十話 練習試合
土曜日、朝に学校集合と指示を貰ったので学校へと登校する。
正直サボろうかと思ったのは言うまでもない。
まぁ、彰久にバカみたい電話されたので起きたが。
「おはよ、やっと来たか鏡」
「人が遅れたみたいに言うな彰久、約束の十分前じゃねぇか」
「分かってねぇなぁ、鏡向こうを見てみろ」
そう言われたので彰久が顔を向けた方を見てみると。
「「「「湊くん頑張ってー!」」」」
朝早くから湊を応援している集団がいた。
「なぁ、来るの早くないか?あの湊応援団」
「だからお前が来るのが遅いって話だ」
俺が遅いんじゃなくて、応援団の方々がはやいだけなのではないだろうか。
「おはよう鏡!これでメンバーは揃ったかな?」
そう声を上げたのは湊。
朝早くから元気だなぁ。
「とりあえず今日代理で呼んでいる人を皆に紹介するよ、橘鏡と宮本彰久だ」
「今日はよろしくな!」
「...よろしく」
紹介しなくても良かったんだぜ?湊さんよ。
そう考えると湊の話は終わっていなかったようで
「で、本日の練習試合限定でサポートをやってくれる人物が二人います!」
「はーい連れてきたよー湊」
そうやって春風さんがとある二人を引っ張ってくる。
それを見たサッカー部がザワつく。
「あっくん!鏡!来ちゃった!」
「おー!シズ来てくれたか!」
片方は静香であった、だが恐らくザワついたのはそちらが理由ではなく。
「本日サポートを努めさせていただきます、島風澪です、よろしくお願いします」
(島風じゃねぇか...)
そこには島風が居た。
島風はチラッとこちらを見ると一瞬ドヤァとした顔になった......気がする。
「今回の練習試合ではこの二人がサポートに入ってくれる、各自助けが必要な時は助けてあげてくれ」
今日の練習試合の相手校が来た後、試合前のアップをする時間
「まさか島風さんとシズが来るとはな」
「静香が来る可能性はあっただろ」
「まぁ俺の彼女だからな!鼻が高いぜ!」
毎回思うんだがこいつ惚気ける時マジでめんどいな。
まぁ、こういう奴だし別に嫌じゃねぇからいいんだが。
「なんでも島風さんが見に来たのは春風が頼んで呼んだかららしいぜ」
「へー、そうなんか」
「めちゃくちゃ興味ねぇじゃねぇか」
だってそれ確実に春風が頼んだんじゃなくて、春風に頼んだろ?それ
「おーい!二人とももうそろそろ試合だぞー!集まれー」
湊が集合をかけているようだ。
二人は駆け足で集まる。
「えー、今回の試合で助っ人がいる訳だが、休んでいる二人のポジションに入るので片方がMFで片方がFWに入ってもらおうと思う」
......なんで攻撃に主要なポジションに入れさせるんだよ、やったことないやつを入れていい場所じゃないのではないだろうか。
俺のサッカー経験はゲームだけだから知識しかねぇんだぞ。
「あ、俺MFの経験あるからMF入るぜ」
おい、彰久お前サッカーやった事あるのかよ、てかMFとったら俺がFWじゃねぇか。
「じゃあ鏡にはFWをお願いしようかな」
「すまん、フォーメーションを聞いてもいいか?」
「うちのチームは4-4-2だね、ちなみに俺もFWだから鏡と同じだね」
せめて4-3-3なら何とかなったかもしれないとか思ったんだが。
戦犯しかねないぞ、コレ。
「なぁ、彰久経験者なんだろ?変わってくれねぇか?」
「なぁ、鏡ポジション変わるだけで動き方変わるから結構難しいんだぜ?後MFはFWよりも動くし攻撃にも守備にも結構な頻度で参加しないとだからキツいと思うぜ?」
確かにMFはそうだが、攻撃に参加はキツすぎると思うんだが。
「まぁ、俺もFWにいるしカバーするから!やってみてくれ!」
「まぁ、どこかのポジションに入らないとだもんなぁ、足を引っ張らないように頑張らせてもらう」
そう、頑張らせてもらう予定だったのだ。
今前半が終わったのだがスコアは0-0。
これだけを聞くと善戦してるように思えるが正直俺に回ってきたボールが1回しか無かった。
まぁ、俺が攻めきってないのが理由だと思うのだが。
あと、応援団の方々の圧がすごいのだ。
大切なことなのでもう一度言おう。
応援団の方々の圧がすごいのだ。
「あの橘って人、なんであそこにいるの?」
「なんでもサッカー部の人が休んだらしくてその代理らしいよ?」
「へー、優しい人なんだねー、でも王子のプレーの邪魔したら許せないから頑張って欲しいねぇ」
って声が聞こえた時には流石に驚きで足を止めたよ。湊のこと好きすぎだろ。
というか俺のマークをついてた人も若干引いてたよ......
「橘さんお疲れ様です、タオルと飲み物です」
そう言って島風が外モード?で声をかけてきた。
「助かる」
「前半あまり動いてなかったようですが、調子が悪いのですか?」
「邪魔にならないようにあまり動いてないって感じだな」
「なるほど、あの応援団の圧ですね」
島風......お前も聞いていたか......
「なるほど、ではそこの圧を越えれる程のやる気を出せば問題がないわけですね?」
「そのやる気が出ないっていうのが事実だけどな」
そこまで聞くと島風は近づいてきて鏡にしか聞こえない声で。
「今日の試合頑張って活躍して勝てたら、ボクお手製のオムレツをご馳走してあげるよ?」
フム、オムレツか、いいじゃ
いや、落ち着け俺はその程度の策にはまるような男ではない。
オムレツごときに引っ張られるな俺。
「分かった、俺に任せておけ、オムレツは俺のものだ」
しっかりかかる鏡であった。
それを聞き届けた島風はまた元の距離に戻り
「ではこのピンを貸してあげます、髪が邪魔でプレーに支障が出ているならこれをつければ問題がないはずです。」
まるで鏡の髪のせいでプレーに集中ができてないみたいに聞こえるふうに言ってきた。
まぁ、訂正するのもめんどくさいのでしないが。
「助かる」
そう言って髪をピンで止める、すると。
「ふぇっ」
何か可愛い鳴き声が聞こえたような気がした、そちらを見ると。
島風が驚いた顔でこちらを見ていた。
少しすると頬が少しづつ赤くなっていく。
「それじゃあ私は他の人のところに行きますね、では」
そう言って足早に去っていった。
いきなりどうしたんだ?
少し考えたがどうしてか分からなかったので、まぁ、いいか。 と思った。
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