二十三話 母さん!来る理由それ!? ※澪視点
こちらは本日二話目です一話前を見ていない場合は一話前を見てからこっちを見てください。
(´-ω-)ウム
翌日に文化祭の片付けを行いそのまた翌日
うーん、暇だなぁ
もしかしたら橘さんが暇かも?この前の格ゲーのリベンジもしたいし遊びに行こーっと。
寝巻きから外用の服に着替えて隣の部屋へ
ピンポーン
「はーい、どちら様ですか?」
「ボクだよボク!遊びに来たよー!」
「新手のボクボク詐欺ですか、お金はありませんよ?」
「ボクボク詐欺じゃないし!てか、お金はあるでしょ!?」
橘グループの跡取り息子が何か言ってるよ!!?
「まぁまぁ、そんで遊びに来たって?」
「この前の格ゲーのリベンジをしようかなって思ってさ!」
そう言った瞬間にボクを見る目が変わった。
「今絶対に失礼なこと考えたでしょ」
絶対煽ってきてたって、あの目は。
「まぁ、超必を逆さ打ちする人にはなぁ」
「んにゃぁぁ!だからリベンジに来たの!」
負けっぱなしだとこうなるからイヤなんだよ!
「分かった!じゃあ文化祭の時の何でも言う事を聞いてくれる権利を使う!」
「あー、勝負したやつか。え?そんなことに使うのか?」
「だってそしたら絶対やってくれるじゃん!」
絶対に今回は負けないもんね!
「まぁ、朝飯まだ食ってないからそれからだぞ?」
「へ?まだ食べてないの?もうお昼前だよ?」
「布団から出たくないってやってたらこの時間だった」
「うわぁ、怠惰の極み」
健康に絶対良くないよ......
三食しっかり食べないと行けないと思うんだけどな。
「じゃあボクがお昼作ったげるよ」
「え?いいのか?」
「うん!ボクもお昼はまだだったしね!一緒に食べよう!」
ふっふっふー、腹を満たしてから戦場に向かおうじゃないか!
「美味かった、いつもありがとな」
「お粗末さまでした!いつも美味しそうに食べてくれてこっちこそありがとう!」
お昼ご飯を食べたのでもうそろそろ格ゲーを始めたいなーって時
「「ブー、ブー」」
ん?ボクのかな?
いや、どっちも?
「ごめんね、ちょっと電話に出る」
「いや、俺もだから」
そう言って携帯の画面を見てみると『母さん』の文字が。
お母さん?なんの用事だろう。
「もしもし、どうした?」
『今澪の家の前にいるんだけどさ、チャイム鳴らしても出ないから家にいないのかなーっていう確認をしようと思って』
「え!!?嘘でしょ!?」
『嘘じゃないわよ』
え、なんて言おう
家にいるよ?
→じゃあなんで出ないの?
もう少しで帰るよー
→橘さんの家から出るから鉢合わせる
出掛けてるよ
→あら、そうなのね
コレだァ!
「母さんごめん、今出かけてるんだ」
『あら、そうなのね。じゃあ帰ってくるまで待ってるわ、あなたの事だからそんなに遠出してないはずでしょうし』
なん......だと......
「ボクが遠出してるかもしれないじゃん」
『かもしれないわねー、かも』
くっ、自分で墓穴を掘ってしまった......
『ともかく待ってるわねー』
「ちょっ、m」
プツッ、プー、プー
お母さんが話を最後まで聞かないで切っちゃったよ!
た、橘さんに相談しないと!
「どうしよう!ボクのお母さんが今ボクの家の前に居るって!どうやって帰ればいいかな!出たらバレる!」
「え?本当か?今俺のお袋も家の前に居るって連絡が......」
え!?同時に来てるってこと!?
「え?ど、どうしよう。出てったら絶対異性の部屋に行ってたの?もしかして彼氏!?って騒がれるんだけど!」
「ウチもだ......」
ど、どうしよう!
「あっ、そうだ、ベランダを伝って島風の部屋に入ればいいんじゃないか?前に教えただろ?窓を揺すれば入れるって」
「あの後鍵を変えたから多分入れない!」
ちょっとセキュリティ面で怖かったからすぐに変えちゃったよ!
「マジかぁ」
ガチャッ、ドタドタドタ
「鏡ちゃん!開けるのが遅......い......」
「「あ」」
そちらを見ると身長がボクより少し大きいくらいの見た感じ20代のお姉さんが居た。
「唯!ゆいー!ウチの子が女の子を連れ込んでるー!」
「ちょっ待っお袋ー!」
え!?橘さんのお姉さんではなくお母さん!!?
