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裸の乳房を求める王



 石造りの地下遺跡。

 震える声で、ダナはことの顛末を述べる。


「――です……」


 地元での銃撃戦から、穴に落ちてこの大広間にやってくるまで。

 ダナは一通りの出来事を話した。


「ど、どうもすみません……」


「ふ、ははははは! そなたの話は、中々に面白い」


 呵々大笑!

 そして、王は穏やかに言った。


「そして、我が放蕩息子らが迷惑をかけたな。

 あの通り始末はつけたゆえ、許してやるがよい」


 祭壇の上にある王子たちの生首を、ダナは見ないようにする。


「いや、それにしてもよく話してくれた。

 そなたの働きによって、余の疑問はすべて解けた。

 ダグラソンよ、余はそなたに褒美を取らそうと思う」


「え……!?」


 ダナの声がかすかに弾む。

 ありうるはずもない、しかしすがらずにはいられない希望の幻影のために。


「安らかな眠りを下賜しよう。

 あの悪しき小金持ちのごとく、醜い怪物となることなく。疾く果――!?」


 BANG! 銃声! 国王弑逆!


 ダナに巻きつくコブラたちへ

 処刑命令を出そうとしていたクザッツ国王ベワマゲイ!

 ベワマゲイの頭部が吹き飛んだ!


「イッヒィー! ついに殺ってやったぜ!」


「ジミー!?」


 アサルトライフルを構えたジミーが、快哉を叫ぶ!


「どうしてここへ……?」


「通気口だか非常口だか知らないが、良い感じの穴を見つけてよ!

 降りたら隙だらけの王が背中を向けていたじゃあねえか!」


 ジミーは叫び、凶悪な笑みを浮かべる。


「!? 殺せ! 大逆せる奸賊ぞ!」


「「「「「Geh-yai-geh!!!!」」」」」


 侍従長絶叫命令! 自身も拳銃を取り出す!

 親衛隊員らも 命令と同時に咆哮! 王敵へ銃口を向けながら殺到する!


「うるせえぞ、土人ども。

 先王を殺った以上、お前らの王はこの俺だ」


「は、ジミーあんた、何言って……」


 ダナの言葉も虚しい。


「「「「「Geh-yai-Geh……」」」」」


 王の敵を取らんと怒りに燃えるクザッツ王の臣たちは皆武器を収め、一斉に膝をつく。

 そしてジミーへ殺意を向けるかわりに、叩頭礼を行った!


「おう、それでいいぞ。

 では王として命じる。死ね」


「「「「「Geh-yai-Geh!?」」」」」


 ジミー号令! 非道!


 クザッツ王臣らは了解の意を叫ぶ!

 声音は驚きと恐怖に揺れていた!


 侍従長は拳銃を自身の頭部へ!

 親衛隊員らは銃口をお互いの頭部へ!


 BAAAAAAAAAAAANG!! 一斉発砲! 脳漿! 血液! 大量飛散!

 先王近臣全滅! 死屍累々!


「ヒューッ! いばってた奴らをブッ殺すのは楽しいなー。

 ――コブラども、生贄を給仕しろ」


「「「「「Shhhhh!」」」」」


 ダナはコブラたちから解放される。


 コブラたちはするすると這い進み、死体のそばへ。


 まめまめしく働き、先王の首と、王臣らの亡骸を祭壇へささげていく。


「……よし。

 ファックしようぜ、ダナ。

 Tシャツを脱いでおっぱいを見せろ」


「いや、ちょ、ちょっと、色々待ってよ! ジ、ジミー?」


 ダナは目の前の男の顔を見る。


 彼は確かにジミーだ。それは間違いない。

 しかし、黄金に光る瞳と、すさまじい残忍さ。

 ダナの記憶とはあまりに異なっている。


 ジミーは十善の聖者というわけではなかった。

 だが、このような非道の虐殺を行う人間でもなかった。


「……なんであんたの命令に、人もコブラも従ったのさ、ジミー?」


「俺たちがベワマゲカパパイの霊を受け継いだからさ、ダナ。

 すべては540年前から決まっていたことなんだ。

 だけど、直接のきっかけとしては、あの夜のことを話すべきだな」



本日もご愛読ありがとうございます。


おかげさまで楽しくやれています。

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