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妖精の円舞曲 ~Fairy Waltz~  作者: ことぶき司
第2章『 無邪気な子供 』
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第4話『白き来訪者』


「暑い……」


 幾度となく使い回された言葉だが、それでも呟かずにはいられない。

 言えば余計に暑くなる、などと阿呆らしい説法を説くヤツもいるが、それがまかり通るのなら「寒い」と言ってら少しでも涼しくなってほしいものだ。

 だが現実にそんなことがあるわけもなく、何を言おうがただただ暑くなるばかりなのが日本の夏というもので。


 だからこそ今日も今日とて呟かずにはいられない。


「……暑い」


 ――ボシャリ。


 眼球だけを動かして音のした方を見ると、そこにはさっき買ったばかりのアイスが無残な姿で地面へ崩れ、めでたくも働きアリたちの餌へと変わっていた。


 季節限定販売のスイカ味。なんとなく限定物を買ってしまうのは日本人の性なのだろうか。特にスイカが好きというわけでもないのに、定番のソーダ味を差し置いて買ったはいいものの、正直水っぽさが否めない。スイカを意識して盛られた香料と赤の着色料でどうにかスイカ味だと認識できるが、お世辞にも美味しいとは言えないそんなシロモノ。半分以上を残した状態で放っていたから融けて当然なのだが、なぜかやるせなさが込み上げてくるのはなぜなのだろうか。味に対する執着はないはずなのだが。


「はぁ~~……」


 こんな暑さにも関わらずいそいそと落としたアイスを運んでいくアリたちを見ながら、黒衣は呪いのようにため息を白日の昼間に垂れ流す。


 ――なんで俺、こんなとこにいるんだっけ?


 いや、わかっている。ここに足を運んだのは自らが決めたことで、そこに他人の意思など介在しない。全部自分の意思だ。

 わかってる。だがそれでも疑問に思わずにはいられない。


 正直、そんな暑い暑い言うのなら冷房の効いた家に引き篭もって、根暗らしく自室でジメジメしてればいいだろうが。とも思うのが、如何せんそういうわけにはいかないのがこの世の辛いところ。


 ちゃんと理由があるのだ。


 まぁぶっちゃけた話、サボったのだ。

 サボり。サボタージュ。


 何を、と問われれば、『特訓』と答えるだろう。


 そう。言わずもがな。それは昨日杏子から言い渡された、黒衣の拙い魔法の扱い向上のための特訓。その二回目だ。

 というのに三日坊主どころか二日目にしてサボっていることにももちろん理由わけがある。


 それは昨日。かぐや姫を名乗る学園長と対面する少し前。映えある特訓第一回目のことだ。


 まぁなんてことはない、簡単な話だ。キツかったのだ。何が? 特訓が、だ。


 そりゃあ【魔法】なんて未知のものを扱う特訓だ。厳しいに決まってる。だがそこは厳しくも様々な発想と試練による熱く燃える展開……要は少年漫画の主人公のような修行をイメージしていたわけだ。だが違った。そんな笑顔で一汗かくような、ドキドキワクワクなものではなかった。ただひたすらの反復練習。それも杏子による攻撃のおまけ付き。小刀が喉元に迫る中時間停止の【魔法】を用いての回避。【魔法】のインターバルをきっちり理解していないと時間差攻撃によってあっという間にお陀仏あの世行き。正直、幾度か喉元を掠めている。


 未だ残る喉元の生傷を指でなぞり、黒衣は気温に関係なくその身を震わせる。


 【魔法】の特訓、なんて言うからもっとカッコイイものを想像していたのだが。現実と空想は得てして違うもの。だがさすがに死と隣合わせってのはあんまりだろう。少し漫画の主人公っぽくはあるのだが。


 いや、わかっている。特訓というものが楽しいものであるはずがないということは。


 それにコーチに就いているのがあの『本の鬼』と恐れられる鬼瀬杏子なのだ。『図書委員会会長』という肩書き、そして眼鏡美少女というその容姿も相まってどうしても文化系なイメージを持たれがちだが、杏子は『剣道部部長』の肩書きも持っているのだ。現在では部員数こそ少ないものの、我が学園の剣道部は他の部にも目劣りしない輝かしい功績をいくつも残している。数年前までは全国大会にも常連だったようで、学園エントランスには剣道部OBが残した数々の盾やトロフィーが飾られている。そしてその中には去年杏子が獲得したものも含まれている。


 つまるところ、杏子はコテコテの文化系であると同時に、バリバリの体育会系でもあるということだ。それも全国クラスの。


 そんな全国区の指導を中学三年間帰宅部で過ごしてきた黒衣が耐えられるわけもなく、特訓開始して早々二日目にして、見事サボタージュに興じているというわけだ。


 思えば当然の帰結。無理があったのだ。何をやっても「めんどくさい」の一言で逃げ出す怠惰の化身こと黒衣に、授業もないのに毎日学校に来ては杏子にシゴかれボロボロの泥だらけになる。ドMかっての。

