一話 仮面の姫
高校一年、夏休みも明けグループが出来グループ間のやり取りが多くなる頃、どのグループにも所属しない、言わばボッチがこのクラスにはいた、その名は橘 鏡、髪の毛は茶色で目は琥珀色、前髪の長さは目がまるまる隠れるほどまで伸びもっさりとしていて、いかにもぼっちという見た目をしている。生まれた家系は三大財閥の一つ、橘グループの長男なのだが周りに言ったりしている訳でもないのでその事を知っている人がいない。
ちなみに三大財閥には秋津グループと島風グループそして橘グループの三つあり、それぞれ秋津が海、島風が空、橘が陸をそれぞれ司っている。
(もうそろそろ食堂行かねないと焼きそばパン無くなるか)
ボッチのため一人で食堂に行こうとすると。
「おーい鏡、一緒に飯食おーぜー」
…正確にはクラスに一人だけ友人がいた。
「なぁー、聞いてんのかよー」
(焼きそばパン無かったらたまごサン…ん?)
「無視すんなってー」
「ん、聞いてる、んで何?」
「やっぱ聞いてないじゃねぇか」
このニヤッとした音が聞こえそうな笑顔をしているイケメンは宮本 彰久、聞けば大体の人がチャラいイケメンと答えるヤツで交友関係も広くクラスのムードメーカー、鏡とは子供の頃からの付き合い、幼なじみというやつだ。
黒髪黒目で髪の毛はワックスで少しいじっている程度なのだが雰囲気が何故かチャラい、女子からの人気があるが彼女がいるため告白されるようなことは無いようだ。
「だから飯食おーぜって話よ」
「いや、彼女と食ってこいよ俺がお邪魔だろうしバカップルと一緒に飯食うと飯が甘くなる」
「そんなこと言うなって、それにお邪魔も何もその本人と誘おうって話をしたんだよなぁ、それにもうそろそろ…」
「あっくんー!!」
「来るってことよ…シズー、未だに鏡が一緒に飯食わねぇって言ってんだ」
「えー、鏡っちも一緒にご飯食べよー!!ね!!?」
この元気系女子は彰久の彼女の長谷川 静香、違うクラスだが毎時間うちのクラスに来ている、うるさいが愛嬌があるとの事で人気が高い、こちらも鏡とは幼なじみで良く三人で遊んでいたものだ。
静香は黒髪ショートのいかにも元気で動き回ってるという感じで見た目は色々なところが小さい、静香も男子からの人気はあるが彰久とのお似合いのバカップルという事で告白されるような事はないらしい。
「あー、わかったわかった!行けばいいんだろ?食堂でいいんだよな?」
「「弁当は?」」
「あると思うか?」
「「いや、ないと思う」」
「そう言うことだ」
鏡はマンションで一人暮らしをしている、そのため弁当を作るなら自分で作らないといけないが、面倒くさいのとそもそも料理が得意ではないというふたつの理由から作っていないのだ。
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「パン買い終わったらこっち来いよー」
「了解」
購買は昼休みが始まると駆け込むように人が来てあっという間に列をなす、そのため買うのに時間がかかるので先に席を取っといて貰うのがいつもの事だ。
(今日は焼きそばパンが売り切れてなかったな)
と、どうでもいいことを考えながら彰久の元に行く。
「お、今日は人が多いのに早かったな」
「ん、早めに来といて正解だった」
「なんで今日はこんな人が多いんだろうね?」
「さぁ、みんな弁当作れないからないんだろ」
「それはお前だけな?笑」
「うるせぇわ」
「すまんすまん笑」
と、雑談しつつ昼食を食べ終え帰る時、ふとすれ違った人に見覚えがあった。
一言で言うと美少女、名前は島風 澪、黒髪ストレートの珍しい碧眼、身長は少し低いがスタイルは抜群で、品行方正、質実剛健、定期試験はほぼ全教科満点でスポーツは万能、家柄は三大財閥の一つ島風グループの長女、ついた渾名は姫、男女問わず人気があるが人を寄せつけない空気からか特別仲良くしている人は居ないようだ、実は鏡とは縁があるようなないような状況なのだが、それは置いておく。ちなみに鏡と彰久のクラスには姫と対をなす王子と呼ばれる人物もいる。
