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十五話 射的


あれからいつも通りの毎日に文化祭準備が加わった、ボーリング調査を行いそこからの考察など、文化祭への準備は着々と進み、文化祭当日


朝、担任が教壇でHRを行う。


「えー、今日は皆さんが高校生になって初めての文化祭です、いくら学校と言っても行事ですから悔いのないように羽目を外しすぎない枠で目いっぱい楽しんでください。」


今日の文化祭ではシフトはなく時々先生がうちのクラスを見回ってくれるらしく、本気で楽しんで欲しいっていうことなのだろう。


「おーい、鏡一緒に回ろうぜ!」

「すまん先約があるんだ、だから静香と二人で回ってこい」

「シズと回るのはそうなんだが、湊と回るのか?」

「いや、違うぞ?」


約束しているのは島風とであって湊でもない。


「え、お前他に友達居たんか」

「おい、それ俺に対して酷すぎねぇか?」

「え、逆にいるの?」


確かにお前らと島風くらいしかいねぇけども。

いや、なんか認めたら癪じゃねぇか。


「い、いるし......たぶん」

「ぷっ、たぶんってなんだよ」


吹きながらこちらを見てくる彰久。


「まぁともかく先約があるから無理なんだよ、諦めろ」

「うわぁ、話ずらした当たりマジでボッチっぽいー」

「うっせぇ、余計なお世話じゃ」

「そういえば後夜祭はどうすんだ?女子とフォークダンスするなら写真撮ってやんぞ」

「いや、なんで写真撮るんだよ」

「鏡は知らないのか?後夜祭の時に異性とフォークダンスを一緒にすると一緒になれるっていうジンクスがあるんだ」

「へー、まぁ異性と踊ることは確実にないしそんなジンクス信じねぇわ」

「まぁ、前提として鏡が異性とフォークダンスを踊れないだろうけどな。

異性に友達いないだろうし」


と、笑いながら言ってきた。


くっそ、コイツマジで殴っちゃろか。

拳を握りプルプルしていると。


「ハハハ、すまんすまん、そんじゃまぁシズの所にでも行くとするかぁ」


そう言って去っていった。


「......俺も準備しに行くとするか」


そうしてトイレへと向かっていく鏡であった。



ちなみにトイレへと向かった理由は変装をするためなのだが、どのような格好をするかというと、ブレザーの下にパーカーを着て髪をワックスで上げるだけというシンプルな変装だ。

いつもの見た目と比べてみるとこれだけしかしていないのに天と地の差があるほどにわからない。


たぶん彰久と静香に見られるとバレるからなぁ、そこだけは注意しねぇと。


「さてと、もうそろそろ待ち合わせの場所にでも行きますかね」


約束の場所は学校裏にある桜の木、今は丁度葉が落ちた頃だろうその木で待ち合わせをしていた。


何分か待っていると携帯が震えた。

そこを確認してみると、『ごめん!今HR終わった!今から行くね!─=≡Σ((( つ•̀ω•́)つ』と来ていた。


少しすると走ってくる音が聞こえてきた。

そっちを見てみると島風が走ってきていた。

島風が木の下に着くと周りをキョロキョロとして首を傾げ始めた。

そしておもむろに携帯を取りだし何かを打ち始めた。


ブルブルブルブル

ん?携帯のバイブ?

