表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/59

二十一話 ボクのサプライズ ※澪視点


ボクの本当の姿を鏡くんに見せた次の日



「島風、今日なんか王子に話しかけられたんだけどさ」

「王子って誰?」


なにさ、その王子っていう恥ずかしい称号をつけられてる人は。


「うちのクラスにいる九重湊ってやつ、知らん?」

「んー、全く知らないかな名前初めて聞いたもん」


普通に名前呼んであげた方が絶対いいと思うんだけどそれ。



「ほら、よく女子が群がってる男子いるじゃんか」

「あー、なんか分かったかも。爽やかそうな感じがしそうな人でしょ?」

「そうそれ」


あー、あの人か。

確かにカッコイイけど橘さんの方がカッコイイと思うんだけど。



「まぁその王子に話しかけられたんだけどさ、今週の土曜日にサッカー部の練習試合があるらしいんだけどそれに参加してくれって言われて、それにいかないといけないらしいんだよね」

「そうなんだ、え?橘さんってサッカー部?」

「いや、違うなんか諸事情でサッカー部の人数が足りないから助っ人?みたいな感じ」

「そうなんだー、あっ、そうだ!」


橘さんがサッカーやってる所を見てみたいな!



「ボクが応援に行ってあげようじゃないか!」

「いや、普通に無理じゃないか?観客に入りに来ることは出来るだろうけどサッカー部の応援って今まで行ったことないだろ?」

「うん、全くないよ」


興味もないし見に行くことなんてないもん。


「じゃあ、不信に思われるだろ」

「うーん、確かにそうだねー、あっ、そうだ春風さんって確かサッカー部のマネージャーだったよね?」

「ああ、サッカー部のマネージャーのはずだぞ」

「なるほどねー、いいこと思いついちゃったー」


春風さんとは面識があるし手伝いとして行くからサッカーの練習試合を見せて欲しいって言えばいいじゃん!


「それで、いいことってなんだ?」

「チッチッチー、ネタばらしをされたらつまらないでしょ?楽しみにしておくがよいぞ!」


そんなのバラしたら面白みがないじゃん!

やっぱりサプライズの方が楽しいもんね!



練習試合当日、春風さんに言われた時間に学校へと行く。


「おはようございます春風さん、本日はありがとうございます」

「いやいや、こっちこそ助かるから全然問題ないよ!」

「春っちー!来たよー!」


春風さんに挨拶をしていると大きな声を出して走ってくる少女がいた。


あれは、いつも橘さんと一緒にいる子?


何か二人で話していたが、時間が来たようでこっちの方に来て。


「時間だから行こうか」


そう言って腕を引っ張られながら案内された。

その先には王子?と呼ばれている人が前に出て男の子達に話をしていた。



「で、本日の練習試合限定でサポートをやってくれる人物が二人います!」

「はーい連れてきたよー湊」

「あっくん!鏡!来ちゃった!」

「おー!シズ来てくれたか!」


やっぱりあの子は橘さんの友人だったんだね。

あっと、ボクも挨拶しないと。


「本日サポートを努めさせていただきます、島風澪です、よろしくお願いします」


チラッと橘さんを探してみるとこっちを見ていた。


ふっふっふー、ビックリしたでしょー。


流石に出す訳にはいかなかったので心の中だけでドヤ顔をしといた。


そのあと少しすると試合がはじまったので見ていると。



「あの橘って人、なんであそこにいるの?」

「なんでもサッカー部の人が休んだらしくてその代理らしいよ?」

「へー、優しい人なんだねー、でも王子のプレーの邪魔したら許せないから頑張って欲しいねぇ」


集まっている女の子達が何かを言っている。


なにあの怖い集団、相手の人も固まってたよ。

ボクだったら普通に引くな、あれは。


橘さんもマークしていた人も普通に固まっていたし。


前半も終わったようなので橘さんの所へ行く。



「橘さんお疲れ様です、タオルと飲み物です」

「助かる」

「前半あまり動いてなかったようですが、調子が悪いのですか?」

「邪魔にならないようにあまり動いてないって感じだな」

「なるほど、あの応援団の圧ですね」


あの中で自分のプレイをするのは難しいよね。



「なるほど、ではそこの圧を越えれる程のやる気を出せば問題がないわけですね?」

「そのやる気が出ないっていうのが事実だけどな」


やる気やる気かー、どうすればでるかな。

あっ、そーだ!


