十四話 お前らそれでいいのか?
「そんじゃLHRすんぞー、座れー」
と、6時間目に担任が教室へと入ってきた。
「今日のロングは文化祭に着いて話してもらおうと思う、そんじゃ文化祭実行委員のやつ前に出ろー」
そう担任が声をかけると湊と彰久が前へと出た。
「そんじゃ、うちのクラスは何をやるのかを決めていこうと思う、やりたいやつは挙手して言ってくれ」
「はーい、お化け屋敷がやりたいでーす」
「じゃあ俺はほかのクラスとコラボしてスタンプラリーみたいなのをやりたい」
「他にはあるかな?」
と、こんな感じで文化祭のことをクラスメイト同士で話すためにざわつき始める。
もちろん鏡は周りに話す人が居ないため寝たフリをしていたのだが。
「おーい、鏡起きろー!楽しい楽しい文化祭決めだぞー!」
と、彰久が起こしに来たものだから、寝たフリを使うことも出来なくなってしまった。
「鏡は、何かやりたいことは無いのか?」
そう湊が声をかけてきた。
そうだなぁ文化祭でやることかぁ、正直めんどいから展示の方が良いよなぁ。
「校庭のボーリング調査とかどうだ?」
「ボーリング調査?」
「なんだそれ」
「あいつ、いつも喋らないからどんなやつかと思っていたが校庭でボーリングができるかどうかの調査をするってキチガイか?」
おい、最後のやつ俺はキチガイではねぇしボーリングができるかどうかの調査じゃねぇ。
「ボーリング調査っていうのは簡単に説明すると筒状のものを地面に刺してそれを引き抜くとそこに土が入って高さごとの地層、つまりどのような土が含まれているかがわかるっていうやつだ」
というか多分だが小学6年生の時にやったんじゃねぇか?
「棒を突き刺して土を取り出すと?面白そうだがそんな地味のでいいのか?」
「まぁ、確かにちょっと面白そうだが」
「あと、俺が思うに展示にした方が俺らは他のクラスを回れて遊べれるぜ?片付けも楽だし」
「あー、なるほどなぁ」
「確かに遊べるっていうのは名案よね」
片付けなんて一瞬だろうし、ただ人によってはつまらないだろうけどな。
「ほーい、そんじゃまぁ多数決にするかぁー」
こうして多数決で決めたのだが。
「それじゃあボーリング調査で決定だ」
マジかよ、お前らそれでいいのか?
さすがに全力で疑問を抱いた鏡であったが周りに耳を傾けてみると。
「ちょっとボーリング調査って面白そうじゃない?」
「最初の年だし先輩とかの回るの重視ってのもありだよな」
と、思った以上に鏡に賛同している人が多かった。
夜
夕飯が食べ終わり片付けが終わった後の息抜きの時間ソファーに鏡と島風が並んで座っていると島風が
「今日のロングでさー文化祭の話出たんだけどそっちはどうだった?」
「うちも文化祭の話だったぞ?」
「そっかー橘さんのクラスは何するのー?」
「ウチはボーリング調査だ」
「おー、なんか地味に面白そうな微妙なラインを攻めるねー」
純粋に面白そうな顔をしているのでちょっとやって見たいと思ったのであろう。
「島風のクラスは?」
「ウチは縁日だってさー、しかも男子達がすごい乗り気で女子は準備と片付けを手伝ってくれれば当日シフト入りたくない人は入らなくていいってさー」
「それはどういうことなんだ?」
「なんでもそのやらない人の分自分たちがやるってさー、縁日のおっちゃんをやりたいらしい」
なんだそれ、いや、若干分からなくもないけどよく分からん微妙な所を突いてるなそのテンション。
「島風はシフトに入るのか?」
「んーん、ボクは入らないよ、だから暇してるからボクと、あっ、なんでもない......」
そこまで話した後シュンとしてしまった。
恐らく仲のいい友達と文化祭を回りたいということで俺を誘おうと思ったのだが学校では関わらないようにするというのを思い出したのだろう。
「......島風、俺と一緒に回るか?」
「え、いいの?ボクと学校では関わりを避けるって言ってたのに」
「それは俺だとバレたらお互いに困るからだ」
「でも文化祭ってどこに行っても人は居るよ?」
「分かっている」
だが、問題は俺だとバレることにある。
ならバレないようにすればいいのだ。
「安心しろ俺が何とかするからな。
まぁ、一緒に回りたくないなら別にいいん」
「行く!回るよ!」
「お、おう」
島風は一気にテンションを上げて食い気味に声を上げた。
「それじゃあ一緒に回るか、多分俺もシフトはないだろうから朝から回れるとは思うが」
「じゃあ朝からだね!楽しみだなー!」
パァァとご主人様が帰ってきた時の子犬みたいな笑顔を浮かべながら話す。
この笑顔を見た鏡は誘ってよかったなとおもうのであった。
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