手にした力
ちょっと遅れちゃいましたが、何とか出来ました!ぜひ最後まで読んでいってください!!
「初めまして。私がこのガンシード王国冒険者ギルド本部のギルドマスター、ラジマ=レビオーバーだ。よろしく」
そう言ったのは、ガンシード王国冒険者ギルド本部のギルドマスター、『ラジマ=レビオーバー』である。彼も以前は手練れの冒険者であったが、現役引退後前ギルドマスターの推薦を受け、ギルドマスターとなった。故に、実績も信頼もあるギルドマスターである。
「初めまして、俺の名前は青木大介だ。大介って呼んでくれ。こちらこそよろしく」
「私は、夏川静香だ。私も静香で大丈夫だ。よろしく頼む」
「ダイスケにシズカか。よし、覚えておこう。お?ユイとマイじゃないか。2人とも元気そうで何よりだ。城の仕事は相変わらず大変か?」
2人と挨拶を交わしているところで、ラジマはユイとマイに気が付いた。どうやら、彼も知り合いらしい。
「お久しぶりです。ラジマさん。仕事の方は今はそこまで大変じゃないです。ラジマさんこそ元気そうで良かったです」
「こんにちはラジマさん。私も元気にやってます!でも、お姉ちゃんがいないと少し不安ですけど・・・」
「マイは相変わらず甘えん坊なんだなぁ。」
段々と話が盛り上がってきたところで、フランカが話を元に戻した。
「マスター、盛り上がってるところ悪いのですが、今はシズカちゃんとダイスケ君のステータスカードの作成を、お願いします」
「おぉ、そうだったな。2人も申し訳ない。じゃあ早速作成するとしよう。2人とも、このカードの上に手を置いてくれ」
ラジマはカードを手に持ったまま、2人の前に差し出した。カードには何も書かれておらず、これがどうやってステータスカードになるのか見当もつかない。2人は言われるまま手を置いた。
「ラジマ=レビオーバーの名において、新たなる冒険者の誕生をここに宣言する」
ラジマが宣言したその瞬間、手に挟まれたカードが光り始め、大介たちは手のひらがじんわりと温かくなっているのを感じた。そして、しばらくすると光が収まった。どうやら完成したらしい。
「よし、これでカードの作成は完了だ。2人とも見てみろ」
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青木大介 22歳 男 レベル01
職業:剣士 適正魔法:無 悪魔 黒
体力:100
筋力:35
器用:25
物防:20
魔防:10
魔力:3000
敏捷:20
貢献:00
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夏川静香 25歳 女 レベル01
職業:ガンナー 適正魔法:雷 光 悪魔
体力:100
筋力:20
器用:35
物防:10
魔防:20
魔力:1000
敏捷:40
貢献:00
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「なぁ、ラジマさん。俺の魔力おかしいぞ?本当にちゃんとできたのか?てか、俺の属性って無属性だよな・・・悪魔と黒???」
「私も魔力の数値だけおかしいな。それに悪魔が私にもあるな。どういうことか分かるか」
まさかの、悪魔属性。水晶に映っていた黒い光の正体は悪魔の光だった。尚、大介の場合もう1つ別の“黒”があるが・・・
「いや、すまない。私も初めて見るものだ。まさかこんな属性が存在していただなんて・・・しかし、このカードは正真正銘本当のことが書かれている。君たちの魔力を注いであるのだ。内容が誤っていることは絶対にありえない。悪魔と黒に関してはあとで私が調べておく。分かり次第君たちに報告する。フランカもこの件は全て私に任してくれないか?」
「分かりました。でも、さっき見た黒い光がまさか悪魔の光だったなんて・・・」
「どうかしたのか?フランカ」
「マスター、私がさっき水晶で見た黒い光は温かい感じがしたんです。悪魔というのは、温かいものなのでしょうか・・・」
「分かった、それも含めてこちらで調べておく。とりあえず君たちは冒険者活動をしてくれ。もしかしたら、その過程でなにか変化が起こるかもしれないのでな」
自分の想像とは違うが、一応チート能力を手に入れることができた大介。しかし、悪魔の力を使いまくってもいいのだろうか。大体こういうのは何か代償を求められるのが悪魔の力というものだ。正直素直に喜ぶことができない。とりあえずは、約束の剣の熟練度をあげることを目標にしよう。
「じゃあ、俺たち一応冒険者ってことでいいのか?」
「あぁ、もちろんだ。これからガンシード王国の冒険者として、その肩書きに恥じぬ生き方をしてくれ」
「ではひとまず私たちは帰るので、何か分かり次第報告お願いします」
そう言うと、4人は部屋を後にした。
「悪魔の力かぁ~、まさか俺たちにこんな力があったなんてな。ま、使えるかは別として」
「異世界人の私たちだから持ってる力ってことか。なんにせよあのギルドマスターが言っていた通り、当分は普通の冒険者と同じだろうがな」
