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  作者: 東ノ 蜆
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初デート①

待ち合わせは私の家の近くのコンビニだった。

私達の住んでいる町は田舎という程では無いが、都会とも言えない所で、移動は専ら車が多い。

今回のデートは小塚先輩が車を出してくれることになっている。

「おはよー!」

コンビニの玄関外。待ち合わせ場所に着いた私に彼が元気に弾むような声を掛けてきた。

コンビニの中から出てきた彼の手にはビニール袋が握られている。どうやら彼は私が来るまでコンビニの中で色々と物色していたらしい。

「はいこれ」

そう言うと彼はビニール袋の中から温かいココアを取り出して私に差し出してきた。

まだ一月の寒い季節。ありがたい。

「ありがとうございます。今日はよろしくお願いします」

お礼を言い、ココアを受け取る。

そんな私を彼はニコニコしながら見つめている。

「どうしたんですか?なにか良いことありました?」

私も釣られて頬を緩ませながら彼に言う。

「奈央ちゃんとのデート嬉しいなって。もう大満足!あ、いやいやこれで終わったらいかんけど」

なんだか照れくさくて何も言えずに黙ってしまう。

そんな私に彼は「ははっ」と無邪気に笑うと、自身の車の助手席のドアを開け「どうぞお姫様」と執事のような仕草でエスコートした。

「なんですかそれ」

笑いながら車の中に乗り。私達は目的地へと出発した。




目的地までは40分くらいの道のりだ。その間私達はメールで話していた音楽についての会話をしていた。

「じゃあ奈央ちゃんミュージック聞かせよ」

彼がそう言い、車のオーディオを操作する。

どうやら無線接続でスマートフォンや携帯オーディオプレーヤーから車内に流せるようだ。

好きな曲を共有出来たら嬉しいな。と思う反面、もし気に入らなかったらどうしようと考えてしまう。

「気に入らなかったら言ってくださいね」

私はスマートフォンを操作して、なるべく多くの人が知っていそうな曲を選択した。

「あ、この曲良いよねー!」

と彼は楽しそうに指先でリズムをとり始めた。

良かった。と私は安堵する。

「実は音楽についてメールしてた時にさ、奈央ちゃんが聞いてるって言ってたやつはほぼチェック済みなのだ。チェックだけの筈がおれもハマっちゃってさ」

相変わらず楽しそうな表情を浮かべながら彼が話す。

こんなにも人に、それも異性に興味を持たれた事ない私は、慣れない言葉の選択肢から「そうなんですね」と何の飾り気の無い言葉を返す。

「そうなんですよー!」

彼が私と目を合わせニコッとする。「おっと危ないね」と視線をすぐ戻し「ははっ」と笑う。

そうやって話していく内に、デートなんて初めてことだったが、彼との空間の居心地の良さや楽しさを自然と感じていった。

そして車は目的地に着く。

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