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第5話

『これからの時代は国内から海外へ。我が社も生産拠点をアジアへシフトすることが必要だ。君の工場での実績は高く評価している。君の力を、我が社のアジア進出に生かすため、是非、海外準備室で頑張ってもらいたい。』


人事部に呼ばれ、内々示を受けた後、いつもと異なりご機嫌な事業部長から話があった。


「君の実績を高く評価している」、だと。とんだ狸め。だが人事部まで根回ししているとなると、どうやら俺の異動は揺るがないようだ。海外準備室か。事実上の左遷であることは誰の目にも明らかだ。


たしかに、国内生産でコスト競争を勝ち抜くのは難しい。工場にもさらなる効率化が求められるのも当然だ。人員削減を含めたリストラの必要性もやむを得ない。ただし、削減すべき人員は工場だけではなく、むしろ役員や本社にこそあり、見直し再構築すべきものは、役員や事業部長などの心構えにこそあろう。


「現場の活力こそが、わが社を支えているんだ。」


長かった工場勤務の終わりが現実味を帯びてきたが、工場とその従業員の未来は閉ざしてはいけない、と工場長は強く心の中で繰り返した。



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