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キング・コブラ



 クザッツ首都郊外のジャングル、

 野戦陣地めいて切り開かれた一角。


「シューッ!」

「ギャーッ!」


 のたうつコブラ四匹!


 イワンの四肢を締め上げる!


 未だ傷の癒えぬ身体がきしみを上げる!


「余には不思議だ。


 異国人であるそなたが、

 どうして大祭の真実を知っている?」


 悶えるイワンを見下ろすのは、

 高く設えられた玉座に座す丈高き男だ。


 彼こそはクザッツ国王!


 ベワマゲイ・キラナニカパパイ!


「シューッ!」

「ギャーッ!」


 右腕に巻きつくコブラが身体を捻る!


 関節破断! 粉砕骨折!


 激痛に叫ぶイワン!


「知っているだけならば、

 まあ研究者か何かの端くれといったところだろう。


 540年に一度の祭りだ。あまりに大昔ゆえ、

 前回のことを書き記した古文献などのうち、

 王家より散逸せるものもあるやもしれぬから」


「シューッ!」

「ギャーッ!」


 左腕に巻きつくコブラが身体を捻る!


 関節破断! 粉砕骨折!


 激痛に叫ぶイワン!


「だが、こうして相対してわかった。


 そなたはベワマゲカパパイの分霊を宿している。


 どこで盗み取ったのか。


 疾く申せ。

 さすれば穏やかな死を与えよう」


「「シューッ!」」

「ギャーッ!」


 両足に巻きつくコブラ!

 それぞれ身体を捻る!


 関節破断! 粉砕骨折!


 激痛に叫ぶイワン!


     †


 ジャングルを行く車内。

 相変わらずラジオがうるさい。


「そういえば、

 私たちはどこに連行されてんの?」


 話す他することもないので、ダナが口を開く。


「ジャングルの奥に、処刑場でもあるのかしら?」


「たびたび聞いて悪いんだけど、

 私たちの中で一番クザッツに詳しいフレイヤさん、

 コメントをどうぞ」


 ブリジットが応じ、すずりがフレイヤに話を振る。


「いや、そう言われてもな。


 このジャングルには、

 小さな遺跡とちいさな博物館と土産物屋がセットになった

 ところがあるくらいしか知らないぞ……


 そんなところに私たちを連行する意味はないだろうし、


 人目を避けたところで殺したいだけなら、

 そもそもホテルでやっているだろう……


 さっぱりわからないな」


     †


「喚くばかりで王命には従わぬか。

 愚かなり。

 ――では、苦痛に満ちた死がそなたへの裁きだ」


 イワンの砕けた四肢!

 そこにまとわりつくコブラたち!


 コブラたちは、毒牙をもって甘噛み!

 ほんのわずかばかりの毒が注入される!


 激痛と、

 すさまじい吐き気をもたらすには十分すぎ、


 死の世界へ逃げ出すには

 少なすぎる、絶妙な量だ。


 四肢の破壊、

 フレイヤの打撃によるダメージなども相まった、

 苦痛の交響曲がイワンを襲う。


「……ぉ……ぁ……!」


「――異国の客人を森へ。後は、森の鳥獣らに饗応を任せよ」

「「「「「Kira-nani! Yai! Kira-nani!」」」」」


 親衛隊員たちは王へ敬礼!


 悶えるイワンを担ぎ上げ、

 王命を実行!


「陛下、奏上いたします。


 外国人女テロリスト四名、

 リウメロエ姫殿下およびルナアイナニ殿下。


 追討の王勅を蒙りし逆賊、

 全員の連行を完了いたしました」


「うむ。結構」


 ベワマゲイはゆっくりと立ち上がる!


 すぐに玉座の下に王輿を担いだ親衛隊員が現れる。


 ベワマゲイを乗せた王輿は、

 ジャングルの奥へ行幸す!



手錠を掛けられているとおっぱいがもめません……かなしいことですね。

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