三十六話 相手のことをよく見ること
続いてはゲームセンターに行くのだが。
「なぁ、澪って格ゲーはアーケードの方が上手いのか?」
「どうでしょうね、入ったのはアケからですけど家庭用も触ってますし同じくらいですかね」
となると腕は微みょ、ひっ......
何か殺意を向けられたような気がする......
澪のほうを見るのは怖かったので上を見ることにした。
あー、空ってなぜこんなに青いのでしょう。
「目を逸らしてもごまかせてませんからね」
さっきのような殺気は感じなかったのでチラッと見てみたがジト目でこっちを見てきていた。
というか俺は一言も喋ってないのになぁ。
別に顔に出てるわけでもないと思うし、勘か?
あっと、ゲームセンター見えて来たな。
「ほ、ほらゲームセンター見えて来たぞ」
「そうですね」
すると澪はハァ、と溜息をつき微笑を浮かべて
「仕方が無いので流されてあげます、ゲームセンターですよ?行きましょう」
と、先に行ってしまった。
ちょっ、置いてくなよ。
「さて、まずはどうする?」
入ってすぐにある両替機で100円を量産した俺と澪だがアーケードゲームをしに行くかUFOキャッチャーをしに行くかで絶賛迷い中だ。
というかゲーセンでは素で喋るんだな。
まぁ、アケがうるさいから正直周りに聞かれないってところはあるか。
「んー、UFOキャッチャーやると荷物が増えるしなぁ」
「じゃあ格ゲーやりに行こ!」
「お、おう」
澪って本当に格ゲーが好きだよな、なんでこんなにやりたがるんだよ、とは思う。
まぁ、やるのが嫌じゃないしどちらかというと澪とやるのは楽しいから別にいいんだが。
格ゲーの卓台が集まってる場所に行くとチラホラと言った感じで埋まっているが端っこのところは対面で空いていた。
なんで格ゲーの対人で対戦する時って卓台の対面とやるんだろうな?
手元を見られちゃうからか?
よく分からん。
「よーしやるぞぉ!」
意気込んで反対の卓台に座ったので俺は俺側にある卓台に腰をすえた。
「絶対今度こそは勝つもんね!」
澪、それをフラグと言うんだ。
しばらく格ゲーをやっていたのだが
「ぐぬぬ、勝てない......」
結果はこの通り。
アケと家庭用どっちもどっちと言ってた割にアケの方が上手かった、上手かったのだが比べた場合という話だ。
「なんであそこで超必避けるのさ」
「え?掴みいれてきたあとにコンボ繋げようとするクセがある澪がコンボに繋げてこなかったからコマンド入力戸惑いながら超必入れてそうだなぁって思って」
「なんで分かるのさ、その通りだよ......」
まぁ、しばらくやってれば相手のクセみたいなのは分かるしなぁ。
ほら、スマ〇ラやってる時も同じ人とやってるとこの場合回避して崖登るな、とかジャンプで崖登るな、とか分かるじゃん?
「まぁ、相手のことをよく見るのが大切ってことだ」
「そっか!分かった!」
おっ、分かってくれたか。
「じーっ」
......なんか凄い見られるんだけど。
しかも口で言っちゃってるし。
何この面白い生物。
「現実の俺を見てても分からないぞ?」
若干笑いながらそう言うと
「......うん、まだ分からないや」
澪が顔を赤くしながらそっぽを向いてしまった。
どうしてそっぽを向いた?
「よし!UFOキャッチャーしよ!」
立ち上がって行ってしまった。
ちょいちょい
「バック置いてってんぞー」
ピタッ、トコトコ
「行くよ!!」
顔を真っ赤にしてバックを取りに来てまた歩いていった。
若干笑みを抑えきれずに後ろをついて行ったら、全力で睨めたので目をそらすのであった。