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それぞれの運命



「ダナ、お前が

 ブリジット・

 ブロンドビッチと

 出かけた

 あの夜のことだ。


 あの夜、

 俺たちの運命は

 動きだしたんだ。

 今から、

 その話の

 前振りをするとしよう」


 遥かな昔!


 クザッツに、

 二柱の

 蛇なる神

 ましましたり!


 善美なる

 キラナニカパパイ!


 そして、

 邪悪なる

 ベワマゲカパパイ!


 ベワマゲカパパイは

 驕慢の心ゆえ、

 人々を次々に喰らう!


 人々を守るため戦う

 キラナニカパパイ!


 しかし、

 邪蛇神の毒牙に

 肉体を滅ぼされる!


 世界は闇に包まれた!


 誰もが

 そう思った時!


 一人の戦士が

 立ち上がる!


 善美なる蛇神の霊を

 身に宿した戦士は、


 死闘の末、


 ベワマゲカパパイの

 肉体を滅ぼし!


 悪しき霊魂を

 像の中に封印した!


 末期、

 ベワマゲカパパイは

 森羅万象を冒涜する

 言葉を吐き、


 未来における

 自身の復活を予言し、


 そして、

 復活を成し遂げた者の

 望みを叶えることを誓い、

 像の中で

 眠りについた!


 キラナニカパパイの

 霊を宿した戦士は、


 その後、

 諸部族を統一。


 初代の

 クザッツ国王として

 君臨し、

 蛇神の霊と

 王位とを

 子々孫々まで伝えた。


 という伝説が、

 クザッツの

 建国神話として

 現代まで伝わっている。


 超自然的要素を

 多く含んでいるために、

 すべてを

 事実と考える者は

 あまりいない。


 しかし

 王家の紋章には

 蛇神

 キラナニカパパイの姿が

 描かれているし、


 邪蛇神

 ベワマゲカパパイの

 霊を封じたとされる

 コブラを象った像もまた、

 クザッツ王家の

 宝物庫の最奥に、

 厳重に

 封印され続けた。


 そして、現代。


〝カパパイ・カラアイナア〟


 即ち

 ベワマゲカパパイの

 封印を再設定する

 大祭の年がやってきた。


 年が明けるなり、

 宝物庫は襲撃される。


 襲撃者たちは

 国王ベワマゲイと

 親衛隊らによって

 誅戮された。


 しかし、

 封印像は

 持ち去られ、


 今なお

 見つかっていない。


 そして、

 クザッツ市民の間に、

 あやしげな噂が

 流れだす。


「ベワマゲカパパイは

 復活の生贄を求めており、

 邪蛇神の復活に

 最も貢献した者を、

 次代のクザッツ王に選ぶ」


 と。


 平時であれば

 一笑に付すべき妄言だ。


 しかし

 治安の悪化は

 止まらない。


 さらに、

 宝物庫襲撃の

 首謀者たちが

 特定され、


 彼らが

 クーデターを

 計画している証拠が

 見出された。


 そこで

 ベワマゲイは、

 自らと

 国を守るために

 先手をうって

 攻勢に出ることにした。


 自身を除く王族を

 鏖殺して

 キラナニカパパイの霊を

 一身に結集させ、

 復活した

 ベワマゲカパパイに

 対抗できるように。


「それで、

 そこの抜け作どもは

 親父にブッ殺されて

 生贄になったってわけさ。

 良いことだ。


 キラナニカパパイが死ぬのは、

 俺たちにとってありがたい。

 なあ?」


「いや、

 ぜんぜんわかんないよ。


 私もジミーも、

 クザッツの王族に

 関係なんかないでしょう?」


「ダナは馬鹿だな。

 ブロンドブーブスと

 出かけた夜のことだって

 言ったじゃないか。


 流れ弾で

 ベワマゲカパパイの

 封印像を壊しただろう?