取り出してみると島風という文字が。


......さては俺の変装に気が付いてないな。


「どうした島風、俺が見つからないって話か?」


電話に出てそう話しかけると驚いたようにこちらに振り返ってきた。


「え、え?橘さん?」

「そうだが、実際に電話に出ただろ?」


驚きの顔は完全に素の状態であったがいつ人が来るかも分からないからか一瞬で外での顔に戻る。


「すみません、いつもの見た目と違かったので全然わかりませんでした」

「問題ない、そのための変装だ、逆にバレているならそっちの方が問題だ」


そう易々とバレてしまうのであれば変装の意味が無いのだから。


「まだまだ橘さんのことを知らないってことですね」

「なぜそうなる」

「よく見ていれば分かるはずでしょう?私としてはいつも見ているつもりでしたがまだまだですね」


まぁ、確かに彰久と静香は分かっちまうだろうからな。


「まぁ、今日は俺だってバレないようになのだから目的は果たしているから問題は無い、だが俺とよくいる二人組だけにはバレる可能性が高いからできるだけ避けるぞ」

「なぜですか?」

「あいつらは絶対俺の変装を見破るだろうからな島風と一緒にいるのがバレると不味い」

「......分かりました、とりあえずどこかに行きましょう。」


何か不満そう?な感じを醸し出しながらも島風は了承してくれた。


「逆に行きたいところはあるのか?」


正直鏡は文化祭のパンフレットを見てないので何があるのかとかは分かっていない、一応回りたい種類?はあるのだがとりあえず島風の行きたいところに付いてくつもりなのだ。

もしもないなら適当にぶらつこうと思っているのが。


「んー、特にないですね」

「なら適当にぶらつくか」

「了解です」


そう言って二人とも歩き出しとりあえずと校舎に入っていった。


「なぁ、姫と一緒にいるあの男は誰だ?」

「ねぇ!島風さんと一緒にいる男子かっこよくない?」

「あれ、うちの高校の制服ってことはうちの生徒だろ?誰だ?」

「あのイケメンは島風さんの彼氏なのかな?」


廊下を歩いていると、周りからの視線が面白いものを見るような目や怨嗟の瞳があったりなどする。

ザワザワしている声の中、自分と島風のことを話しているのが聞こえてきた。


よし、俺だとはバレてなさそうだな、変装したかいがあったな、だけどこれ島風に彼氏がいるとかっていう噂流れねぇか?


そこまで深く考えていなかった鏡は心配になり。


「なぁ、島風噂になりそうだが大丈夫か?」

「大丈夫だと思いますよ?聞かれてもしっかり付き合ってないと否定しますし」

「そうか、島風が問題ないならいいか」


鏡はバレていないので周りに波は立たないが島風は変装している訳でもないのでバレてしまう、だから聞いたのだが問題は無いようだ。


「とりあえずあそこに入ってみるってのはどうだ?」


鏡が指し示したのはストラックアウトをやっているクラスだ。

鏡は文化祭を回る時はストラックアウトや射的、縁日系はほぼ全てを回るようにしているので、行きたいところなのだ。


「いいですよ?橘さんは文化祭でこういうのやるんですね」

「俺は祭りになるとこういうのは全て制覇したくなるタチでな」

「そうなんですか、意外ですね」

「まぁ、それは俺も思うが、そういうことなんで出来ればそういうの系は入れるとありがたい」

「いいですよ、では勝負をしましょう合計の勝利数が多い方が勝ちで負けた方は一つ言うことを聞くというのは?」

「お、いいぞ?祭りには自信があるのか?」

「射的以外はできます」


と、微笑みながら言ってくる。

いつもの表情じゃない仮面の微笑みを見て少しモヤっとした気持ちになった。


「射的は出来ないんだな」

「えぇ、どうしても銃を撃つ感覚になれなくて」


あれは銃と呼んでいいのか?

