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デカパイギャル軍団、裸で粘液まみれ



「ルナアイナニ! ああルナアイナニ! 一体――」


「リウメロエたちをさがしていたら、

 もりで、あなに おちてしまったの です」


 ルナアイナニは、

 デカパイギャルたちを探しに密林へ出かけた。


 すずりよろしく、展示品の短剣を武器に持って。


 ジャングルを歩き回るうちに、

 地下遺跡の通風口に転落。


 ダナやジミーよろしく横穴を進み、


 石造りの大広間に現れたのだ!


 ルナアイナニが

 選び取った短剣は儀礼用のものだ。



 銅まじりの金で出来た刀身はやわらかく、

 刃物としての実用性はほとんどない。


 だが今日は

 カパパイ・カラアイナア。


 540年に一度の大祭の日だ。


 人身御供を貪る邪蛇神を滅ぼすことは、

 クザッツ王の司るべき祭祀である。


 キラナニカパパイの裔が

 祭具を用いれば、かつての神話が再現される。


 ただの武器では

 アサルトライフルの直撃弾さえ弾き返す強靭な鱗も!


 祭儀の秩序においては、

 幼児の筋力と柔弱なる鈍剣に刺し貫かれる!


「――ファック!

 許さねえぞキラナニカパパイ!

 まず貴様から殺してやる!」


「お逃げなさいルナアイナニ!」


「Shhhh!」


 邪蛇神咆哮!


 リウメロエの言葉も虚しい!


 巨大なコブラの怪物は!


 鞭のごとくに頭部を振るう!


 遠心力で

 幼き王は投げ飛ばされる!


「ルナアイナニ!」


 リウメロエは絶叫! 走り出す!


 恐るべきコブラの海を踏みこえて!


 数歩を進んだところで、

 踏みつけられたコブラの怒りを買い、

 毒牙にかかって死ぬだろう!


 だがそれは

 常人の業であった場合の話だ。


 彼女は

 リウメロエ・キラナニカパパイ!


 善美なる蛇神の裔である!


 凡下のコブラは踏まれても、

 畏怖に頭を垂れ続ける!


 邪蛇神の

 命のあるまでは!


 リウメロエは我を忘れて走り続け、

 ルナアイナニの落下地点に急ぐ!


 だが届かぬ!


 このままの速度では、

 転落死する弟を、一歩分の差で救えない!


「ルナアイナニを守りたまえ――!」


 リウメロエは絶叫!


 神々に祈り、奇跡を求めて!


「「「Shhhh!」」」


 コブラたちが応える!


 激昂せるキラナニカパパイの裔の渇望のため!


 邪蛇神の支配を瞬間的に脱し!


 リウメロエの望みを叶えに動いた!


 足元のコブラたちは

 全身のばねを使って、跳ねる!


 リウメロエの身が浮いた!


 そして!


 跳躍せし者と

 転落する者は衝突!


 CRAAAASH!


 石造りの床に落下!


 CRASH!


 姉弟は抱き合い、

 コブラの海を転がった。


「大丈夫ですか、

 ルナアイナニ……?」


 最愛の弟の体温を感じて、

 リウメロエはおだやかに言った。


「リウメロエ……!

 おててが!」


「骨の折れた腕とは、

 このような形に曲がるものなのですね……ッ!」


 ルナアイナニの無事を確認すると、

 すさまじい痛みがリウメロエを襲った。


 だが十分だ。


「――ルナアイナニ陛下。

 至上の御振舞、

 感謝の言葉もおよびませぬ。

 後はリウメロエにお任せを。


 ルナアイナニのためならば、

 私は負けません」


「ファック!

 ファック!

 ファッキンファック!」


 邪蛇神咆哮!


 左右のコブラ腕を伸ばし!


 リウメロエを包囲!


「調子に乗るな!

 お前は喰われるためのエサに過ぎねえ!

 わきまえろ!」


 そして正面の顎を開き!


 姉弟を

 喰らいにかかる!


 残ったキラナニカパパイの霊を

 全て我が物とし!


 伝承によっても傷つき得ざる

 完全なる神となるために!


「――Shhhh!」


「王敵必滅!

 ルナアイナニ陛下万歳!

 めちゃくちゃかわいい!」


 邪蛇神驀進!


 リウメロエ絶叫!


 叫びつつ、リウメロエは手足を動かす。


 ルナアイナニを横に移動させ、

 残った左腕でアサルトライフルを構え、発砲!


 BAAAANG! STAB!


 GULP!


 銃弾の多くは弾かれたものの、

 一つが短剣の柄に命中!


 着弾の衝撃で押し込まれ!


 邪蛇神の骨肉を穿ちぬき!


 短剣は体内へ消失した!


 同時にリウメロエも丸呑みにされ消失!


