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かぐやうさぎ

作者: 翡翠 白亞

こんにちは。はじめましての方ははじめまして。

翡翠 白亞です。

このお話を開いていただきありがとうございます。

七夜から久々の投稿です。


9/27は中秋の名月ということで月に関する短文を書いてみました。

短いお話ですが最後までお付き合いいただけたら幸いです。





―かぐやうさぎ―



もうすぐ十五夜。

1年で1番、月が綺麗な日で月の国の姫様が屋敷から出て国の神社で月見をする日です。

月見にはたくさんのお団子がいります。

月の神に捧げるもの、姫様が自分と月の国の平和と無病息災・五穀豊穣を願い、食する物。

そのお団子はとても大事なものです。

そんなお団子を作るのは月の国の住民の兎です。

兎たちは普段は月の番人。しかしして十五夜ではお月見会場に必要なお団子を作り、神社にお供えをする巫女です。


この日を恐れながら楽しみにしている兎がいます。名前は美羽みうです。

美羽は姫様が大好きです。恋愛感情でも友情でもどちらの意味でも大好きです。ですが、姫様は月の若様と結婚をしています。美羽には届かない存在です。

しかし、思いを伝えるにはチャンスがあります。唯一、表に出てくる十五夜のその日です。お供えのお団子にこっそり手紙を書けばいいんです。 

・・・しかし、美羽のお団子は味も形も悪くて恥ずかしいと他の兎に我先にと捨てられます。


けれど・・・


どれだけ落ち込もうと姫様の月見は今年で最後です。

何故なら、姫様のお腹には赤ちゃんがいて赤ちゃんがあまり調子よくなく屋敷に籠るからです。

チャンスは一度のみ。美羽は「今年こそは」と何日も前からお団子作りを練習します。



・・・

・・・・・・・

・・・・・・・・・・・



美羽は来る日も来る日もお団子を丸めました。


・・・・・・・


そして、月見の日がやってきました。



完成したのは、ほんの少ししかうまく出来ていないお団子です。

諦めて、このお団子を出すことにしましたが美羽はフラつき倒れました。

無理もありません。もう何日も眠ってなくずっとお団子作りをしていたので疲れがたっていたのですから。

しかし、美羽はふらふら立ち上がり、つたない足取りで神社にお団子を持っていきました。【姫様に】。この思い一筋が美羽を動かしています。


会場には既に他の兎の綺麗なお団子が並んでいます。

美羽は綺麗なお団子に圧倒され、月見部屋の端っこに置きました。

そして、そのまま美羽は眠たくなり床に寝そべり、眠ってしまいました。


「・・・しい」


「・・・・・おいしい・・・」


まどろみの中の美羽の長い耳に優しくもどこか弱弱しい声が聞こえました。


「美味しいわ。ずっと食べていたい」


そして、はっきりと聞こえたその一言に美羽は起こされました。美羽の視界には夢にまでみた姫様がいました。そして、その姫様が美羽の美味しくないお団子を食べているではありませんか!

「あら?」

姫様は何かに気付いてお団子を食べる手をやめ、ヨロつきながら立ち上がって美羽に近寄ってきました。

「兎さん。このお団子は貴方がつくったの?」

姫様は美羽にそう問いかけました。

美羽は「はい」と答えると姫様は微笑みました。

「誰の為にですか?

このお団子、とても、とても愛されている味がするの。素晴らしいわ。

ねえ、誰の為に作ったの?」

美羽はその一言に立ち上がりました。

「お姫様が大好きです!お姫様の為に作りました」

姫様は小さな美羽を抱きました。

すると不思議なことに美羽は体の疲れなどスッと消えて体が軽くなりました。

「とてもうれしいわ。 ねえ、兎さん。私の正式な巫女になりお友達になりましょう」

姫様は明るい声でそう言いました。美羽は「喜んで」と答えました。


そして、美羽は姫様と若様とそれからずっと過ごしました。

美羽を迎えてから良くなかった赤ちゃんが良くなり、元気に生まれてきました。

美羽は月で一番幸せで幸福をもたらす兎となりました。


―兎、兎。

何を思ってお団子を丸めますか?―


大切な人に思い込めて一生懸命、丸めます。


お疲れ様です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。



―翡翠 白亞―


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― 新着の感想 ―
[良い点] 兎の美羽が健気で、可愛らしく思えました。 ハッピーエンドになって良かったです。 [一言] ありがとうございました。
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