いや、ちょっと待てよ?
ゆい?ユイ?唯......ん?
「え、唯ってボクの母さんの名前なんだけど」
「マジで?」
「うん」
橘さんが何か嫌な予感がするのは俺だけだろうか、見たい顔をしているな。
「大丈夫、ボクもそう思ってる」
「大丈夫じゃないし、ナチュラルに内心読むな」
いや、読んだというより書いてあったというか。
「ほら見て唯!可愛い子を連れてる!」
「そーね!やっぱり私の澪は可愛いわよね!」
「私の澪?ってことは唯の娘?」
「そーよ、ということは澪の彼氏が紗良の息子?」
やっ、やっぱり母さんだった!
ど、どうしよう。
どうやってこの後を、いや、え、あー。
焦って思考が全然まとまらない状況だったが橘さんが動いたのを見て少し落ち着きを取り戻した。
「お袋、とりあえず落ち着け」
そ、そうだね。
とりあえず母さんを落ち着けるのが最初か。
橘さんナイス判断。
「母さん、とりあえず落ち着いて」
「あと俺は島風とは付き合ってないぞ?」
うん、確かに付き合ってないね。
でも何かモヤッと?
いや、とりあえず母さんをどうにかしないと。
「ボクも橘さんとは付き合ってないよ」
「「そりゃあ、私とは付き合ってはないわよ」」
え、どうして母さん達が反応を?
「え?いや、そうだけど」
「ごめん母さんボクたちにはその反応が分からないんだけど」
「だって私、島風 唯だから島風だし?」
「私は橘 紗良だから橘だし?」
「「名前で呼びあってないと分かんなーい」」
なんでそんなハモってんの!!?
しかもそれって判断つくでしょ!!?
「べ、別にボク達がどう呼びあっててもいいじゃん」
「でもどっちを呼んでるか分からないわよー」
「どうにかしてよ橘さん!」
助けて!橘さんなら行けるはず!
「えー、私も分からなーい」
「違うよ!?橘さんのお母さんに言ったんじゃないよ!?」
どうして橘さんのお母さんが反応するの!?
「あ、そーよ名前で呼び合えばいいじゃない」
「え?お袋それは、どういうことだ?」
「ボクからしたら橘さんのことをか、か、鏡くんって呼ぶってことじゃないかな?」
つまりさっきの話してた感じだとそういう事だよね?
というか鏡くんって呼ぶの恥ずかしい。
橘さんを名前呼びするなんて初めてだし。
「その案よ紗良!さては天才ね?」
「あったりまえよ〜唯、伊達に物語を紡いでないわ!」
そういえばなんでこんなに仲良さそうに話してるの?
「ボクから見て母さんと、か、鏡くんのお母さんは友達に見えるんだけど仲がいいの?」
「私達は幼なじみよ?」
「昔からの付き合いってことよ」
「私が作家を始めた時も手伝って貰ったわねー」
「え?鏡くんのお母さんは作家さんなの?」
気になったので鏡くんの方を見て聞いてみる。
「お袋は『アモル・スペクルム』っていうペンネームで作家をやっているんだ、澪ももしかしたら知ってるかもしれないぞ?」
「え?鏡くんのお母さんはアモル・スペクルム先生なの!??超有名じゃん!」
テレビとかのCMとかにも書籍情報流れたりするやつじゃん!
「まぁ、そこはいいんだ、お袋は何をしに来たんだ?」
「え?生活チェック?まぁ可愛い彼女ちゃんがいるなら大丈夫よね!」
「だから彼女じゃないって!」
「え?でもあれ」
鏡くんのお母さんは台所の方を指を指す。
ん?台所?
「鏡ちゃんが使うわけがないのに使われてる事考えるとそういうことでしょ?」
「そういえば澪が最近友達とご飯食べてるって言ってたけど鏡くんの事だったのね?」
あ、お皿片付けるの忘れてた。
「家隣でご飯も毎日一緒に食べてる?そんなの通い妻じゃん」
かかか通い妻!!?ち、違うよ!
「違うよ!なんでそうなったの!?というか母さんは何しに来たの?」
「紗良が息子の所に行くって言うから付いてきた!」
「思った以上に理由が薄い!」
母さんのテンションが上がってる状態と話すのは疲れるんだよ!!
