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42.おっさんの話

 エスターは兄がほぼ帰ってこれないだろうという事実を知ったら、どう思うだろう。俺と同じ方法で飛んで行ったなら、てっきり俺の世界に飛ばされたものだとばかり思っていたけど、四方八方に世界があるんじゃ、どこへ行ったかなんて特定するのは不可能だ。


「どうですか?お話は盛り上がっていますか?」

「おおエスター!!今世界についてな」

「それより!!!!それより!!!!!!!ニールさんのとこにいた人はどんな人だったんですか!!!!!!!」


 ニールの馬鹿でかい声を遮るように、腹の底から声を出して話を遮る。今ここでショックを受けるエスターを見る勇気は俺にはない。


「おっさんか?!?!?」

「あ、ああ!あなたのところにいたんですよね?」


 強引に話題を逸らした。どこに目があるのか分からないけれど、とりあえずヘルメットのシールドの部分を見つめる。すると、ニールは知ってか知らずか俺が逸らした話題に乗って来てくれた。

 そうだな……とニールは一瞬考えるように頭を上へ向けると、人差し指を立てる。


「ショウワ生まれらしいぞ!!!!!!」


 昭和なんて単語久しぶりに聞いた。おっさんが俺と同じ所から来たのはやっぱりほぼ合っているんだろう。


「昭和か、まぁ10年以上前に来てておっさんなら……」

「あんまり詳しく教えてくれなかったんだ!!!!!ショウワというのはなんだ?!場所なのか?!?!」

「いや場所じゃなくて……元号っていう……」

「ゲンゴウ????!!!!!」

「ええと元号っていうのは西暦と違って……」

「セイレキ?!???!?!」


 思わず苦い顔をしてしまう。なるほど、おっさんが詳しく説明しなかった理由が分かった。前提を共有していない相手に一から説明するのは面倒くさい。


「昭和についてはまた後で話すわ。」

「そうか!!!!!!!君はおっさんと同じことを言うな!!!!!!!!」

「同じ世界出身のようですし、似ているのかもしれませんね。」


 小首を傾げるエスターは可愛いけど、見ず知らずののおっさんと似ていると言われても嬉しくもなんともない。それにしても同じ世界出身ってすごい言葉だ。ここは違う世界出身の人が珍しくない世界だということを再認識させられる。


「私はほとんど話したことはありませんが、ニールさんは仲良しでしたよね?」

「ああ!!!!!!!家を改造してくれたからな!!!!!!!!」


 あれは改造っていうくくりでいいんだろうか。そういう次元の話じゃない気がするけど。


「そのおっさんは建築とか、建物作る人だったの?」

「そうさ!!!!仕事中にこの世界へ来たらしい!!!!!!本当はもっといろいろ作って欲しかっただが……」

「飛んで行ったのは突然?」

「ああ、ある日突然思い出したように帰ると言い出して帰って来なくなってしまった!!!!!」


 そのおっさんも飛ぶ方法を見つけてまたあの湖に飛び込んだってことだろうか、しかし、帰ると言っても本当にあの世界に帰ることができたのだろうか。


「やはり、その方もいつ繋がるのか知っていたのですね。お兄様も分かっていたようですし……」

「あ、ああそうだね……」

「どうやらいつもというわけではないみたいなんだ!!!!!!同じ日付や時間を試したが飛ぶことはできなかった!!!!」

「試しはしたのか……」


 同じ日付や時間でも飛ぶことはできないらしい。そうなると、無理やり帰ろうとした場合一日中湖に浸かっていなければならなくなる。そんなことは不可能だ。


「難しいですね、お兄様は一体どこでその日付を知ったのやら……。」

「それに特定の世界へ飛」

「わー!!!!!!!!!!!!!!お腹空いたなーーーーーーーーーー!!!!!!」


 危ない。待ってくれ、まだその話題に触れる勇気は無いって言ってるだろ!!!


「あ、あらそうですか?では早めにお食事の準備をしますね。」

「もう腹が減ったのか??????じゃあミラにも頼もう!!!!!やつは料理においては信頼がおける!!!!!!!!」


 突然騒ぎ出したいい年の大人を二人は生暖かい目で見てくる。新しい情報に混乱しているとでも思っているんだろうか。そもそも無理やり過ぎてごまかし切れていない気もするが、二人が突っ込んでこないからもうそれでいいことにしよう。


「な!なぁ、ミラって料理が上手いのか?」

「ああ!!!!私達が似ていないのはそれくらいだな!!!!!!」

「実は私のお料理の先生はミラさんなんですよ!」


 そうだったのか、それなら料理が上手いのは間違いないな。エスターも相当上手だと思うけど、ミラはそれ以上だというのはかなり興味をそそられる。もし、万が一向こうにその気があれば引き抜きなんてことも……


「ミタカ!!!!申し訳ないがミラを引き抜かせるわけにはいかないぞ!!!!!!」

「ばれてーら」

「君も知っているだろう!!!私のあの家の中の惨状を!!!!!!ミラがいなくなったら大変なことになってしまうぞ!!!!!!!」


 ニールの家がどうなっても俺の知ったことではないが、別に無理やり引き抜いたりはしない。俺は従業員の快適な空間を第一にしていきたいし。


「ミラさんは裏口の方にいらっしゃいますかね?」

「ああ!!!リューがいるなら裏口に居るだろう!!!!!!」


 多分ミラも俺に全く興味ないだろうしな。


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