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二十五話 ぬいぐるみ


澪の誕生日当日


誕生日会みたいな大きく祝うという感じではなくいつも通り澪の作ったご飯におまけでケーキ

みたいなお祝いの仕方をすることになったのでお祝いをしている。


「モグモグモグ、うーん!やっぱりケーキは美味しいね!」


食後のデザートとして出したショートケーキを口にした澪は、にへらぁとした顔をする。


「誕生日の利点はケーキが食べられることだよね!」

「え、そこなん?」

「そこだよー、だってケーキ美味しいじゃん」


やはり澪はケーキが好きでケーキのことしか考えていないことを改めて理解した。


あんまりケーキばっか食べてると太ると思うんだよなぁ。


「澪ってどんくらいの頻度でケーキ食べてるんだ?」

「んー、月に二、三回?」

「意外と食べてないんだな、週に3回とか4回とか食べてるのかと思ってた」


ん?でもそんくらいの頻度でしか食べないから誕生日=ケーキで喜んでるのか?


「そんなに食べてないよ、だってそんなに食べちゃったら特別感がないじゃん?」

「ということは特別感の中でケーキを食べたいと?」

「そういうことー」


なるほど、ケーキ好きにはケーキ好きなりに何かの考えみたいなものがあるっていうことか。


そういえば前にケーキだけを食べてケーキのためだけに生きてる人がいるって聞いたことがあるなぁ。

しかも太ってないって聞いたし。


そういえばなんでめっちゃ食べても太らない人もいればあまり食べてないのに太る人がいるんだろうな。


「特別感なぁ、まぁ言ってみればアイスクリームにトッピング乗せたみたいな感じか」

「全くその例え分からないよ?」


例えのセンスが全くなかった()


「うわぁ、そんなことを言う誕生日のやつには俺のモンブラン1口だけ食べさせてやる」

「いや、くれるんかーい」


笑いながら突っ込んでくる。


「え?いらないの?じゃああげないし」

「ちょちょちょ、いるいるいる

ボク、タンジョウビ、アナタ、ワタシ、イワウ、おk?」

「おk」


そう言って俺のモンブランを食べさせる。


「ほら、はよ食べろフォークから落ちてまう」


パクっモグモグ


「んんんまぁい!」

「ウム、良き反応じゃ」


こんな感じでケーキうんまぁ!ってやった後の食後


いつも通り飯を食べたあとに温かいコーヒーを飲んでいた。


「はぁ、ケーキの後のコーヒーはちょうどええなぁ」

「ボク的にはこの紅茶の勝ちだけどね!」

「それは澪がコーヒー飲めないからだろ?」


澪はコーヒーが苦手らしい、というのをこの前知った。

勉強しているところにそっ、と隣に置いたらありがとうって言いながら見ないで飲んだら......ね


あの後ガッツリ怒られたのは言うまでもない。


自分としては優しさだったんだが。


嫌いだって知らないんだから怒らないでくれよ!って思ったよ。うん。


「僕だってミルクと砂糖をすごく入れれば飲めるもん!」

「1度それを飲んだがあれはコーヒー牛乳よりも甘かったぞ」


あれはコーヒーではないとしか言いようがない。


「だって飲めないもんは飲めないもーん」


もーん、じゃねぇよ。それで怒られた俺の身にもなってくれよ......


はぁ、とため息をついて下を向くと茶色い袋が足元にあった。


あ、やべっ、完全に誕生日プレゼント渡すの忘れてた。


「澪、これ誕生日プレゼント」

「んお?いきなり来たね!開けていい?」

「ん、いいぞ」


そう言うと澪は袋の中に手を突っ込んでガサガサする。


「これはー、ヘアミルク?」

「ああ、澪は髪が綺麗だからな、お手入れの物をあげるっていうのもありだなって思って」

「きれっ、、、ん、うん、ありがとう」


なんだ?どうしていきなり下を見たんだ?

あ?まだ袋の中に入ってるのに気づいたか?(違う)


澪は少しするとハッ、としてまた袋をガサガサし始める。


そのもう一個入っているものを取って持ち上げた。


「ぬいぐるみ?」


そう、それはリスのぬいぐるみ。

頬の膨らみが澪の不貞腐れた時の顔に似ててこれだ!となって買ってきたやつだ。


「ちょっと子供っぽくて嫌っていうなら置いてってくれて構わないからな」

「何言ってんの!!?絶対持って帰るから!」


ギョッとした顔をして言ってきた。


「鏡くんから貰ったんだもん!絶対に大切にする!」


頬をスリスリ擦りつけながら上目遣いで言ってきた。


ちょっ、それはずるい!


心臓が一気に騒がしくなり顔が熱くなる。

その上目遣いは男殺しだから気をつけろ澪。


というか、やっぱり女の子ってぬいぐるみ好きなんだなぁ。

思い出されるのは静香との会話。



「鏡っちー、そういえば女の子への誕生日プレゼントでのとっておきがあるんだった」

「ん?なんだ?」

「それはぬいぐるみだ!」

「ぬいぐるみ?高校生で?」

「分かってないなぁ、女の子はいくつになっても可愛いものが好きなのだよ」


え、でもそれって。

いや、そういえば一瞬澪の家に入った時にあったような。


「なるほど、参考になった」

「お礼は食堂のメロンパンで良いから、じゃ明日ねー」




あの時の静香はマジで参考になったわ。

神だったな。神


「誕生日プレゼントありがとね!鏡くん!」


静香にメロンパンを奢った代わりにこの笑顔を見れたと考えれば悪い気もしなかったのであった。


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