二十八話 TAMAGO
あの後皆から質問責めにあったのは言うまでもない。
辛く長い時間だった.....
一番聞かれたのは今日の夕飯という話について。
「なんか最近顔色いいなと思ったのはそういうことか」
とは彰久談
しっかり澪が爆弾を置いてったことによって一緒にご飯を食べているのがバレたし、何より名前で呼ばれていることやいつもは壁を築いている人物が素で話しかけられているということがバレてしまった。
学校の奴等には言わないと約束はしたし言わないって信じてはいるがこのことでしばらく弄られるのは言うまでもない。
くっ、湊を弄り倒す予定が弄られる側になるとは......
という話を夕飯を澪と食べている時に話した。
「あはは......ごめんね、そのー、テンパっててシチューって事だけ伝えようとしかその時なんも思ってなかったよ」
それによってダメージを受けた俺氏
なんかなぁ、今回に限っては澪は弄られないって考えたら結構いいような気がするんだよなぁ。
いや、静香と春風にグイグイされてたからどっこいどっこいか?
「ほら、お詫びにテスト勉強教えてあげるから」
「いや、まぁ確かにありがたいがそれは俺が勉強しないといけない前提じゃないか?」
今回俺はノー勉で行くつもり満々だったんだが......
「ボク、前も言ったと思うけど勉学は学生の本分なんだよ?勉強をしないっていう選択肢はないんだよ」
えー、やだなぁお兄さんはテスト期間中だろうとAP○Xのランクマを回したいんだよ?
「それにBOXイベントも回りたいし」
「何のBOXイベとは聞かないけど勉強しなさい、テストが終わってからでも出来るでしょ?」
「俺のリンゴは無くならねぇ!!」
「いくら素材が美味しくても勉強はしなさい!」
なんというかこのネタが通じてる時点で澪ってサブカルチャーに強いよな。
「分かった、なら勉強をしっかりして一位になれたらご褒美をあげるよ!」
え、それって澪と同じ点数以上を取れってこと?
......それ満点じゃん。
「......ボクのお手製卵料理フルコース一週間とかa」
「良し行こう、よしやろう」
誰が満点取れないって?俺の本気というものを見してやるぜ!
それに毎回満点を取る澪に教えてもらうんだ。
ハンデがアリで出来ないなんて言う訳には行かない!
「ホント卵料理好きだよね......」
ボソッと澪が言うのであった。
その日から夕飯を食べた後の時間や学校が終わった後などに鏡の家で勉強をしテスト本番に挑んだ。
手応えもあったのでもしかしたら満点もあるのではないかと期待している。
そして結果発表当日
朝学校に登校すると毎度の如く彰久が席に来た。
「おっす鏡、今日は来るのが早いな」
「まぁな、今日はテストの結果が貼り出されるから見に行くかと思ってな」
「へー珍しいな、今回は自信アリか?」
自信もあるし珍しく努力もしたので澪に勝ちたいと思っている。
「じゃあ湊誘って一緒に結果見に行こうぜ」
まぁ、いつも通りよな。
「ということで湊行くぞー」
「おう」
「うぉぁ!後ろに居たんか!いたなら声かけろよービックリするだろー」
彰久がビックリしたネコのように飛び跳ねて驚く、というか結構飛んだなぁ。
とまぁ、そんなこんなで結果を見に行く。
ドキドキしながら人が集まっている一角へと向かう。
「おー、俺は240位だ。赤点回避しとるし勝ったな!」
いや、それは勝ったとは言わんよ。
毎度の如く彰久が赤点をギリギリ回避したようだ。
逆に赤点とるって授業中何してたって話なんだけどな。
「んーと、どこだ?お、あったあった、俺は3位か、前回と一緒だな」
湊は前回に引き続き3位だった模様。
相変わらず頭が宜しいようで
「鏡は何処なんだ?」
「あそこにあるぞ」
そう言って湊が指した場所は1番上
そこには二つの名前と点数が並んでいた
1位 島風 澪 800点 橘 鏡 800点
よっし!よっし!やった!
ガッツポーズして喜びたいくらいだ。
まぁ、周りに人が居たし流石に自重したが
「は?やべぇな鏡、1位かよ。」
「凄いなぁ、今回も島風さんと勉強してたの?」
「おう、一緒に勉強してたな。まぁ、今回は珍しく澪と勉強してる時以外も勉強してたが」
今回は至って真面目に勉強していた。
そこで結果が着いてきたのだから嬉しくて仕方がない。
「ふーん、澪と、ねー」
「澪と、かぁ」
あっ、やべ。
澪と関係があるのは知られてるし名前で呼ばれているのはバレてたけど俺が名前で呼んでいるのはバレてないんだった......
なんかバレてるから大丈夫だと思って普通に呼んでしまった......
2人はニヤニヤしながらこっちを見てきていたが丁度そこに登校してきて結果を見に来たのか澪が来たのでシャキッとした顔になった。
くっ、あいつら、あのシャキッとした顔も明らかに俺を弄るためにやってやがる......
澪は澪で結果を見たようでなんか、おー、みたいな顔になっていた。
そしてたまたまこっちに気づいたようで手を振ってきたのでピースしといた。
にっこり笑ってたのできっと俺が1位だったことについてだろう。
これで卵料理食いまくれるな!
「なぁ、信じられるか?これで付き合ってないんだぜ?」
「これでただの友達なんだぜ?」
「うっせぇぞ、貴様ら」
「「イテッ」」
湊と彰久が隣で何か言っているので頭を叩いておく。
だがまぁ、そんなことより鏡は今日の夜からの卵料理に思いを馳せているのであった。