 そーいうのはそーいう趣味の人に任せて、黒衣は黒衣らしく、不良は不良らしくサボらせてもらいますよっと。


 ただ、家に引き篭もっていたのではすぐに連れ出されてしまう――おそらくすでに自宅は八つ裂きだろう――ので、このクソ暑い中渋々外に出ているというわけだ。


 それでも一応制服に身を包んでいるのは、律儀と言うべきか臆病者とでも言うべきか。


「……………………」


 だが、ずっとこうしてもいられない。杏子のことだ。いずれこの場所も見つけ出し、中世ヨーロッパも真っ青の責め苦を味合わせられるに違いない。


 それを考えると熱く茹だった頭も冷えてくる。


 の、だが……。


「おい、人間!」


 そんなことを考えていると、この公園にやってくるなり林の中へと消えていったアリスが元気よく現れる。


「ん? どした?」


「これは何だ!」


 そう言って差し出してきた右手には、わしわしと力強く蠢く大きな昆虫。


「んーー? ああ、これはあれだな。カブトムシ」


「かぶとむし? なんだそれは。虫の分際でなかなかに強そうな名前ではないか」


「まぁー……そうだな。なんたってカブトムシは昆虫界の王様だからな」


「昆虫の……、王……っ!」


 何故かそこで、驚愕に彩られた声を漏らす。


「ああ。でも、一口に王様つっても色々いてだな。ま、早い話、とにかく派手でデカけりゃそんだけ偉いんだよ」


「ふ、ふふふ……」


 ——ん?

 黒衣が何やら偉そうにご高尚宣っていると、アリスが不敵に笑い出す。


「ふふふふ……。よもやわたしの前で王を名乗ろうとはな……。虫如きが随分と思い上がったものだ……。ふ……、今覚えば、あの愚かな女王もそうであった。身勝手な圧政を敷き、気に入らぬ者皆粛清の対象としていた。だから報いを受けた……!!」


 ——ああ、これは、何か妙なスイッチが入った時の感じだ。


「人間、わたしは決めたぞ。圧政を強いるこの愚かな王どもをわたしは全て借り尽くすとな!」


「いや、別にこいつらが本当に王様ってわけじゃ——」


「止めるな人間っ! これはもはや、天よりわたしに課せられた宿業なのだ!」


「あー……、さいですか……」


「では行ってくるぞ、人間。お前はそこで、この国が平和に歓喜する様を眺めているがいい!!」


 そう言ってアリスは、颯爽と林の中へと駆け出して行った。


「ああ、……あんまり遠くへは行くなよー……」


 消え入るように言った黒衣の台詞に、アリスは手を振って応えてくる。


 ——ほんと、子供みたいなヤツだ。


 あんなのが、つい一週間前にあの恐ろしい魔女相手に大立ち回りを繰り広げていたなんて。とてもそんな風には見えない。


「ま、それは俺も同じか」


 そう呟いて、黒衣はなんとなく自分の手を見る。

 そこにあるのはついこの間となんの変わりもないいつもの手。

 だがこの手で黒衣は、未知の力【魔法】を繰り、銀の牙剥く恐ろしい狼を——【魔女】を倒した。

 黒衣は開いた手のひらをグッと握りしめ、そしてまた同じようにして開く。

 やはり、そこにある手のひらは何度見てもいつもと同じ手のひらで。

 日常とは違う何処かへと踏み入れた実感など、これっぽっちも湧きはしない。


「はぁぁぁ〜〜……」


 あの頃(・・・)から何一つ前に進めている気がしないのに、夏の暑さだけは日に日に増していく。

 また自分を追い越そうとしている夏の日に、黒衣はどうしようもないやるせなさを感じてしまう。


「…………」


  本来なら、ここにいるべきではないのだろう。

 今すぐにでも杏子の元へ行き、魔法の特訓をつけてもらうべきなのは間違いない。


 だが何故か一向に足はそちらを向こうとしない。

 行くべき場所もやるべきこともはっきりしているというのに、何故か自分はここにいる。


 やる気がない?