いいことを思いついたので他の人に聞こえないように近づいてから。


「今日の試合頑張って活躍して勝てたら、ボクお手製のオムレツをご馳走してあげるよ?」


そう言って橘さんの顔を見ると。


おー、揺れてる揺れてる。

やっぱり好きなんだねー。



「分かった、俺に任せておけ、オムレツは俺のものだ」


ふっふっふー、作戦通り!


そこで橘さんの顔を見ると、ふと前髪が邪魔そうに見えた。


そーだ、ピンを貸せば一気に動き方が変わってもあの女の子達に何も言われないかも。



「ではこのピンを貸してあげます、髪が邪魔でプレーに支障が出ているならこれをつければ問題がないはずです。」

「助かる」


受け取ってくれた橘さんは自分で前髪を止めて顔が見えるようn......!!?


「ふぇっ」


いきなり整った顔が目の前に現れてドキッとした。


ちょっ、ちょっとボクやばいかもしれない。

え、えーと


「それじゃあ私は他の人のところに行きますね、では」


その時は逃げるように立ち去って、後半が終わるまで落ち着くことが出来なかったから、正直あまり試合が見れてなかったんだよね。


でも、きちんと橘さんがシュートを決めたところだけは見ていた。


カッコよかったなぁ、いつもはポケ〜としてるけどきちんとする時はカッコイイんだよね。


試合も終わって家に帰りご飯を食べる。


んー、この後暇なんだよねー。

あ、橘さんと遊ぼうかなー。


友達と遊ぶっていうのは久しぶりだなー、そう思いながら橘さんの家に行く。



ピンポーン


流石に居ないってことは無いよね?


「はーい」

「ボクだよ!開けて!」


良かったー、出かけてなかったー。


ガチャリ


「今日は早いんだな、どうかしたか?」

「んー、どうもしてないよ?遊びたいなーって思ったから来たんだけどもしかして寝てた?」


いつもより髪の毛がボサっとしているような気がする。


「まぁ、ちょっとな」


あー、それは申し訳ないことしたなぁ。


「そっかー、ごめんね?起こしちゃって」

「別に全然大丈夫だぞ?そんで遊ぶってどっか行くのか?」

「んー、橘さんの家で遊ぼうかなーって思ったんだけど」

「いいけど家でできるのはせいぜいゲームだぞ?」


お!いいじゃんゲーム!結構好きなんだよねー。


「じゃあゲームしよ!」

「オッケー、とりあえず格ゲーでいいか?」

「いいよ!ボクの腕が炸裂しちゃうからね!!」


ふふふっ、ボクの腕の見せどころだね!



と、しばらくやって見たのだが。


「ここをこうしてこう!」

「そんじゃ、ほいっと」

「なぁ!!それを返せるの!!?」


『KO』


「ニャァァ!負けたぁ!橘さん強すぎ!」

「どちらかというと島風があまり上手くないと思うのだが」


いや、ボクが思うに橘さんは強いはずだ!

それに鉄板のコンボを返されるなんて思わないし。



「くっ、これが才能の差というやつか!だがボクは負けん!」

「いや、もう負けてるし、もうそろそろ違うゲームしようぜ」

「えぇー!負けっぱなしは性にあわないだよー、もうちょっとやろーよー」

「いいけど勝てるまでやるってどんくらい続くんだよ.....接待プレイは嫌だろ?」

「当たり前だよ!でもそうだなぁ次は勝てるような気がするんだよね!」

「それ負けフラグじゃねぇか、じゃあこれがラストな?」


ふふ、いいだろう!ボクの本気というものを見せてあげるよ!