島風は一瞬こちらを見たが直ぐに視界から外し食堂に入っていった、すると食堂がさらに騒がしくなったようだ。
(島風が来るから今日は人が多かったのか)
「おい、鏡」
「どうした?」
「今姫のことめっちゃ見てただろ」
「え?鏡っちってもしかして島風さんのこと好きなの!?」
「違うわ、そんなキラキラした顔で言ってくんな、綺麗だとは思うけど遠くから見る観賞用だろ、それに彼女いらんし」
「まぁ、鏡だしな、お前相変わらず淡白だよなー、そんなんで人生楽しいのかー?」
「現実的だと言ってくれ、俺はそこそこの人生が送れればいいんだよ」
「鏡っちってスペック高いのに髪の長さと勉強とか運動とかの手抜きで一般男子くらいまで落としてるもんねー、まぁ料理は全く出来てないみたいだけど」
「いらんお世話だ、それに別にそこまでスペックは高くない」
「そんなことないだろ、相変わらず評価低いよな自分の」
幼なじみの二人が常に手を抜いてるのを知っているのは遊びの時にジュースをかけてやったバスケを見たからなのだが、鏡は自分がそこまでできていると思っていないのだ。ちなみに勉強については真面目にやったことがないのでそもそも本人含め誰も分からないのだが。
そこからはいつも通りの学校であった、授業を睡眠学習に当て気づけば放課後。
「鏡ー、帰ろうぜー」
「今日、スーパーでパックのご飯がセールやっててそれを買いに行くんだが一緒に来るならいいぞ」
「え、スーパーってあの変態紳士のだろ?俺はやめとく」
「あー、お前なんか狙われてるもんな、でもあの人紳士だし手を出してくることは無いだろ?」
「そうだけど、理屈とかをぶっちぎってあの目線に耐えられねぇ」
「ん、そうかまぁ、頑張ってくれ」
「いや!?なんでそんな他人事!?」
「え、だって他人事だし、んでどうすんの?」
「やめとく、俺は純潔を保たねばならん!」
「だから大丈夫だと、、まぁいいか、じゃあ帰るわ」
「おう、また明日」
一度帰宅してからスーパーに行こうと決め帰宅すると
「………」
隣の部屋の扉の前で無言で座ってる人物がいた。
その人物は黒髪で碧眼、誰もが振り返る美少女
鏡の高校の姫、島風 澪であった。
実は鏡と島風の家は隣同士、縁があるようなものなのだが
(別に話す必要は無いんだよな)
良くも悪くも鏡はあまり島風に興味を持っていないため話すことなく家に入りスーパーへと買い物に出た。
(これで暫くは玄関開けたらパックのご飯に問題は無いな)
ご機嫌で帰宅してきた鏡がエレベーターを降りると
(なんでまだ居るんだよ)
買い物に行って帰ってきた時間を合わせると1時間程度たっているはずだが未だに島風は扉の前に居た。
(なんでずっと居るんだ?)
ふと鏡は気になった
「島風、ずっと扉の前に居るがどうしたんだ?」
鏡は普段なら絶対声をかけないのに機嫌がいいからか声をかけた、余程パックのご飯のセールが良かったのだろう。
「いえ、特に何もありません、それに何かあったとしてもあなたには関係がありません」
顔を上げ鏡を認識すると警戒の滲んだ顔でそう言う
「何も無いならなんで一時間以上ここにいるんだ?」
「外の風景を見ていただけです」
「一時間も座りながら柵で見えない外を見ていたと?」
「…そうですがなにか?」
(流石にそれは無理がありすぎるだろ…あ、そうか)
ここまで話していて鏡は気づいた。
「もしかして鍵を失くしたか?」
どうも、作者のランチ(≧∀≦)です。
今回初めて投稿させていただくので緊張しています。
文章が拙かったり、誤字脱字、内容構成など様々な問題があるかもしれませんが、温かい目で見守って頂けると幸いです。
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