 確かに、今までの自分なら「めんどうくさい」の一言で全て済ませていた。

 だが、今は……。


 ——ポト


 そんなことを考えているうちに、わずかに残っていたソーダアイスもすっかり溶けていて。蟻は依然として青色の糖分を運んでいた。


「……わっかんね」


 黒衣は残ったアイスの棒をコンビニの袋へ乱暴に突っ込むと、そのまま腕を枕に目を瞑る。


(もうなんもかも、めんどくせえや)


 南風に乗ってやってきた睡魔に身を任せ、黒衣は逃避にも似た微睡みへと溺れていく。



「不可解」



 そんな黒衣の意識を、ふと聞こえた声が繋ぎ止める。

 どこか聞き覚えのその声に、黒衣は思わず目を開く。


「白うさぎ……」


 夏だというのに雪原を思わせる白銀の髪を揺らし、血で精錬したかのような紅の瞳を燈らせて現れたのは、黒衣の後輩にして転校生。そして何より【魔女】と対峙したあの夜、突如現れ黒衣たちを掻き乱していった神出鬼没の【妖精】――『白うさぎ』だ。


 白うさぎは夏休みにも関わらず、夏服ですらない袖の長い制服に身を包み、見るからに暑苦しいと言わんばかりの姿で公園入り口の前で立っていた。

 手にはいくつもの本が抱えられており、図書館塔からの帰りであることを伺わせている。


 ただ、それ以外の感情なら――あるにはあるのだが。


「……何か用か?」


 できる限り素っ気のない態度で言ってみる。


 現状、黒衣にとってこの少女に対する立ち位置は曖昧だ。

 杏子ははっきりとこの白ウサギを『危険な妖精』と明言していた。それはつまり、敵であることの証だ。


 だがしかし、黒衣には特に敵対する理由がない。だからと言って、人間ではない存在【妖精】をこのまま放置しておいてもいいものなのか。

 その判断も未だ黒衣には定まらない。


 そして何より、この少女とは敵対しづらい理由も——あるにはあるから。


 問われた白ウサギは一つ表情を変えることなく、口だけを小さく動かし答える。


「特には、ない」


「そうかよ。だったら――」


「でも、貴方が、いたから」


「っ…………」


 思わず言葉を詰まらせる。


 ——やはり、やりにくい。


「それで、何が不可解なんだって?」


「このようなところで、睡眠を摂ろうとしていた」


「? それが?」


「?」


「いや、それがどうしたんだって」


「不可解」


「はい?」


「この場所の気温は現在、摂氏三十五度。湿度に至っては七十パーセントを上回っている。どちらも人間が不快と感じる値を超えている。にも関わらず、貴方はこの場所で睡眠を摂ろうとしていた。それ何故?」


「な、何故って……」


「何故?」


 相変わらずその表情に変化はないが、白ウサギは心底わからないと言いたげにキョトンと首を傾げる。

 そんな姿がまた、似ている(・・・・)と感じてしまう。


「……はぁ。まぁ、そうだな。確かに、今日は暑いよな。頭でもおかしくなったんじゃねぇかと思うほどの暑さだ」


 そう言って黒衣は、空を見上げる。


「でもな。どこでもそうってわけじゃねぇ。木陰にさえ入れば、案外気持ちのいいものだぞ」


「木陰。木の影。樹木や枝葉が日光を遮っている場所のこと」


「まぁ百聞は一見にしかずってやつだ。騙されたと思って、お前もこっち座ってみろよ」


 言って黒衣は空いた隣の空間座るよう、白うさぎに促してみる。


「…………」


 すると思ったよりも素直に、白ウサギは黒衣の座るベンチへと近づき、そして――、


「ぃ――」


「…………」


 黒衣の膝の上へと、腰を降ろした。


(ぇ、えええええええええええええええええええええええええええええええ!!)


「……あ、あの、もしもし? うさぎさん?」


 驚天動地の動揺を内心にて繰り広げる黒衣だが、ギリギリのところで耐え切り平静さを保つことに成功する。思いもよらぬ精神力を発揮した自分を褒めてやりたい気分だ。


 しかし動揺を誘った当の本人である白ウサギはと言うと、黒衣の問いにはすぐに答えず、スン――と小さく呼吸を清ませると、


「……うん」


 と、小さく頷いた。


 ――いや、うんじゃないが。


 黒衣が困惑していると、そこにへ一陣の風が流れ込む。

 緑陰がさわさわと音を立て、木漏れ日が幾重にも形を変える。一刻一秒ごとに光を明滅させるその様は、あたかも万華鏡の世界にも見えて。

 決して涼しいとは言えないこの場所を、夏ならではの居心地の良さを与えてくれる。


 そうして感じたのは黒衣だけではないらしく。

 黒衣の膝の上でどんぐりのような鼻を揺らすその少女も、


「訂正。案外、悪くない」


 と、そう呟いた。


 驚いていた。


 いや、違うな。

 なんと言うか、黒衣にとって白ウサギはの最初の印象は『物言わぬ人形』だ。


 アイツに似ている。それは依然として変わりはしない。だがそれはあくまで姿形の話であって、中身までもアイツに似ているとは思っていない。

 アイツは人見知りではあったが決して大人しい子ではなかった。むしろ明るい方で、黒衣や友達などの前では決して笑顔の絶やさない子だった。


 だからこそなのだろう。表情の乏しいこの白の少女のことを、感情がないとまで誤認してしまっていたのは。


 白ウサギ。この少女がどのような物語の登場人物かは知らない。だが、ここではないどこか遠く――【妖精の園】より来たことは確かだ。

 そんな【妖精】である彼女だからこそ、「感情がなくても当たり前」なんて幻想に囚われていた。


 結果として、それは間違いだった。


 ――だってそうだろう?


