2日目の朝
気が付いたら1万文字を超えてて自分でもびっくりしました。今回はいよいよ街に・・・!
ぜひ、最後まで読んでください!
「はぁ~・・・・気持ちいぃ~どうしてお前はいつも俺をこうして逃さないんだ・・・・」
相変わらず独り言を呟きながら、大介は広い湯舟の中で1日の疲れを取り、幸せを感じていた。朝起きたときは、まだ自宅に居て数時間前は会社にいた。なのに今は世界地図のどこを探しても自分はいない。そんな不思議な1日はこの先ないだろう、否、この世界にいたらそんな日ばかりかもしれない。
「明日からいよいよ俺も冒険者かぁ。でっけぇ炎とか出してみたいなぁ。あとは、かっこいい剣でモンスターと戦ってみたいなぁ。それで、色んな女の子に声をかけられてモテモテ人生をこの手に・・・!人生捨てたもんじゃないな」
果たして、本当にモテ期はくるのだろうか・・・大介の頭には勇者になってモテモテの将来が浮かんでいた。
「よし、そろそろ体洗って上がるかな」
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「生き返るぅ・・・」
一方静香も同じように、湯舟に浸かっていた。胸元まである髪を後ろでまとめ、その白い肌を露わにしていた。普段はスーツなので分からないが、女優をやっていたら大成功していただろうと思わせる、その美貌、スタイル。たとえ口調から女子力を感じられなくても、普通はモテてるはずだ。一体どんな生活を送れば、彼氏いない歴=年齢になるのだろう。それとも、男たちが攻める前に諦めてしまったのか。答えは彼女と神のみぞ知るだろう。
「人生何が起こるかわからんなぁ。明日から世界救うために戦うのかぁ。ん、ちょっと待て、今までなんか怪しいと思うことがあったけど忘れていた。私たち世界救ってどうするんだ?本当に日本に帰れるのか?てか、もし帰れたとしてもそれじゃあ、あのちょっと胡散臭い王女が言ってた報酬って日本じゃ意味ないよな・・・まさか、ただ働き!?そんな、冗談じゃないぞ!ん、でも、もしそんなこと言っても、だったら元の世界には返さないって言われて全てがパーになってしまう。なんなんだこのブラック企業も真っ青な雇用体制は・・・」
こちらは大介とは違い、幸せではなく絶望を感じていたようだ。みんな違ってみんないい。その夜、大介は遠足前日の小学生のように全然寝れなく、静香は少々鬱になって寝れなかった。そして、不意に大介が口を開いた。
「なぁ先輩、さっきからどうしたんですか?お風呂あがってからずっとその調子じゃないですか」
「おい大介、なんでお前はそんなウキウキなんだ?それでも残業大好き社会人君か?もっと、想像豊かに考えてみろ」
「別に、好きで残業してた訳じゃないですよ・・・ん~俺には何を考えようにも明日からの新しい人生で頭がいっぱいですよ」
「夢見る男の子はいいなぁ。羨ましいよ。お前、もし日本に帰れなかったらどうするか考えたか?私はそれを考えると不安で寝れないんだよ」
「あはは、先輩らしいですね。別に帰れなかったら帰れなかったでその時はこっちで暮らしましょうよ。とりあえず、今は寝ないと明日寝坊しますよ」
「お前だってはやく寝ろよ。そんなにウキウキしやがって。遠足前の小学生か」
「そうですね、てか、改めて考えると、こうやって同じ部屋で寝るのってなんか緊張しますね」
「そうか?私は別に気にならんぞ。なんだ大介、やっと私を女として見てくれたのか?」
!?
ただでさえ、女性と一緒に寝る機会がなく緊張している大介に静香が追い打ちをかけた。これじゃあますます意識して寝られなくなる。
「どうした?そんなに顔を赤くして。仕方ないな。お姉さんと同じベッドで寝ようか?」
「ちょっと!からかわないでくださいよ!もう寝ます!おやすみなさい!」
そう言って大介は反対側を向いて布団を被った。そして眠りにつく、はずだった。
「別にからかってないぞ?それに、私もお前と一緒に寝たいぞ」
耳元でそっと囁かれた。これは、いよいよ眠られない夜のフラグがたってしまった。
「先輩何してるんですか!ちょっと、胸当たってますって!」
その後、2人が熱い夜を過ごしたのは言うまでもない。
・・・はずだった。
「冗談だ、ばーか。じゃ、おやすみ」
「・・・あ??」
「すーすーすーすー」
「明日絶対に殺す。神に誓う。必ずこの悪魔を殺す・・・」
現実は甘くはない。大介は、無駄にドキドキしてしまったがために、静香に対して本気の怒りを覚えた。
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翌朝
コンコンコンコン
「おはようございます。ユイです。中に入ってもよろしいですか?」
返事がない。よろしい、ならば強行突破だ。ユイはドアを開けて部屋に入った。マイもちゃんと後ろからついてきた。
「お2人とも、起きてください、朝ですよ」
・・・
「マイ、ちょっとお願いがあるんだけど、聞いてもらえるかしら?」
「なんですか~?お姉ちゃん」
「この2人を起こしてもらえないかしら?方法は任せるわ」
「分かりました!私にお任せあれ!」
そう言ってマイは、手をベッドで寝ている2人に向け、その言葉を口にした。
「アクアホール」
次の瞬間、2人の頭に金魚鉢のように丸い水の塊が被さった。勿論、中に空気などない。
「「グゴゴゴゴゴゴオオオオオオ!!!」」
呼吸ができずに強制的に目が覚めた2人は、起きてすぐに死と直面した。
「解除」
ドパァン!
