」

「え?はい分かりました、助けていただきありがとうございました」


鏡は感謝の言葉を後ろから聞いて手をヒラヒラ振りながら歩いていく。だが鏡は


(何で俺はあそこで助けに入ったんだ?いつもならそんなことやらないのに)


と、内心自分の行動に疑問を抱いていた。


(まぁ、いつも通りの気まぐれか)


と考えながら先程の店に戻っていると


「あっくん、あーん」

「あーん、ん、うまい!」

「ね!このいちごのパンケーキおいしい!」

「じゃあシズにはこのバニラが乗っているパンケーキをしんぜよう、はいあーん」

「あーん、美味しい!あ!このいちごのパンケーキとバニラのパンケーキ合わせたら美味しいんじゃない?」

「お、それイイじゃん!」


通りかかったパンケーキ屋の奥に探している二人がいた。


(俺、あの中に入っていかないといけないのか?)


一瞬帰ってもいいんじゃないかと思ったのはここだけの話


暫定の評価でも構いません、自分の指標になるので出来れば評価をお願いします!

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