いや、銃だけれども。


「あとは撃った方向とは違う方に飛んでいくことが多いですし」

「まぁ、それはあるな」


射的のコツは意外と銃のクセを覚えることだったりする。

銃のクセを覚えてどれほど曲がるのかなどを考えながら対象物の重心をずらす事を考えるということだ。


「じゃあ射的は抜きにするか?」

「ありの方がいいです、勝負なのですから正々堂々と戦いたいじゃないですか」

「分かった、そうしようか」





結果から言おう、回れるところはあるが全敗してしまっているので、もう負けが確定してしまっている。

というか惨敗である。


ストラックアウトでは5球で全部抜くし、型抜きは最高難易度をすぐに終わらせるし、輪投げも最高得点のところに全部入れる等、ボロボロに負けてしまっていた。


「最後は島風のクラスだな、次こそは負けねぇ」

「私のクラスの出し物は射的ですし勝てるのではないでしょうか」

「まぁ、その一回に勝ててももう負けは決定しているんだがな」


島風のクラスは射的か、結構射的は得意だしどんな景品があるか楽しみだ。

まぁ、ほぼお菓子だろうけどな。



島風を引連れ島風のクラスに入る。

すると


「姫が男を引連れてきた!?」

「姫が前々から友人と約束があるって一緒に回るのを片っ端から断ってたけど友人って男!?」


基本的に男で回すと言っていた通りクラスでシフトに入っていたのは男だけのようでこちらを怨嗟と興味が入り交じった目線を向けてくる。


「先にやってもいいですか?」

「ああ、いいぞ俺は後でも構わん」

「勝ち負けはどうしますか?」

「そうだな、商品を落とした数でいいんじゃないか?」

「それだとお菓子で荒稼ぎできてしまいますよ?」

「ならひとまとまりになってるお菓子を一つという換算で」

「分かりました」


そう頷き、射撃銃を受け取り五発分の弾をもらう。

最初に1番上段にあるヘアピンを狙って撃つも左に逸れていった。

二発目もヘアピンを狙うが次は右側に逸れていった。

どうやら二発目で諦めたようで三、四、五発目

は全てお菓子を狙い五発目以外はお菓子に当たった。


「やはり射的は苦手ですね、あまり当てられませんでした」


そう言って少し眉を下げた。


「苦手と言っても二回当ててるじゃんか、下手な人はかすりもしないぞ?」

「そうなのですか?あまり他の人と射的をやったことがないのでわからないです。」

「苦手という程でもないと俺は思うぞ?普通くらいじゃないか?」

「そうなのですね、ありがとうございます」


本音で言ったつもりだがもしかしたらお世辞だと勘違いしているかもしれないと思ったが、まぁいいか。


「じゃあ次は俺な、すまん弾を貰ってもいいか」


弾を五発貰って一発目を装填する。

とりあえず銃のクセを見るためにと中断に置いてあるチョコを狙う。

狙った場所よりも少し右上に飛んでチョコに当たり落ちる。


この銃は右上に飛ぶのか、さて、何を狙うか。


どれを狙うかを探している時にふと1番上段にあるヘアピンが目に付いた。


そういえば一発目と二発目に島風はこのヘアピンを狙っていたよな、これが欲しかったのか?


ちらりと島風を見ると首を傾げて来たので何でもないと言っておく。


分からないがあのヘアピン島風に似合いそうだし狙ってみるか。


どうやらそのヘアピンは後ろに輪っかのように丸めた紙を置いて立てているようだ。

恐らく目玉商品的なものなので当てやすいように立てるだけではなく少し落としにくくしているというのもあるのだろう。


真ん中を狙うと紙で耐えきってしまう可能性があるのか、となると狙うのは左右の端の方で出来れば上の方か。


鏡は銃のクセを考えつつヘアピンの右上を狙い撃つ。

撃ったコルクはヘアピンの右上に吸い込まれるように飛んでいき撃ち落とす。

ヘアピンは回転力を伴い後ろの支えを避けて下へと落ちた。


すると周りから「「「おぉー」」」と声が上がる。

残り三発も適当にチョコ等のお菓子に当て落としていく。


結果は五発全てが命中ということなので鏡の勝ちである。

初めての勝利の喜びからか島風の方に振り向き笑顔を浮かべてVの字を見せる。


「ッ......」


すると島風は顔を俯かせて顔を赤くした。


「どうしたんだ?」

「い、いえなんでもないです」


少しすると島風は顔を上げたので、本当に何も無い?のだと思う、島風はあんまり嘘をつく印象はないからな。

疑問に思いつつも納得する鏡だった。


暫定の評価でも構いません、自分の指標になるので出来れば評価をお願いします。

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