「なぁ、み、澪、これお袋止まんねぇわ」
「大丈夫、ボクの母さんも止まらないから」
「あ、澪ちゃん?私色々と聞きたいことあるし連絡先交換しよ?あと、私のことは紗良って呼んでね!」
「え?はい、わかりました」
え、なんか勢いで鏡くんのお母さんと連絡先を交換しちゃったんだけど。
「鏡くん、私のことは唯って呼んで構わないからね?」
「え、あ、はい」
「ついでに連絡先交換しようか、携帯出して?」
なんか鏡くんも鏡くんで母さんと連絡先交換してるし......
「じゃあ私達は帰るわね」
「鏡ちゃんまたねー!また来るよ!あ、澪ちゃんこれあげる!」
あげると言って何かを投げて、投げて!?おっとっと、危ない危ない落とすところだった。
「お袋は何を投げてったんだ?」
「これ」
これは鍵かな?
「これどこの鍵だ?」
「さぁ、でも紗良さんが渡してったから何か関係があるやつなんじゃ」
「そういえばお袋玄関閉めてってなくないか?」
「閉めてないかも?」
音はしなかったと思うけど、たぶん?
玄関の方に鏡くんが行ったのでついて行く。
「なぁ島風」
島風?一度名前で呼んでくれたのに名前呼びしてくんないのかな。
何かモヤモヤして、こうプクーっとしてしまう。
「え?どうしたんだ?」
「名前」
「は?」
「ボクの名前」
鏡くんはよく分かっていないのか首を傾げてしまった。
「ボクの名前は?か・が・み・く・ん?」
そう言うとびっくりした後に少し照れくさそうな表情で
「み、澪」
と呼んできたので嬉しくなって頷く。
ヤバい、頬の緩みがおさまらないよ。
「なんだね?鏡くん」
「もしかしたらその鍵ウチの合鍵かも」
「へ?そんなわけないんじゃない?流石にボクに合鍵を渡すってことは......」
いやいや、なんで関係ないボクに合鍵なんか......
外の鍵穴に鍵を刺しこみ捻ってみると。
「あ、回った」
「マジかぁ、普通渡すか?」
「渡さないと思うよ?」
渡されてもボクもボクで困るんだけど......
「流石にボクが合鍵持っとくわけにもいかないから返すね?」
「いや、持っとけ」
「へ?なんで?」
「毎日チャイム鳴らすのめんどくさいだろ?」
「まぁ、確かにそうだけどそれとこれは違うんじゃ」
「何より開けに行く俺がめんどい」
出たよー、鏡くんのダメなやつー。
ふふっ、相変わらずだねー。
「ぷっ、何その理由、完全に怠惰じゃん」
「だってそうだし、ざっとそんなもんよ」
「ハハハ、オッケーじゃあ持っとくね!」
ふっふっふー、ボクに合鍵を持たさせたからには結構な頻度で遊びに来ちゃうもんねー!
その日の夜
ゴロゴロしている時携帯に通知が来た。
ん?誰からだろう?
携帯を見てみると紗良さんからメッセージが来たと出ている。
『よろしくね!家での鏡ちゃんの様子とか澪ちゃんのこととか色々と教えてね!』
『はい!よろしくお願いします!』
うーん、いうて特にはなすことがー、あっそうだ!
『ボクの母さんとは幼なじみって言ってましたがなんでボクと鏡くんとは会わせようとかにはならなかったんですか?』
これを送るとすぐに既読がつき
『小学校上がる前くらいに合わせようって話は出てたんだけど、ほらその頃の澪ちゃんは塞ぎ込んじゃってたでしょ?』
え、なんでそれを。
いや、母さんから言ったのかな?相談してたのかもしれないし。
『だからやめといた方が澪ちゃんのためになるかなーって思ってねー、今も周りとあまり関わってないって聞いてたけどまさかウチの子と仲が良かったとはねー』
『凄い確率ですよね笑今ボクが素を出して信用できるのは鏡くんだけだから今後も仲良くしていきたいと思っています!』
『ふふふ、私からもお願いするわ、あの子できるけどやらないダメな子だから監督よろしくね?』
『任しといてください!』
この後色々と話していたら気づいたらいつの間に寝てしまっていたのだった。
今年最後の更新です!来年も頑張っていこうと思っていますのでよろしくお願いします!
良いお年をー!
暫定の評価でも構いません、自分の指標になるので出来れば評価をお願いします。