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エイリアーナ・プレデリカ  作者: 墨谷幽
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キルスティン・キトウィッグ

 アタシの人生、ロクなもんじゃなかった。

 ……いやま、じゃあ上等な一生って一体ナンなんだ? って聞かれても、パーッと出てこないけど。んー……そうね。テレビに映画にCMに、アタシの顔を見ない日は無いってくらいの大女優にいつかなって、さんざんチヤホヤされて、レッドカーペットを背中丸見せの真っ赤なドレスでフラッシュバシャバシャ浴びながら歩くってのも、もちろん捨てがたいけど。

 それより……このまま高校卒業したら、可も不可もない大学に滑り込み入学。マジメにベンキョーするでもなくテキトーにダラダラ毎日過ごしながら、そのうちイイ男に言い寄られて、卒業と同時に電撃結婚。一年はラブラブな新婚生活を満喫してから、その後に子供を……二人がいいな、一人でもなく三人でもなく、そのくらいがちょうどイイ。アタシは毎朝ダーリンにキスをして、行ってらっしゃいって送り出して、昼は子育てにてんてこまいで、夜は帰ってきたダーリンをキスの雨で出迎えて、子供たちと一緒にテレビでアニメでも見ながら一家団欒。これでもかって賑やかで、幸せな、フッツーの家庭!

 もちろんオトコなら誰でも良いってわけじゃない、そこんとこアタシ、誤解されてる気がするんだけどね。事あるごとに言い寄ってくるスティーブンの下心マルダシ感ったらないし、ヘンリーは顔は良いけど頼りなさすぎ。ジェイクは口がクサイのが耐えられないし、おおっと! とか言いながらアタシのケツ握り締めたトレバー、あいつは絶対に許さん。

 そーいうんじゃなくて……そう、例えばの話。例えば、よ! 隣の……ほら。エリオット坊やがさ、うっかりアタシに惚れちゃってさ、熱烈求婚。あんまり真剣に口説かれるもんだから、アタシもうっかりOKしちゃったりなんだりして、いつの間にやらアネさん女房。思いっきり尻に敷いてやって、でも二人っきりの時はラブラブで、思う存分イチャイチャして……。

 どーしてこう、アタシって。こんな時まで素直じゃないんだろね。もうすぐ死んじゃうってのに、バーッカみたい。

 っつーかそもそも、何で死んじゃうんだっけ? アタシ。交通事故? 違う、誰かが……や、何かが、アタシを……。

 ……ダメだ! 忘れた。記憶がアイマイだわ。ま、死ぬ前なんてきっとそんなもの、ハッキリしてるほうがおかしいわよね。

 はーァ。これで終わりかぁ。あっけない。

 やっぱりアタシの人生、ロクなもんじゃない。




「……その、身体。もういらないのか?」

 だーれさ?

「いらないのなら。私が、もらうぞ?」

 ま……いっかぁ。お好きにどーぞ。

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