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第10話

『ご馳走さまでした。今日はいろいろありがとうございました。』


そう言って僕は課長と別れ、帰りの電車に揺られている。課長とは色々な話をすることが出来て、僕の心は落ち着きを取り戻しつつあった。


たしかに今の俺の力では、何も変えることなど出来ないし、誰も守ることなど出来やしない。だが、真面目に一生懸命働いている人達が同じ目にあわないように、希望を持って入社してくる後輩達が同じ思いをしないように、俺は知識と経験を積み、モノを言える力をつけていくしかないんだろうな。


『長く遠い道のりだな。』


つり革に掴まりながら、独りつぶやく。周りには仕事帰りのサラリーマンやOLばかり。くたびれている姿もあれば、赤ら顔でご機嫌な姿もある。窓に映る僕の顔は、やや疲れてはいるけれども、目はまだまだ死んではいない。


駅からアパートまでの帰り道。夜空を見上げると、東京にも、北海道と同じ月が顔を出していた。


『窓にうつる 哀れな自分が 愛おしくもある この頃では 僕は僕のままで 譲れぬ夢を抱えて どこまでも歩き続けてゆくよ いいだろう? Mr.myself?』


ミスチルを口ずさみながら、僕の心は明日に向かっていた。




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