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三十三話 今はまだ分からない気持ち ※澪視点


「「鏡っち《橘くん》誘えばいいじゃん、好きなんでしょ?」」


へ???


「ななな、なんでそうなったんですか?」


ボクは別に鏡くんのことを好きなんじゃなくて、いや、好きなんだけど友達として特別視してるって言うかなんというか。

異性として好きな訳じゃないって訳じゃなくて。

ん?好きな訳じゃない訳じゃない?

それって......

いや、違うよ?違う違う。

友達として、だよ友達。

うん。


ぐるぐるぐるぐると思考していると。


「春っち、もしかしてみおっちって自分の気持ちに気付いてないとかそういう感じなのかな?」

「見た感じそうだよね......」


ボソボソ何かを喋っている。


なんて言ってるのか聞こえないな......


「ねぇみおっち目をつぶって」


そう言われたので目をつぶる


「もし、もしね?隣で手を繋いでいる男の人がいるとします。あ、顔は見ないでね」

「う、うん」


とりあえず想像してみる


けど、これになんの効果が?


「その人が抱きついてきてキスしてきました」


き、キスかぁ、恥ずかしいから想像するのもきついかも。


「あなたは驚いて目を見開きました。目の前にある顔は?」


目の前、照れながらはにかんでいる鏡くん?


え、ボク鏡くんとキスしちゃった!??


いや、違う......想像の話だった......


......なんで、こんな残念がってるんだ?ボク......


「誰がいる?」

「......鏡くんが照れながらはにかんで居たよ」


思い出しただけでも恥ずかしいんだけど......


「あー、なるほどねー」


ウンウンとしきりに頷く紬ちゃん


「橘君のことどう思ってる?」

「一番の友達!一緒にいて楽しいし落ち着くし、心が暖かくなる感じがするし、楽しいこととか嬉しいことがあったら一番に言いたいし、二人だけで遊びたいとか一緒にいて欲しいって思う人......かな」


一瞬熱く語っちゃったような気がするけどまぁ、気のせいだよ......うん......


「ねぇ、みおっち」

「ねぇ、澪ちゃん」

「はい、どうしました?」

「「それを人は異性として好きと言うんだよ?」」


..................!!?


そ、そうなの!?

でも好きって一緒にいてドキドキするってやつじゃ......


あれ?鏡くんにボク結構ドキドキしてない?


え、でも、え?好き?鏡くんのこと?


「そう......なのかな......」

「んー、そういう人が多いってイメージかなって私は思うけど」

「分かんない......友達と好きな人の差が私には分からないです」


ボクには今まで友達って呼べる人が全然いなかったし、ボクが興味を持つ人がそもそも全然いなかった。


だから人付き合いとかも全然分からないし友達として好きなのと一人の男性として好きの差がわからない。


「そっかー、まぁ確かに好きだって思う瞬間ってのが絶対あるはずなんだよ、それがないってことは違うのかも?」

「ふと思うってやつだね、私もそうだったなー、ずっと一緒で気づかなかったけどふと思うんだよ。あ、私この人のことが好きだなって好きだったし今もこれからも好きなんだなって」


そう言われてみればふと思うってことは無かったなぁ。

でも......


「でも私がここまで考えるってことはもしかしたら好きなのかもしれないってことですよね?」

「......ここまで話しといてあれだけど私達がそれを決めることは出来ないし決めたくないかな」

「私達がそれが好きだってことだ!って決めつけて違かったら良くないでしょ?それじゃただの操り人形になっちゃう」


確かにそうかもしれない、答えは自分で見つけるしかないってことだね......


「......じゃあクリスマスにデートに誘ってみたら?」

「デート......ですか?」

「うん、イルミネーション見に行くとか自分が行きたいところに誘うの!唸って考えてても答えが出てこないんだったら答えは一緒にいることでしか分からないでしょ?」


確かに!それに考え込んでてこんがらがるより、考えずに動いた方がわかるかもだし。


でも自分のやりたいことやってたらただただ楽しんで考えなさそうでそれは怖いかな。

でも......


「分かりました、勇気をだして誘ってみます」


良いよって言ってくれるかな?



その日の夜ご飯を食べた後にゆっくりする時間


「ねぇ、鏡くん」


いつもとは違い少し緊張しつつ鏡くんに話しかける。


「ん?どうした澪」

「24日空いてる?空いてるなら遊びに行かない?」


そう言うと鏡くんはピタッと動きを止めたけどすぐに動きだし


「まぁ、空いてはいるがどこに行くんだ?」

「イルミネーション見に行かない?」


んー、と少し考えた様子を見せ


「カップルとか多いと思うけど大丈夫か?」


と、聞いてきた。

なんでカップルが多いって話が出たの?


