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十六話 甘いキムチ


「んー、腹減ったなぁ」

「もうお昼は過ぎていますからね」


勝負に熱中していたので時間を見ていなかった為今が何時なのかを把握していない。


「そうなのか?今何時なんだ」

「今は1時半ですね」

「もうそんな時間か、さすがにもうそろそろ飯を食うか」

「そうですね、とりあえず外の出店に行きますか」


そう言って校舎を出る。

食品関係をやってる大半は校舎から出て正門へと伸びる道に並んでいる。

文化祭始まって終わるまで外で飯食ってて校舎の中に入らないやつって絶対いるんだよな。


「結構色々な種類ありますね」

「そうだな、なんか食いたいやつはあるか?」

「そうですね、たこ焼きとかはどうですか?」

「いいぞ、俺は焼きそばが食いたいからそれもいいか?」

「ええ、では買いに行きましょうか」


それぞれ一つずつ買ってベンチへと移動する。


「お、この焼きそばうまいな」

「本当ですね、何でもソースから作ったらしいですよ」

「マジか、文化祭にそこまで力を入れるのか、うちのクラスは校庭のボーリング調査だぞ?」

「それもそれで面白そうですけどね」

「まぁ、やった側は面白かったけどな、調査結果を見る側はさておき」

「そうなんですね」


雑談をしつつ焼きそばを食べていると食べ終わってしまったので次はたこ焼きを食べる。


「お、たこ焼きもうまい」

「本当ですね、文化祭なのに結構食品は力が入っていますね」

「そういえば島風はたこ焼きのキムチ入りを買ったんだっけか」

「はい、そうですよ?もしかして気になりますか?」

「あー、まぁ気にはなっているが普通のたこ焼きを食べたかったんじゃなかったのか?って思ってな」

「そうですね、普通の味のたこ焼きも食べたかったですがキムチ味が気になりまして」


そこまで島風が話すとハッと何かに気づいたような顔になり。


「さっきキムチ味が気になるって言ってましたよね?普通のたこ焼きと交換というのはどうですか?」

「お、それはいいな

じゃあ交換しようか」

「では、はい」


そう言ってキムチ味のたこ焼きにつまようじを刺してこちらに差し出してきた。


「......え?」

「早くしてください、落としてしまいそうです」


え、これって俗に言う『あーん』って状況だよな?

しかもそのつまようじさっき島風使ってたよな?


「え、ちょま」

「ほら、早く、本当に落ちちゃいますよ」


そう言ってグイッと近づけてきたので仕方なくパクッと食いつく。


鏡は顔を赤くしながらもぐもぐとたこ焼きを食べる。

だが本来は辛味があるはずのキムチは味がしなく、もはや甘いような気がした。


なんでこんなことを島風は何とも思わずやるんだよ、ガードが緩すぎるだろ。


何か、自分だけがやられただけだと癪だな。


そう思った鏡は自分のたこ焼きをつまようじに刺して先程島風がやってきたように口元へと差し出す。


「ほら、ノーマルのたこ焼きだ」

「ありがとうございます」


そう言いながらパクッと食いつくいてもぐもぐしている。

なので鏡はそのもぐもぐしている島風を先程差し出したつまようじをそのままの状態にしずっと島風の顔を見ている。

その間島風もずっと鏡のことを見ていたが、ちらっとつまようじを見たあともう一度鏡のことを見ると顔が赤くなってくる。


「この前もそうだが食べさせ合いは好きな人とか女子同士でやろうな?こうなるから」

「は、はい、凄いですね、付き合ってる人達はこういうことをしてるんですもんね」

「そうだな」


なにか、こう微妙な空気が流れてしまったのでたこ焼きを食べる。

同じように島風もたこ焼きを食べた後つまようじをじっと見る、その後鏡の口の辺りを見るとまた顔を赤くする。


いや、今関節キスに気づいたのかよ。

さっきの流れで気づいていると思っていた鏡はジト目を島風へと向けた。




「あれ?島風さん?」


そこで聞いたことがある声が聞こえたのでそちらに振り向く。

するとそこには春風と湊がいた。


これ、さすがにバレないよな?大丈夫か?


「春風さんじゃないですかどうしたんですか?」

「いやぁ、この前の練習試合の手助けを申し出てくれたじゃん?すごくありがたかったから感謝をって思ってねー」

「いえ、その件に関しては私がご迷惑をおかけしましたので」

「助かったのは事実だから素直に受け取ってよー」


そう言いながら春風はこちらを見てきた、そして見たのがわかったのか湊もこちらを見てきた。

すると湊が春風に耳打ちをする


「あの人カッコよくね?先輩かな」

「どうだろうね?」


すると春風が首を傾げて島風を見始めた。


「あー、なるほどねーそういうことかー」

「どういうことですか?」


そう島風が聞くと春風は近づいて耳元で何かを言っている。

その話を聞いた後島風は目を丸くして春風のことを見る。

その顔を見た春風は満足そうな表情をしながら離れる。


「そういえば島風さんは後夜祭に残るの?」

「今残るか迷っているところです」

「そうなんだー、私は湊が一緒にダンスしよって言うから残るんだー」


............ん?異性とダンス?

パッと港の方を見ると苦笑いをしている。

湊って春風のことが好きなのか。

しかも全く気づかれてないと、可哀想すぎる。

......今度なにか奢ってやろう。


「じゃあ私たちはもうそろそろ行くねー」

「はい、ではまた」


2人が挨拶を交わした後春風が鏡の所に行き耳元で誰にも聞こえない大きさで、


『きちんと島風さんをエスコートするんだよ?橘くん?』


と言った後去っていった。


「なぁ、バレてるんだがさっき島風の耳元で言ってたのはそういうことか?」

「そういうことですね、推理の理由もきちんと言ってきましたよ」

「マジか、どうしてバレたんだ?」

「この前サッカー部の練習試合の時に春風さんにお願いして行ったのですけど、そこで目当てがいつもは来てない橘さんか宮本さん?って人のどっちかだと思ってたらしいんですけど、橘さんの髪の色で確信したらしいです」

「あー、練習試合の時と今回の二人でいるのと髪の色で確信したと」


正直そこからバレたのかー、と思わざるを得ないが恐らく春風なので広めるということは無いだろう。


「まぁ、春風だから多分大丈夫だろ」

「そうですね」


問題ないと安心する2人であった


暫定の評価でも構いません、自分の指標になるので出来れば評価をお願いします。

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