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異世界迷行記  作者: 田中
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第二十五話 ~ダンジョンの探索(1)

本格的にダンジョンを探索します


 今日は2度目のダンジョン探索だ。

前回と同じようにダンジョンに入る。

前回との違いは灯の魔法により、見える範囲が格段に広くなったことだ。

これにより警戒はずいぶん楽になったように思える。

気配探知で敵の気配は大体わかるといっても、見えるのと見えないのではかなり違うことが良く分かった。


 今回は灯で照らされる範囲が広いのでスムーズに進めている。

道は前回と同じように進んだ。

途中、前回と同じようにゴブリンを数匹倒した後、スライムがいた小部屋にたどり着いた。

今回もスライムがいる予感がしたので警戒をしながら部屋の中央辺りに進むと奥の壁からグリーンスライムが染み出してきた。

しかも今回は2匹だ。


「セシリー、防御態勢。ロミーとアニーは後方警戒」


 セシリー達に指示を飛ばして、自分はグリーンスライムに突っ込む。

剣を腰に戻して逆側に吊るしてあった対スライムに入手した鉄のメイスを手に取る。

突っ込んだ勢いのまま、メイスを手前に染み出したグリーンスライムに叩きつけた。

すると、まるで熟れたトマトを棒で潰したような感触と音がしてグリーンスライムが飛び散る。


「……あれ?倒しちゃった?」


 どうやら、鉄のメイスだと一撃でグリーンスライムは倒せるようだ。

前回の苦労はなんだったのか……


「ご主人様、もう1匹がきます!」

「えっ? なっ! うおっ! 危なっ」


 とか考えて油断していたら、もう1匹のグリーンスライムが攻撃をしてくるところだった。

と、その瞬間、セシリーがグリーンスライムと自分の間に入ってきて、鉄の盾で攻撃をいなす。

そのおかげで自分には攻撃は当たらなかった。

正直、1匹目を倒した時にあまりにも拍子抜けしてかなり油断していたので、無防備なところに攻撃を受けるところだった。


「ふぅ…… セシリー、助かった」

「いえ、それが私の役目ですから」


 セシリーがグリーンスライムの攻撃をいなして続けている。

グリーンスライムは攻撃が遅いため、セシリーでもなんとかいなせているようだ。

セシリーがいなした後の隙をついてメイスで叩き潰す。

やはり、一撃で倒すことができた。


「さすがご主人様です」

「いやいや、敵が残っているのに油断は禁物だね。セシリーありがとうね」


 セシリーが褒めてくるが今回はちょっと反省だ。

敵が目の前にいるときは気を抜かないようにしなければ。

ただ、スライムが鉄のメイスだと一撃で倒せることがわかったのは収穫だ。

これで、ダンジョン探索が楽になる。

後で余裕ができたらセシリーにも攻撃させてみるのもいいだろう。


 小部屋の魔物は殲滅したようでそれ以上は魔物が現れなかったので、グリーンスライムのコアを拾って、小部屋の反対側にある通路から小部屋を出る。

先には更に道が続いているようだ。

今度は油断しないように先に進むことにしよう。


・・・・・・


 それから数時間ほどダンジョンを歩き回った。

途中、ロミーにも灯の魔法を使ってもらって灯を2倍にしてみたら更に快適に探索できるようになったり、セシリーにグリーンスライムを殴ってもらったらやはり一撃だったりと色々新しいことがわかった。

それに探索の途中で下の階層に降りる階段を見つけたり、小部屋でゴブリンの集団にあったりと、順調にダンジョンの探索を進めることができた。

今回は大体でマップも書きながら探索を進めたので、第一階層のマップも概ね完成したと思う。


「第一階層のマップも大体作れたし、今日はこれくらいにするか」

「そうですね。魔物も多く倒せたし、私達も疲れてきたのでいいのではないでしょうか」


 セシリーは口では疲れたと言っているが、あまり疲れていないようだ。

おそらく、ロミーとアニーに疲れが見えているのでそれを気遣ったのだろう。

ロミーとアニーはまだ幼いため仕方がない。

色々話を聞いていると、成人(15歳以上)と成人未満(14歳以下)では体力や能力値にかなり差が出ることが多いようだ。

自分の仮説としては14歳以下の場合は能力値などに制約がかかり低い値となっており、15歳で能力値の制約が無くなるのだろうと考えている。


 それはそれとして了解も得られたので、ダンジョンから戻ることにする。

帰りはマップもあったので1度魔物に遭遇しただけで戻ることができた。

外に出ると昼もだいぶ過ぎて夕方が近い時間となっていた。

それでも外の空気が美味しかったので大きく伸びをしながら深呼吸をする。

横を見ると、3人とも同じことをしていたので、やはりダンジョンは息苦しかったのだろう。


 自分もそれなりに疲れていたので、ゆっくりディケロの町に戻ったが、日が落ちる前に町に着くことができた。


「今日は疲れただろう。ギルドでクエストのクリア報告してくるから、先に宿屋に戻って休んでていいぞ」

「……すいません、そうさせてもらいます」

「そうしてくれ」


 セシリーは反論しかけたが、後ろの妹達を見て素直に戻ることにしたようだ。

自分もさっさと報告して宿屋に戻ろう。

セシリー達を先に宿屋に返して冒険者ギルドに入る。

カウンターに行くといつもの男性職員がいたので挨拶をしておく。


「こんにちは、昨日はありがとうございました。

おかげで今日のダンジョン探索は順調でした」

「お疲れ様です。お役に立てたようで何よりです」

「今日はダンジョンでだいぶ魔物を倒せたので、クエストの清算をお願いします」


 今日の戦果であるゴブリンやスライムのドロップを渡して清算をしてもらう。

すぐに清算が終わり、男性職員が報酬を渡してくれる。


「ランクEが6件、ランクDが12件で銀貨15枚になります。確認をお願いします」


 確認して問題ないことを伝えると、男性職員が話しかけてくる。


「ドロップから見て第一階層を探索されたのだと思いますが?」

「今日は第一階層だけを探索しました」

「もし、近いうちに第二階層やそれ以下に行かれるなら魔物が強くなりますから注意してください」

「どんな魔物が出るのですか?」

「詳しい理由は分からないのですが、上位種がいることが多くなりますし、同じ魔物でも強くなるそうです」


 そうなのか……

下の階層は魔素が濃そうだから魔物が強化されるとかあるのかもしれない。

何にしても今日の感じだと、明日は第二階層を探索してみても良いだろう。

せっかくの忠告なのでありがとく受け取っておこう。


「忠告ありがとうございます。明日はより注意して探索をしてみます」


 お礼を言って冒険者ギルドを出て宿屋に戻る。

明日は第二階層の探索だし、気合を入れていこう。


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