     †


「!? くさ……暑……!?」


 丸呑みにされたすずり!


 気が付くと、

 そこは汚れた肉の内側だった!


 規則的に脈動する、

 汚れた肉の

 床! 壁! 天井!


 継ぎ目も境目もなく、一体になっている。


 そして

 すさまじい腐蝕臭を放つ

 粘液が、

 全体から少しずつにじみ出てきている。


 状況から考えるに、

 ここは

 邪蛇神の胃の中であり、

 この汚らしい液体は消化液だ。


「クソ! 油断した!

 最強いやつよでたたっ斬って――」


「サムライブレードは没収だ。

 女の子がこんなの持ってちゃ危ない」


 男の声。


 すずりが振り返ると、

 全裸のジミーが古刀最強を弄びながら立っていた。


 肌色は尋常だが、

 男性器はコブラと化している。


「貴様!

 汚い手でさわるな!

 返せ!」


「おいおい、これは俺のものだぜ?

 これはクザッツの博物館にあったものだ。

 そして俺はクザッツの王。

 ジャップのサムライギャルでも、泥棒はダメだ」


 ジミーは最強を後ろに放る。


 肉壁がうごめき

 広がって呑みこみ、元に戻る。


 古刀最強は消えていた。


「貴様!

 超級文化財になんてことを!

 ――神聖不可侵!」


「おっと」


 帝国拳法奥義!


 ジミーはゆるりとかわす。


 いかな達人であっても、

 邪蛇神の体内の秩序には抗し切れぬ!


 すずりは全力を振るったつもりであっても、

 その業はおそろしく鈍いのだ!


 命中させ得なかっただけでなく、

 肉壁より噴出する粘液に

 襲われる!


 SPLASH!


「ライジング・サン柄。いいね。

 スケベなデカパイによく似合ってるよ」


「な……!」


 すずりは驚愕する。


 酸に肌を焼かれる痛みはなかった。


 かわりに、

 粘液の当たったところの衣服が溶け、

 下の旭日旗ビキニを露出させていた。


「万機公論!」


「がんばるね。

 いくらやっても無駄なのに」


 SPLASH!


 帝国憲法は形にもならない! 


 粘液は衣服を溶かしつくす!


 すずりは

 ただビキニをまとうばかり!


 粘液に濡れた乳房と尻が、

 魅力的な球形を形作っている。


「エロいな。

 俺のコブラも元気になる」


「広興会――」


「無駄だって」


 SPLASH!

 粘液直撃!


 旭日旗ビキニ溶解!


 すずりの一糸まとわぬ肢体を、

 不躾な視線が嘗め回す!


「くっ……!

 殺せ!」


「飽きるまで

 ファックしてからな」


 コブラが鎌首をもたげる!


 そのとき!


 SPLASH! SPLASH!


 ほとんど同時に落下する二つのものに!


 粘液が吐きかけられる!


「ブロンドビッチはスターストライプス。伝統的だな。

 実にファックしたい!


 ……ダナ! お前の裸はすばらしいな!

 デカパイを突き出してみろ!」


「死ね!

 ファッキンアスホール!」


 ダナの前に立ちはだかったブリジットは、

 星条旗ビキニ姿でジミーになぐりかかる。


 だが無意味だ。


 粘液を吐きかけられ、

 ベワマゲカパパイの霊とわずかな布面積さえも奪われる。


 ダナともども、

 乳頭や下腹部さえも不躾な視線にさらされる。


「死ね!

 ファッキンアスホール!

 死ね!」


「……ねえ、

 もうやめてよジミー。


 私のこと好きにしていいから、

 ブリッジとすずりちゃんは助けてあげて……」


「たまらねえぜダナ!

 そう言われた以上、

 みんな仲良くコブラ姉妹にしてやらねえとな!


 イヒィー! たぎるぜ!


 どいつからファックしてやろうかなあ……!」


 ジミーが邪悪な妄想にふける間に、

 フレイヤが落ちてくる。


 即座に

 粘液が吐きかけられ、

 クザッツ王室警察の制服を溶かす。


 実用一辺倒の飾りのない下着を

 一瞥するなり、ジミーは粘液を連射。


 即座に全裸にし、

 よく鍛えられた四肢と豊かな上下のふくらみを見物する。


「おのれ卑劣漢!

 みんなを生かしていたことは褒めてやってもいいが!

 このような邪悪を働くとは!

 もはや交渉の余地はない!

 おのが地獄の責め苦が軽くなるよう!

 すぐにも祈りを始めるのだ!」


「決定権はすべて俺にあるんだぜ?

 そうだな、まず俺のコブラに舌で挨拶しろ。


 それから四つ足をついてアスを突き出し、

 ホールがどれほど弱いのか確かめさ――ギャーッ!?」


 ジミー絶叫!

