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エイリアーナ・プレデリカ  作者: 墨谷幽
9/15

シェーン・"マッドフォーカス"・レンショー(1)

 才能が枯渇した? しょせんは一発屋だって?

 好き勝手言ってくれちゃって。

「いや、もちろん君と会うのがイヤだってわけじゃないよ? そこは勘違いしないでほしいんだけどね。そういうことじゃなくってさ、ほら」

 誰にだって、そういう時期ってのがあるもんさ。世界中を席巻、全米ナンバーワンヒット! 各賞総ナメ、なんて名監督だって、パッとしない時期ってのはあるんだよ。

 そこんとこ、連中分かっちゃないんだよな。

「僕ら、もういい大人だろう? のっぴきならない社会の仕組みってものをさ、きちんと理解すべきじゃないのかなあ。僕だって、そうそう授業をすっぽかしてられないんだよ、ねえシェーン……シェーン? 聞いてる?」

 そりゃあ、俺だって分かってるよ。前作も、前々作も、パッとしなかったよ。ああそうだよ。認める、確かに。けどだからって、あれが俺の全て、掛け値なしの全力全開なんだって、まったく、誰に分かるっていうんだ?

 デビュー作をもう一度見ろ、何度だって見ろと俺は言いたい。連中に。映画史に燦然と名を残すあのタイトルを、見よ! 『暗黒星雲からの使者』!! 監督・脚本シェーン・レンショー、全米ナンバーワンヒット!! 初日だけだったけどな。ナンバーワンには違いない、やれるんだよ俺は、間違いなく。

「シェーン……あー。マッドフォーカス」

「よう、ビッグベア! 元気そうだな、また体重が増えたか?」

「三日前にも会ったじゃないか」

 いや。そうだな。自分をごまかすのは、もうよそう。確かにあれは、俺だけの実力じゃなかった。

 俺を支えてくれる、気のいい親友たちの心よりの助力があってこそだ。ああ、分かってる。

「はあ……で、今度はどこで詰まってるの?」

「キッドマンとワームガールが一時的に休戦して巨大円盤を迎え撃つシーンなんだが、そんなバカでかい円盤をどうやって撃ち落としたもんかと思って……」

「ちょっちょっちょ、待って。待って……ええ!? ワームガールって、敵だったよね? キッドマンの奥さんと娘を殺しちゃうんだから、それに円盤って? 何星人の円盤? どこから出てきたの?」

「これから考える。イカす映画にはイカすヒロインってやつが必要不可欠だからな、いいだろワームガール。きっと人気出るぜ? 気持ち悪いけど可愛らしい、キモカワイイ! なんつってさ」

「そんな言葉、聞いたこともないよ……えええ、ワームガールがヒロインなの? シェーンそれ、話、全然変わってきちゃうじゃないか……」

「だからお前の力が必要なんだろ? ったく、分かるだろ、そのくらい……ほれ、いつもみたいに頼むぜ。ガンガンやっちゃってくれよ」

 鈍くて太ってて、こんな時には実に頼れる、我らが大親友だ。いつだって、俺たちの関係は変わらない。俺がこいつや仲間たちを導いてやる、その代わりにやつらは俺へと、天啓をもたらしてくれる。

 ちょっと他じゃあお目にかかれない、最高の閃きってやつを。

「分かったよ、もう。じゃあ……そうだなぁ。まず、キッドマンはさ、長らく娘と二人暮らしってことにしたら? 奥さんが亡くなった直後に、宇宙から来た女の子とロマンスっていうのはちょっと、なんかさ」

「そう? そうかな。そうしちゃうか。娘はどうする?」

「円盤が攻めてきた時に死んじゃうことにしよう。唯一残った肉親も亡くして、絶望してガックリ打ちひしがれてるキッドマンの姿に、ワームガールはこれまでに感じたことのない感情を覚えて戸惑うんだ。遠い宇宙を旅してきて、地球で初めて人を愛することを知って……」

「言うことナシだぜ、ビッグベア」

 何せ俺たちは、あの夜を生き延びた。今でも目に浮かぶ……あの光景が、今でも俺たち五人を繋いでる。どんなに遠く離れてたって。

 ちょっとやそっとじゃ、切れないのさ。この、絆ってやつはね。

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