 そうでなければ、ああは見えないはずだ。

 風に揺れる白ウサギの横顔が、——笑っているように見えたのは。


 もしかしたら見間違いだったかもしれない。


 でも黒衣には、その無機質な表情が心地良い風に綻んでいるようにしか見えなくて。

 あたかもそれは、どこにでもいる普通の女の子のように見えて。


「なぁ」


 だから問わずにいられない。


「お前は、俺たちの敵なのか?」


 ————。


「……敵の概念が不明。何を持ってして、私は貴方の敵となるのか?」


「…………。そうだよな。わっかんねぇよなぁ。ごめんな。なんか、変なこと聞いちまった」


 そう。我ながら変なことを聞いたものだ。黒衣にとって、この少女は未だ無害な存在だ。たとえこの少女が人ではなく【妖精】という異質な存在だとしても。それが敵だということにならない。


 ではなぜそんなことを聞いてしまったのだろうか。


 ――ああ、そうか。


(俺は、この娘の敵になんて――)


 それを理解して、黒衣はどうしようもない自分の愚かさを笑う。


「忘れてくれ、今のは。やっぱあれだな。暑さで俺もどうかしてたみた――」


 だがその乾いた笑いは瞬く間にかき消されてしまう。


 手の上に降りるひんやりとした感触。粉雪でも降ったかのようなその感触に視線を向けると、そこにあったのは子供のように小さな白い手。


 白ウサギの手が、黒衣の手に上に小さく重ねられていた。


「貴方にとっての敵はわからない。でも、私にとっての敵は、私の目的を、邪魔するもの」


「目的?」


 白ウサギの視線は依然遠くの陽だまりに向けられているが、その手は感触を確かめるようにゆっくりと黒衣の手を撫でている。


「私は目的のために此処に来た。そのためなら、どんな手段も厭わない。もしそれを邪魔する者がいるのなら、私はそれを、全力で排除する」

 いつもと同じ淡々とした物言い。だが白き言葉の裏にはどこか熱のようなものが感じられる。夏のような全てを照りつける暑さではなく、燻る炎のような、何かを。


「でも――」


 そんな言葉に気を取られていると、不意に白ウサギは黒衣の手を握る。


「でも、出来れば貴方とは、そうなりたくない」


 覗き込むように黒衣を見上げる紅い瞳に、黒衣は思わずドキリと心臓を跳ねさせる。


 男の膝の上に体を重ね、手は被さるように握り締め、宝玉の瞳で男を射抜く。端から見ればそれは恋人同士のようにも見えて。


 だが黒衣に舞い降りたのは、別の感情。


(ああ。やっぱり――)


 ――やっぱり、似ている。


 そう、感じてしまう。


 できるだけ考えないようにと努めていたつもりだったが、それでも考えずにはいられない。


 やはりこの少女はアイツに——紗雪()に似ている。


 どうしようもなく重ねてしまう。

 意味もなく甘えてくるくせに、変なところでどうしようもなく頑固。


 きっと、その『目的』とやらも教えてはくれないのだろう。


 だから、


「……そうか」


 ただそれだけを答える。


 今はそれでいいと。

 今はただ、この心地の良い空間が少しでも続いてくればいいのだと、それだけを思って。


 いつの間にか白ウサギは文庫本を取り出し、黒衣の膝の上であることも気にせず読み始めていた。


 繋がれていた手も、知らぬ間に離して。


 僅かばかりの名残惜しさと少しばかりの安堵を吐き出して、黒衣はベンチへと腰を預ける。


 公園にそよぐ風に音はなく、頁をめくる音だけがときたま耳をくすぐるくらい。


「なぁ、白ウサギ」


「……なに」


 こんな状態でも律儀に返事を返してくれる白ウサギを嬉しく思うも、少し考えて思い直す。


「…………いや」


「……そう」


 白ウサギはやはり短く答えて、そのまま読書を続けていく。


 聞きたいことは山ほどあるけれど、今はまだいいのだろう。

 何もないこの時間を少しでも感じていたい。


 夏の木漏れ日は少しづつその輪郭をぼやけさせ、その形を曖昧にしていく。

 まるでこの暑さに世界の全てが溶けていくかのようにして。


 そして黒衣の瞼は、ゆっくりと閉じられた。




次回、子供は好きですか?

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