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第6話
『おい、ケンタ。ちょっと飲みに行くぞ。』
直属の上司である課長に連れられ、居酒屋の暖簾をくぐる。
『お前、今日はいったいどうしたんだ。何ずっとふてくされてるんだよ。』
バイトと思われる店員さんが、ふてくされている俺とは対照的な笑顔で、生中2杯を運んできた。
『だって、工場長の左遷と工場の縮小なんて納得出来ないッスよ。』
ケンタは、ジョッキーの1/3程を流し込む。
『たしかに工場長の左遷はデメリットが多いが、工場の縮小は今の情勢を考えるとやむを得ない面もある。ケンタだってそれくらいわかってるだろ。』
笑顔がキュートな店員さんが枝豆とお新香を運んでくる。バイトの女子大生だろうか。
『でも、工場長がいるからこのご時世でも工場が上手く立ち直っているのに。頑張っていて、部下の信頼も厚くて、そんな人が左遷させられて、一方で人望がないのに世渡り上手なだけで出世するなんて、そんなの絶対におかしいッスよ。何のために毎日頑張ってるのか、こんな会社にいていいのか、なんかわかんなくなってきました。』
串焼きを運んでくれたさっきのお姉さんに、生ビールのお代わりを注文する。キュートな笑顔が、大学時代のマネージャーのミキちゃんに似ている。
頑張っていた、あの頃の記憶が蘇る。