下に戻ってくると相変わらず冒険者たちが賑やかに食事をしていた。この人たちは、今しがた悪魔の力を宣告された人がすぐそばにいるなんて知る由もなかった。今日のところはもうギルドに用がないので、4人はそのまま本部の建物を出ることにした。
「そういえば、もうちょっとでお昼ですね。どこかでお食事でもいかがですか?」
「え、もうそんなに時間たったの?それじゃあ、どっかで食べようかな~、ね?先輩」
「そうだな。それにしてもこの街は賑やかだなぁ」
4人は、ギルド本部を出てストリートをぶらぶら歩いていた。さすがは王国城下町。この賑やかさは少なくともガンシードでは一番だろう。人が多いにも関わらずこの街がきれいなのは、この国に生きる人たちの民度が高いということを物語っている。
「マイ、何か食べたいものはある?」
「ひぇっ!わ、私ですか?私はこの4人で食べられるなら何を食べても美味しいでしょうけど、そうですねぇ・・・あ、パスタなんていかがですか!」
「・・・パスタ?」
「?はい、パスタです。どうか致しましたか?」
「いや、この世界にもパスタがあるんだなぁって・・・」
案外モルガンと地球の食文化は似ているのかもしれない。今日だけでそのことを確信しつつある、大介と静香だったが、知らない料理よりは安心して食べられるので悪い気分ではない。
「あ、あそこのお店です!あそこのパスタとても美味しいんですよ!さ、行きましょ!」
待ってました、と言わんばかりにいつもに増して元気があるマイを見て、2人はこの子こんなキャラだったっけ?と、頭の中で考えていた。ユイは、彼女が新しく心を開く相手ができたことに喜んでいた。
「いらっしゃいませ、4名様でよろしいですか?」
「はい」
「どうぞ、こちらの席へ」
店員に案内された席はテラスになっていて街の雰囲気を楽しみながら食事ができるオシャレな席だった。
「お決まりになりましたら、お呼びください。では、ごゆっくり」
「なんか、久しぶりにこういう所でご飯食べますね先輩」
「そうだな・・・ここ最近は居酒屋か牛丼屋ばかりだったからな」
社畜の親友牛丼。それは、深夜に食べると尚美味しい。疲れ切った体に牛肉が沁みる。そんな生活を送っていた2人にとって、テラスでパスタを食べるなんて違和感の塊でしかない。
「皆さん何食べますか?」
「そうだなぁ~。よし、俺はカルボナーラで」
「私は、ナポリタンにするか」
「お!静香様良いところに目を付けましたね!ここのナポリタンは、とても美味しいんですよ~」
「そうなのか?それは楽しみだなぁ。大介にも一口分けてやるよ」
「ありがとうございます。じゃあ僕のもあとであげますね」
思ったよりも早く決まった4人。その2人は最初から決まっていたような感じだが。しばらくして、テーブルに料理が置かれた。ユイもナポリタンにしたらしい。大介だけアウェイだ。
その後、静香とマイの間でどっちが大介に食べさせるかという、小さな戦いがあったり、その隙にユイがこっそりあげてしまうということがあったが、なんとか食事を済ませた大介たちは一度城へ戻ることにした。
「こうやって、プライベートで街をでかけるのもこれから少なくなっちゃうのかなぁ」
「ま、仕方ないだろ。私たちは強くならないといけないしな」
「あ、そうだ!ユイにお願いがあるんだけど」
「なんですか?」
「俺に剣を教えてほしいんだ。悪魔とか黒とか言われたけど今の俺にはその力は使いこなせないと思う。だからこそ、剣技を磨きたいんだ!」
「そういうことでしたら、私で良ければお相手して差し上げます」
「ありがとう!」
そう、大介が現状使えるのは無属性魔法。そもそも、無属性魔法は攻撃魔法ではなく、主に身体強化などがメインとなる属性。ならば、剣技を磨くのが最善のやり方だ。その過程で約束の剣との絆も深めていければ、一石二鳥である。しかし、一体どうすれば剣の熟練度が上がるのだろうか。ある意味問題が分からない問題である。大介はこれから苦労を重ねていくことになるだろう。
「俺達には悪魔の力が眠っている。でも、使いこなせるかどうかは俺たち次第・・・」
「そう深く考えるな大介。私たちは、何十億人の中から選ばれた2人だぞ?使いこなせるに決まっているさ」
「そうですよね!先輩はやっぱり先輩ですね。正直俺1人じゃ、この世界で生きていける気がしないです。もしかしたら、日本でも同じかもですけれど」
「なんだ?告白か?急だなお前は」
「ちょっ!そんなんじゃないです!先輩は先輩です!」
正直、大介の言い方だとこんな勘違いを生むのは仕方がないことである。
ここまで読んでくださりありがとうございます!!
おそらく、次回で第一章が終わります!うん、そのはず・・・
ここまでは、結構駆け足な部分が多かったですが、2章からは、投稿ペースを少し落として、その分内容をもっといいものにしたいと思ってます!!
感想・レビュー・ブックマーク・評価・誤字報告お待ちしております!
それでは、また次回で!!