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  作者: 東ノ 蜆
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着信②

それから約一週間。約束の土曜日まではあっという間に過ぎていった。

その間、彼は私と会社で顔を合わせるといつも通りに「おはよう」や「お疲れ様」という挨拶を交わす程度で、他に接触をしてこようとはしなかった。

そんな様子なのであの時のメールが夢か何かだと勘違いしてしまいそうだが、あの日以降、彼はメールを毎日送ってくるようになったのでやはり現実なんだと認識出来ている。

その内容は天気の話や、好きな食べ物、音楽の話などありふれたもの。デートの内容についてだった。

その中で一つ私が答えづらかったものがあった。

それは

『スマホなのにメッセージアプリは使ってないんだね』

という彼の疑問だった。

私はメッセージアプリを使っておらず、人との連絡手段はキャリアメールか電話だ。

友人にもなぜ使ってないのか、使いなよ、とよく言われる。その時と同じように私は簡単に彼に答えておいた。

『なんとなく人間関係に縛られちゃいそうだからです』

友人とは皆ほとんど、当たり障りのない話をして、「気にしすぎだよ、気が向いたらやってね!」と言われそれっきりなのだが、彼から届いた返信は今までの誰とも違った。

『縛るのは自分でしょ』

彼が言いたいことはすぐにわかった。メールよりも連絡頻度、距離感の近いメッセージアプリを使い始めたら、私は間違いなく人間関係を気にしてしまう。既読無視だとかグループでの会話でいざこざがあったなんて話を耳にするからだ。その、気にしてしまう事を気にすることについて、彼は私が私自身を縛ると表現したのだろう。しかしその慎重で気にしすぎなのが、私なりの大切な人達との付き合い方なのだ。

『私は私に合った人との付き合い方をしてるだけですよ(笑)』

なぜか自分が責められてる気がして少しムっとしたが、感情を抑えるように笑いマークを付けて平常心を取り繕う。

すると彼は

『そうだよね!ごめんごめん(笑)ところでさ・・・』

と何かを察したのか私の機嫌を伺い、またありふれた何でもない話に戻っていった。




そうして約束の土曜日。デート当日を迎えた。

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