「どうして勝てないんだァァァァァ」

「まずは敵がいない方に超必打つのやめような?」


......だってコマンド打つ前に反対向いちゃったんだもん。


「まぁ、これで満足したろ?次のゲームを」

「いや、もうそろそろご飯を作るよー、いい時間だからね」


もう夕飯の準備を始めなければいつもご飯を食べてる時間に間に合わないからね。


この後ご褒美ということでオムレツを振舞ったけどいつもの二倍くらい美味しそうに食べてくれていた、もしかしたら勝利の味を感じてたのかもね。



「あと、このピンを返すよ助かった」

「いえいえ、ボクは橘さんに頑張ってもらいたかったからだからね!気にしないでいいよ!」


助けになったのなら嬉しいことだしね!


前髪が目にかかったと思ったらピンで橘さんが止めてくれた


「ん?ありがとう!」


感謝してたら橘さんが頭に手を伸ばしてきていきなり撫でてきた。


「ファッ......」


え、ちょっ、どゆこと?

恥ずかしいんだけど。

いや、でもなんか心地いい?


ふわふわとした感じがしてしばらくポーっと撫でられていた。


けど恥じらいをまた感じ始めたので


「ね、ねぇ橘さん?ボクはいつまで撫でられてる感じなの?」

「え?」


言った途端に橘さんは自分の撫でていた手を見ると驚いたような顔をした。


「す、すまん」

「ううん、べ、別に問題ないよ」


もしかして無意識だったのかな?


でもなんだろう、ドキドキはしたけどなんかそれだけじゃなかったような?


「お、俺皿洗ってくる」

「う、うん分かった」


でも恥ずかしいには恥ずかしかったからなんとも言えない感情なので、ちらっと見えたソファーへと駆け込み顔をうずめた。


「あうぅぅぅ」


なんか、台所の方から視線を感じたのは気のせいじゃないだろう。




それから何日か経った後のLHRがあった日かな?

一緒に文化祭を回ろうって話をしたんだ!



「今日のロングでさー文化祭の話出たんだけどそっちはどうだった?」

「うちも文化祭の話だったぞ?」

「そっかー橘さんのクラスは何するのー?」

「ウチはボーリング調査だ」

「おー、なんか地味に面白そうな微妙なラインを攻めるねー」


ボーリング調査って確か理科の授業で習った地層調査のやつだよね?



「島風のクラスは?」

「ウチは縁日だってさー、しかも男子達がすごい乗り気で女子は準備と片付けを手伝ってくれれば当日シフト入りたくない人は入らなくていいってさー」

「それはどういうことなんだ?」

「なんでもそのやらない人の分自分たちがやるってさー、縁日のおっちゃんをやりたいらしい」


なんか、男の子って時々よく分からないこと言うんだよね。

まぁ、女の子も女の子でよくわかんないけどさ。



「島風はシフトに入るのか?」


橘さんと回りたかったから入らないよ?


「んーん、ボクは入らないよ、だから暇してるからボクと、あっ、なんでもない......」


あー、そういえば橘さんは学校ではボクとの関わりを隠すって言ってたなぁ。

一緒に回りたかったんだけどなぁ......



「......島風、俺と一緒に回るか?」

「え、いいの?ボクと学校では関わりを避けるって言ってたのに」

「それは俺だとバレたらお互いに困るからだ」


それだったら人も多いし難しいんじゃ......


「でも文化祭ってどこに行っても人は居るよ?」

「分かっている」


「安心しろ俺が何とかするからな。

まぁ、一緒に回りたくないなら別にいいん」


何とかしてくれるなら行くに決まってるじゃないか!


「行く!回るよ!」


橘さんが最後まで言い切る前に言った。


「お、おう」



「それじゃあ一緒に回るか、多分俺もシフトはないだろうから朝から回れるとは思うが」

「じゃあ朝からだね!楽しみだなー!」


ふふふっ、楽しみだなぁ!

友達と文化祭を回るなんて高校生してるなって感じ!


次回も澪視点です。


暫定の評価でも構いません、自分の指標になるので出来れば評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