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デスティネーション



 鬱蒼たる密林。


 濃厚な熱と

 湿気を帯びた

 大気の中、


 多様な鳥たちが

 鳴きあい、

 虫や獣が這いまわる。


 その中で

 最も恐るべき存在である

 コブラたちは、

 今は姿を消していた。


 地下遺跡

 〝カパパイ・ネテソ古廟〟を

 目指すブリジット、

 すずり、

 フレイヤ。


 そして

 リウメロエと

 ルナアイナニの

 王族姉弟。


 草をかき分けて、

 一行は道なき道を進む。


「ねえ、

 やっぱ無茶だよ」


 ふと、

 すずりが口を開く。


「宗教的には

 儀式の最中に殺るのは

 ポイント高いかもしれないけど、


 それで

 官僚機構とか

 軍隊まで

 従うものなの?


 無茶なことはやめて

 ダナを探しに

 ――ん♡」


 不安げな口調で話す

 すずりの乳房を、

 ブリジットと

 フレイヤが

 左右から揉みしだく。


「異国の

 コミュニケーションは

 複雑怪奇ですね……」


 ルナアイナニの視界を

 手で覆って、

 リウメロエが

 苦々しくつぶやいた。


「リウメロエ、

 まえが みえません」


「大丈夫です、

 ルナアイナニ。

 リウメロエに

 任せておきなさい」


 姉弟がクザッツ語で話す隙に、

 すずりは魔手から逃れる。


「黙らせようとして

 セクハラするの

 私よくないと思う!


 ……けど実際問題、

 みんな、

 ダナを探しに

 行かなくていいの?


 一人だけ

 行方不明なのに……」


「私たちだけで、

 この広い森を

 くまなく捜索するのは

 不可能だよ、

 すずりちゃん。


 人手が必要だ。


 人手を集めるには

 権力を用いるのが

 手っ取り早い。


 そして

 新王ルナアイナニ陛下が

 王権を獲得する、

 未曽有の好機が

 私たちの眼前にある」


「そういうことです、

 すずりちゃん。


 そなたらの友人には

 気の毒ですが、

 今は耐えて

 いただきましょう。


 ことが済み次第、

 ルナアイナニ陛下の

 救いの御手が、

 すみやかに

 彼女を

 庇護することでしょう」


「ええ……

 お言葉ですが姫殿下――」


「それにね、

 すずりちゃん。

 私なんだか感じるの♡


 今、

 私たちは

 ダナに向かって

 歩いているんだって。


 きっと、

 ダナも遺跡の近くにいるわ」


「……ブリッジ、根拠は?」

「勘♡」


「えー。


 ……私一人違うことしても

 仕方ないから、

 とりあえず

 協力することにするよ。


 けど、

 みんなの気持ちとは別に、

 現在の状況を

 客観的に把握するべき

 だと思う。


 今の王様を

 なんとかするだけでも、


 私たち5人、

 成人4人と

 ちびっこ1人で

 どうにかなるものかな?」


「大丈夫♡

 すずりちゃんも

 フレイヤも達人だし、

 私には奪った銃があるから」


「ブリッジの言うとおりだぞ、

 すずりちゃん。


 既に戦端は開かれている。

 もはや

 戦うことの是非を問う

 段階でなく、


 どうやって

 勝つかのみを

 考えるべき状況だ」


「その思考法を続けていると

 バンザイ突撃とかする羽目に

 ならないかな……?」


「そうなったら

 バンザイ突撃で

 勝てばいいんだ、

 すずりちゃん」


「クソ、

 普段冷静な奴が

 おかしくなると

 手に負えない……


 姫殿下は

 どうお考えです?


 私たち、

 クーデターをやるには

 戦力なさすぎじゃ

 ありませんか?」


「ふむ。

 ……そなたの懸念は

 確かに一理ありますね。


 地下遺跡を

 走行中に横転させる

 といった奇策は

 叶いませんし……。


 情報と作戦、

 そして武器が必要ですね」


「姫殿下の

 おっしゃる通りですな。


 最低でも、


 遺跡周辺の地形、

 遺跡内部の構造は

 見知っておきたい」


「敵の人数も把握したいわ」


「そして頭数、

 は、期待できないから、


 せめて武器。

 ……刀があったらなあ……」


「ふむ。

 ――では、

 遺跡の前に行く場所が

 決まりました。


 しばらくは

 この道を進みます。

 その後は、

 私の後に従いなさい」


 王女の尊厳をもって、

 リウメロエはのたまった。


     †


「そなたの顔には

 覚えがある。


 弑逆の下手人役となった、

 哀れな異国の娘子だ」


「捕らえよ!

 王敵である!」


「「「「「Geh-yai-geh!」」」」」

「「「「「Shhhhhhhhhh!」」」」」


 クザッツ国王ベワマゲイは

 厳かにのたまい、


 侍従長は急ぎ命令!


 親衛隊員がダナに迫る!

 無数のコブラたちと共に!


「うわーッ!」


 ダナは叫び、

 急ぎ立ち上がって

 走り出す。


 だが、どこへ?


 ダナは

 この石造りの大広間の構造を、

 まったくわかっていない。


 くわえて

 落下地点は壁際だ。


 包囲は、

 既に完了している。


「「「「Shhhhh!」」」」

「ひ!


 ……ッ、

 こ、こわいことしない、で……」


 無数のコブラに巻きつかれ、


 もはやダナは身動きが取れない。


 蛇身による

 締め付けのため

 服が食い込み、


 乳房や尻の豊かさを、

 肉感的に見せつける。


「率て来よ。

 余自ら詮議するゆえ」


「御前へお運びせよ!」

「「「「「Shhhhhhh!」」」」」

「いいい!」


 巻きついたまま

 コブラたちはのたうち、


 石の床を這って

 ダナを玉座の下方へ

 連れてゆく。


「王への名乗りを許そう」


「ひっ、

 は、はい。

 ダナ・ダグラソンです」


「ダグラソン。


 ……そなたもまた、

 ベワマゲカパパイの霊を

 宿しておるな。


 奇妙なことだ。


 異国人が

 ――それも一人ならで二人も

 霊を盗み取るとは」


 ベワマゲイは

 いぶかしむ。


 ホテルでの逮捕の際、


 クザッツ警察は

 ダナたちの身辺を軽くさらい、


 それなりの報告書を

 作っている。


 それによれば、

 この女は

 どこまでいっても

 ただの観光客に

 すぎないのだ。


 にもかかわらず、

 カパパイ・カラアイナアに

 深く関わり過ぎている。

 あり得ないほどに。


「ふむ。

 そなたらの間には、

 何か共通点があるはずだ。


 イワン・ワルカネモッティ。


 この名に覚えはないか?」


「イ、ワン?


 私の住んでた

 アパートの大家と、


 同じ名前ですけれど

 ――ッ!?」


「大家!

 また奇妙なつながりよな。


 ……よかろう、

 本命を待つまでの戯れだ。


 何故そなたがクザッツを

 訪うに至ったか。


 そしてクザッツの地を踏んで後、

 いかなる道程をたどったのか。

 奏上せよ」




今日もありがとうございます。


読者諸賢および関係各位の一日が、良きものでありますように。

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