「ん?よく分かんないけどボクはいいよ?」

「そうか、ならいいんだが」


ならいいんだがって言いながら心配そうな目線がするんだけどどういう事なのかな。


「なぜ唐突にイルミネーションに行きたがってるんだ?」


あー、えーとなんて言おうかなぁ。


流石に正直に好きかもしれないから判断したいなんて言えないし......


......てか冷静に考えてみて遊ぶだけで分かるわけがないよね?いつも一緒にいるし遊んでるし。

それで分かるならもう分かってるんじゃ......

いや、ここまで言ったら引けないし、鏡くんと遊ぶって思ったら普通に遊びたくなってきたし。


「長谷川さんが24日と25日に宮本さんとデートに行くらしいんだけどそこでイルミネーション見に行くんだって、それでボクもイルミネーション見に行きたいなーって思ってさ、だからイルミネーション見に行かない?」


こんな感じでどうよ!

知ってそうな情報を混ぜることによって信憑性上がるよね作戦!


「おう、じゃあ行こうか」


やった!遊べるー!


内心すごく喜んでいるが声には出さないように気をつける。


クリスマスを一緒に過ごしたかったってバレたらなんか恥ずかしいし......


「てことは夜に会うことになるな」

「そうだね!そーだ!昼間もどっか遊びに行こうよ!」

「ん?いいぞ?どこに行くんだ?」


んーとね、水族館とか?カラオケとか?ゲームセンターとか?


水族館デート......


ふとその言葉が思いついたのと同時に澪は


「んー、イルミネーションの場所によるけど水族館とか?」


と、口に出してしまった。


い、いや、これはデートではなく友達と遊びに行くだけだし!

デートじゃないし!


ううぅ、昼間の二人のせいでそういう方面に引っ張られちゃってるよぉ......


いつもボクが言いそうなことを言って誤魔化そうと


「それとゲーセンで格ゲーのリベンジマッチもしたいな!」


ふふふ、これで誤魔化せるはず!


アハハ、と苦笑いしている鏡くん。

この笑い方は仕方ないなぁみたいな時にする笑い方だ。


誤魔化せたけど、なんか仕方ないなぁって思われるのは納得いかないなぁ。


「でも午後からだと時間もないしなぁ、どう思う?」


でも、予定は決めないとね、遊ぶ時って予定を決める時から楽しいよね。


「んー、澪が格ゲーと水族館どっちにしたいかによるんじゃないか?」


格ゲーと水族館?んー、どっちもしたいんだけどなぁ。


あ!そーだ!名案が浮かんじゃった!


「んー、じゃあこうしよう!24はカラオケとゲーセンに行こ!それで25に水族館とイルミネーション見に行こ!」

「ん?」


ん?どうしたんだろう。


鏡くんが頭の上に?が出ているくらいに首を傾げた。


「うん?どうしたの?」

「なぜ俺らは25も遊ぶことになってるんだ?」


え?だって鏡くんと一緒に居たいし遊びたいから。


「え?ボクが遊びたいから」

「圧倒的暴論」


暴論じゃないですぅ、我儘ですぅ。


「まぁ、それは冗談として、どう?25も遊べたりしない?」


すると、ハァー、っとため息をついてこちらを見てきた。


え?何?なんで見られてるの?


「ま、いいけどよ。華のJKとしてこんな男と一緒に居ていいのか?」


こんな男?今自分のことをこんな男って言ったの?


......ボクは鏡くんだからこそ一緒に居たいんだけど、そんな自分の価値がないみたいな事を言わないで欲しいんだけど。


「自分をこんな男っていうのはやめない?あと、ボクが鏡くんと一緒に居たいから誘ってるんだよ?」

「あーうん、ごめん。それとありがとう」


すぐに申し訳なさそうに謝ってきたので分かってくれたのだろう。


もう自分を卑下するのはやめて欲しいな。


「分かればいいよ、それでこの予定でいいの?」

「あぁ、エスコートさせていただきますよお嬢様」


お、お嬢様。


なんか鏡くんに言われると大切にされてる感じがしてドキドキする......


恥ずかしいけど嬉しいっていうよく分からない感情が......


でも恥ずかしいよ!


「もう!そういうことをサラッと言わないで!」

「ハハハ、すまんすまん」


カラカラと鏡くんは笑って来たので膝をペシペシ叩いておいた。


でも......クリスマスが楽しみだなぁ......


明らかに他人から見て、お前好きやろって分かるけど本人が恋を理解してないことありますよね。



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