 額を抑えてのたうち回る!


「神聖不可侵!」

「ギャーッ!」


「Über Ales!」

「ギャーッ!」


「死ね! ファック野郎!」

「ギャーッ!」


「くたばりやがれ!」

「ギャーッ!」


 一転攻勢!


 デカパイギャル軍団反撃!


 帝国拳法!

 プロイセン拳法!

 怒りに任せた素人の打撃!


 骨を砕き!

 内臓をつぶし!


 邪悪な異常性欲者を

 瀕死の肉塊に変えていく!


「俺、は!

 ジミー、イ、ビル=デスコ、ブラ!

 世界の王!

 お、前らを、絶対に! ファッ、ク! する!」


「万世一系!」

「ギャーッ!

 ……いい、乳だ」


「Sturm Reich!」

「――ギャーッ!」


 だが邪蛇神の霊が!

 汚れた命を保ち続ける!


「王敵必滅!」

「!? Shhh!」


 そこに現れるはリウメロエ!


 手に持つは邪蛇神の骨肉を貫きし短剣!


 噴出する粘液で衣服を溶かされ!


 刺繍あざやかなクザッツ上流階級女性下着姿で

 輝く短剣を振りかぶり!


 STAB! 刺突!


 汚れた心臓を刺し貫く!


 突撃攻の代償に粘液を浴び!


 原生のクザッツ山紫水明のごとく豊かな南国の乳房と尻を含む裸身を

 隠すところなくさらした!


「ギャーッ!」


 股間のコブラ共々、ジミーは断末魔の痙攣に入る。


 同時に肉壁は脈動を止め、

 身を斬られながら、

 大蛇切最強を吐き出した!


「皆、無事で何よりです。

 ――すずりちゃん、脱出を!」


「承知いたしました、姫殿下。

 ――八紘一宇!」


 SLAAAAAAASH!


 大蛇切最強! 一閃!


 邪蛇神の腹を切断し!


 脱出口を斬り開く!


     †


 カパパイ・ネテソ古廟。

 地下大広間。


「やったああ!」


 ダナの叫びが響き渡る。


 石造りの厳めしい室内は、

 決して親しみやすい場所ではない。


 それでも邪蛇神の体内に比べれば、自由と希望の新天地だ。


「やったわね♡」


「万歳!

 ちゃんとした石の地面!」


「殲滅を覚悟してからの全員生還。

 ……奇跡だな……」


「ルナアイナニ!」

「リウメロエ!」


 皆が勝利と生存を喜び、

 ただただ、

 ただただ歓喜に酔いしれる!


 コブラたちは邪蛇神からもデカパイギャルたちからも

 距離を取り、一匹も動かずにいる。


 ことの趨勢を、今なお見守るように。


「ファ、ック……!」


 苦し気な声!


 それは瀕死の邪蛇神ジミー!


 もはやベワマゲカパパイの力をもってさえ!


 巨大な怪物の姿を保つことさえおぼつかない!


 超自然的に身を縮め!


 コブラペニスの全裸男の姿に変貌する!


「なあ、助けてくれ、ダナ……

 このままじゃ死んじまう。

 ……でもダナ、君が助けてくれたら、俺はまた世界の王になれる!


 いっしょに楽しもうぜ!

 終わりのないバカンスをよ!」


「いいえ。さようなら。

 ……私はもう、あなたのことを思い出さない。

 あなたに対して何もしない。

 永久にお別れしましょう」


「ダナ……!」

「さようなら」


「ダナ……!」

「さようなら」


「ダナ……!

 ……それがお前ってヤツの本性か!

 ファック! Shhhh!」


 ペニスコブラ咆哮!

 爆発的に伸長!


 顎を開き!

 ダナを毒牙にかけんと迫りくる!


 BANG!


 リウメロエが最後に使ったアサルトライフルを拾い、

 ブリジットが発砲!


「ギャーッ!」


「惨死なさい! ファック野郎!」


 BANG! BANG! BANG!

 

「ギャアアアアアーッ!」


 ブリジットは撃ち続け、弾切れ!


 そして、ジミーは倒れ伏す。


 PUFF!


 死体が弾け、

 紫がかった緑の煙が四方八方に散る。


 コブラのような形を取って。


 どこへ行ったのかは、誰にもわかることはないだろう。


 少なくとも、540年の時が巡るまでは。




本日もありがとうございます。


明日のエピローグで最終回です。


長らくのご愛読、まことにありがとうございます。


とか書くと何らかの突発事態により予定が狂うかもしれません。


百里行くもの九十を半ば~の精神で、つつがなく連載を完走したいものですね。


皆さまと僕とに、いいことのありますように。


ほんとうに、いつもありがとうございます。

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