マイの掛け声に反応し、2人を今にも溺死させようとしていた水の塊は四散した。
「大介様、静香様。おはようございます。よく眠れていたみたいで何よりです」
「おはよう、ユイ、マイ。ところで、他の方法はなかったのかな?どうして朝から死にかける羽目にあってるんだろう」
「ご、ごめんなさい!こうやった方が早く起きてくれるかな?なんて思っちゃったんです」
「今のは魔法なのか?」
「は、はい!今のは水系の初級魔法の威力を弱めたものです。本来、このアクアホールは相手を水の檻に閉じ込めて拘束するための魔法です」
どっかの忍の世界で聞いたことあるような・・・
大介は考えてはいけないことだと悟り、これ以上考えることをやめた。
「では、私たちは部屋の前で待っていますので、準備ができ次第冒険者ギルドにいきましょう」
「あぁ、すぐに準備する」
10分後
「お待たせ、2人とも。じゃあ案内よろしくね」
「では、行きましょうか、ギルドはあまり遠くはないので徒歩で行きますが、よろしいですか?」
「むしろ、初めてあるく世界だからいっぱい歩きたいよ!!」
大介の“遠足”が始まった。
ガンシードの城下町はとても賑やかで活気がある。人々が皆、毎日を全力で生きている。大介たちも今まで全力で生きてきた。仕事に全力で。
「すげぇ、めちゃくちゃファンタジーだ・・・!しかもなんだこの匂い!めちゃくちゃ美味しそうな匂いがする!ん、そういえば朝ごはんまだ食べてなかった・・・腹減った・・・」
感情が豊かな22歳。異世界に感動したり、空腹に気づいて元気がなくなったりと忙しい。
「そういえば、お2人は朝食がまだでしたね。私たちは既に済ませてあるのでなにか召し上がりますか?」
「ユイとマイのおすすめとかあるのか~?」
「ん~、まだ朝なので重たいものは避けた方がよさそうですね。そうだ、無難にホットドッグなんていかがですか?」
想像以上に無難で、尚且つ異世界レアリティが低すぎた。だが、まだ希望は材料にのこっている・・・!昨日の飛竜のように、すごいモンスターが食べられるに違いない・・・
「ホットドッグか!ちなみに、材料は何の肉つかってるの?」
「豚肉です」
まさかのブタ。ガチでただのホットドッグじゃん!!!てか、この世界にブタおるんかい!!
「じゃあ、ホットドッグ食べようかな~。ね!先輩!」
「んっ!?うん。そうだな!あはは」
(絶対先輩も同じこと考えてたでしょ!!)
声には出さず、心の中で叫んだ。そうすると、すぐにユイが2人分のホットドッグを買ってきてくれた。え、そんなすぐにホットドッグの店あるの?まさか、考えるのがめんどくさくてたまたま丁度いいのが見つかっただけなのでは・・・
「あ、めちゃくちゃ美味しい。ごめん、ホットドッグかよ、とか、ブタかよ、なんて思ってしまって。ごめん。」
「大介様、意外と辛辣なんですね」
「お姉ちゃんが選んだホットドッグなので絶対美味しいです!」
こうして、めちゃくちゃ美味しいホットドッグを食べながら、街を歩いていくと遂にそれらしき建物が。
「こちらが、ガンシード王国の冒険者ギルド本部でございます。さ、中へ」
ホントにホントにごめんなさーーーい!!!前回の最後に、次回大介たちの職業分かるって書いたのに、そこまでいきませんでしたあああああ。なんかめちゃくちゃ長くなりそうだったのでここが一番区切りがよかったんです・・・次回こそは必ず!!!!!
というわけで、感想・レビュー・ブックマーク・評価・誤字報告・いつも通りお待ちしております!どんどんお願いします!!!!