 あれで、

 辺りの人間に

 霊が入ることになったのさ。


 銃の引き金を引いた

 ビッグバストを中心に、


 君や俺、


 それに

 あのアパートに

 集金か何かで来てた

 ファッキン

 イワン野郎にもな」


 クザッツより

 像を持って脱出せし

 邪蛇神の狂信者たち!


 あの夜、

 狂信者たちは

 霊をコブラ像より

 解放する

 儀式の最中であった!


 だが

 奇しくも

 飛び込んできた銃弾が

 像を破砕!


 儀式は

 半端に終わり!

 霊は飛散した!


「あのアパートは

 俺の住処でもあった。


 クザッツから

 何万マイルも

 離れてるってのに、

 えらい偶然だ。


 つまり俺が

 ベワマゲカパパイの霊を

 継承する運命だった

 ってことだろう」


「……もしかして、

 あのクソ大家が

 ビーチで

 声を

 かけて来たのは……」


「霊の

 中核を持っている、

 ブロンドバットを

 おびき寄せる

 えさにするため

 だったんだろうな。


 お前の

 乳とケツは

 良い形だが、

 封印像の破壊者

 じゃあない」


「怪物になった後、

 私を

 ブリッジと

 間違えてたのは――」


「お前じゃなく、

 お前の中の

 ベワマゲカパパイの霊を

 感じて

 判断したからだろう。


 野郎は金持ちで、

 邪蛇神の霊に

 目覚めたのは

 俺より早かった。

 でも

 くたばるのも

 早かった。


 器じゃ

 なかったんだろうな」


「なんてこった……!」


 ダナは

 頭を抱えてうめく。


 ちょっとした

 臨時収入が、

 気まぐれからの

 夜の散歩が、


 そして

 ダナを守るための

 ブリジットの勇戦が!


 このような事態を招くとは!


     †


「うるさいぞ、

 すずりちゃん!」


「一体

 どうしたというのです?」


「――?」


「大丈夫?

 すずりちゃん。


 おっぱいもむ?」


 気が付くと、

 すずりは

 展示室の床に倒れ、


 四人に

 不安げな目つきで

 見下ろされていた。


「……はぁ、はぁ……


 大丈夫。

 お騒がせいたしまして

 すみません」


 すずりは立ち上がり、

 なんとか納刀。


 達人の生涯で、

 最も

 困難な納刀だった。


「あの、姫殿下。

 本当にいいのですか?


 ……これほどの

 ――究極重要文化財で、

 人間を斬っても?」


「?

 もちろんです。

 それは

 戦いの武器でしょう」


「で、でも、

 これ

 千年くらい前から

 残ってる、

 超貴重な

 文化財なんですよ。


 外国で、

 こんないい状態で

 残ってるなんて、

 奇跡どころの話じゃ

 ありません」


「ならば、

 すずりちゃんが

 使うために

 運命が残したと

 考えるべきだろう」


「運命……」


 すずりは

 フレイヤの何気なく言った

 言葉を繰り返す。


 何か、

 戦慄が走ったかのように

 思われた。


「わかった、

 私、がんばるよ。


 こんな良い刀で

 人間が斬れるんだもの。

 もう何も言うことないよ。


 クーデターだろうが

 世界征服だろうが

 なんだって

 できそうだ!」


「すずりちゃんが

 元気になったみたいで

 私、嬉しいわ♡」






本日もご愛読くださり、

まことにありがとうございます。


なろうの運営諸氏など

関係各位の皆さまにも

お礼を申し上げます。

いつもありがとうございます。


さて、これでおおむね前振りのあったくだりは、

説明がついたように思います。


しかしながら

作者と読者の情報格差のために、

わかりづらいことがあるかもしれません。

また、本文に何らかの欠落、錯誤がないとも言い切れません。


疑問点がおありの方は、

どうぞコメント欄にお書き入れくださいませ。

ご遠慮は無用です。


鋭意回答させていただきます。


それでは明日も

『デカパイギャル軍団

 VS

 邪悪なデスコブラ』を

 よろしくお願いします。


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