十三話 ご褒美
週明け
朝登校し自分の席に座ると
「おーい鏡」
声をかけられたのでそちらを見てみると彰久と湊が立っていた。
「どうした?」
「今テストの点数が貼られてるらしいから見に行こうよ」
「そういう事だ、まだ見に行ってないだろ?」
廊下を通った時にやけに人が多いと思ったのはそういう事か。
正直テストの結果とかどうでもいいんだよな。
そういえば前回の一位は島風だったか、また一位だったらなんかお祝いしてやるか。
男子三人で教室を出て試験結果が張り出されている所へと行く。
試験結果は上位20名とそれ以降の順位が分けられて書かれている、それとそれぞれの教科の平均点と最高点が書かれている紙がある。
「お!今回順位上がって248位になってる」
「彰久は相変わらず赤点ギリギリだけどな」
ちなみにうちの学年は280人いる。
「あ、俺3位になってる」
「相変わらず湊は順位が高いなー」
「前回は何位だったんだ?」
「確か5位?だったはず」
湊はスポーツできて性格も良くてさらに勉強ができる。
完璧すぎて笑いしか浮かばないのは俺だけだろうか。
「てか、俺の順位一緒に探してくれね?見つからないんだが」
「どうした?いつもは平均点ら辺にいるんだから真ん中当たりを探せばいいんじゃないか?」
「それが居ねぇんだよなぁ」
いつもいる120位前後に居ないのだ。
「え、鏡そっちじゃない方に書いてあるからそっち探してもいないよ?」
「どういうことだ?湊」
「あれ」
湊が指さす方を見てみると
「え、俺2位なの?」
2位の欄には鏡の名前が書いてあった。
ってか798点ってマジ?
全教科満点を取ると800点、つまり鏡は2点しか落としていないことになる。
「流石俺の幼なじみだな!ってか前々から言ってたけどやっぱりやれば出来るじゃんかー」
「鏡って運動もできて勉強もできるって凄いよね」
いや湊、お前だけには言われたくねぇぞお前だけには。
「まぁ、今回はできたけど次回ができるとは限らんからな」
「そこは鏡の努力次第じゃないか?」
今のところ俺の辞書に努力の二文字はない。
勉強を好き好んでやるのは俺には無理だ。
というか一位は島風で800点か、800点満点で800点取るとかやべぇなマジで。
島風は、いつも頑張ってるのに誰にも褒められたりしねぇだろうしな、ケーキ好きって言ってたし買ってってやるか。
「そういえばこの冷蔵庫に入ってる箱はなに?」
夕食を食べた後いつもお茶をしている時間に島風が聞いてきた。
「あー、それは島風がテスト一位だったからおめでとうってことで買ってきた」
「え、どういうこと?」
島風は疑問の顔をしつつ顔を傾げる。
「いつも島風は勉強を頑張ってるからな、たまにはご褒美があってもいいだろ?」
「でも申し訳ないし」
「あと、勉強を教えて貰ったおかけで俺が二位だったからな感謝の気持ちもあるからさ」
そう言って鏡は冷蔵庫から箱を取りだし、フォークを持ってくる。
「ほい、開けてみ」
島風が申し訳なさそうに箱を開けるとパァーと効果音がつきそうなほど明るくなる。
中にはショートケーキが一つはいっている。
「ケーキだ!」
「島風はケーキ好きなんだろ?ショートケーキで良かったかわからんがとりあえずと思って買ってきた」
「あれ?ボク、ケーキが好きって言ったっけ?」
「この前聞いた」
そっかー、と言いながらもずっと見ているのはショートケーキ、余程食べたいと分かるような反応で嬉しい限りだ。
「食べていいぞ?」
「いいの?ありがとう!」
そう言って持ってきたフォークを取ってパクパクと食べ始める、その様子をじっと見ていると。
「もしかして食べたいの?そういえば橘さんの分が無い?」
鏡の分がないことに気づいた島風
「半分あげる!」
「いや、いいよ島風のお祝いなんだから」
「でも橘さんも勉強頑張ってたし、二位だったしお祝いがあってもいいじゃん?」
別に自らやってた訳じゃないからこう、実感が伴わないんだよな。
「じゃあ一口だけ貰う、それなら良心も痛まないだろ?」
「じゃあ、はいっ!」
一口だけ貰うということにしたからフォークを取りに行こうと思って立ち上がろうとしたのだが、島風がフォークにケーキを乗せて差し出してきた。
「え?」
「一口食べるんでしょ?ほら早く食べて!」
困惑しつつもとりあえず差し出されたので食べた。
うーん、なんかいつも食べるショートケーキよりも甘い?
モグモグしていると先程自分が食べさせられた状況を思い出した。
え、俺あーんってされたし関節キスしてない?
そのことに気づいた鏡は顔を赤くした。
「橘さんどうしたの?顔赤いよ?」
「い、いや、なんでもない」
お前のせいだよお前の!って思いながらも誤魔化すことにした。
信頼されてるのは嬉しいがもっとこうガードってものをしっかりして欲しいよな、と思った鏡だった。
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