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異世界迷行記  作者: 田中
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第二十話 ~セシリー達を強化する(2)

パーティでの狩り


 今日はセシリー達を連れての初めての狩りだ。

冒険者ギルドで聞いたところ、ディケラの近くにもトリケラと同じようにコボルトやゴブリンが出る狩場があるようだ。

ついでに聞いたところ、モノケラも同じようだ。

どうやら、コボルトやゴブリンのドロップは人々の生活用品の加工材料として必要なもののようだ。

そのため、ある程度の数が入手しやすい場所であるコボルトやゴブリンの繁殖地の近くに町が作られるのだろう。


 朝食をきちんと食べてから装備をつける。

3人とも武器防具屋で付け方は教わっていたが、初めて付けるので多少手間取っているようだ。

セシリーはすぐに自分の分を付け終わり、妹2人の手伝いをやっている。

さすが若くても姉なんだなあと少し和みながらそれを見る。

きちんと装備したことを確認したらコボルトの森に向かうことにする。

コボルトとゴブリンのどちらにしようかと悩んだが、ここは慣れているコボルトにしてみた。


 ディケラの近くになる森はトリケラの森とは違う森だが、雰囲気や道の感じ、敵の感じ方などは同じ様だ。

やはりコボルトも同じ様な環境に住むのだろう。

道を歩きながら気配を探っていると比較的近くに数匹の気配を感じた。

3人を連れて道から外れて森の少し奥に入ると、感じたとおりコボルトが2匹いた。

ここは、自分が敵の攻撃を受けつつ、セシリー達に攻撃をさせる形が良いだろうと考えて指示を出す。


「セシリー、ロミー、アニー、自分がコボルトを牽制するから隙を見て攻撃しろ」


「わかりました」


 セシリー達は緊張感を漂わせながら武器を構え始める。

それを確認していて自分はコボルトに突っ込む。

普通に攻撃すると一撃で倒してしまってセシリー達の練習にならないので、盾で威嚇をして反撃してくるのを往なす。

そうやって何度か攻撃を往なしていたら、1匹のコボルトが体勢を崩して倒れた。

そこにセシリーが鉄の長剣で斬りかかる。


「やぁー!」


と気合を込めた叫びをあげて上段から斬り下げる。

攻撃は上手くあたったり、コボルトはダメージを受けたようだがまだ倒れないようだ。

そのままだとセシリーに攻撃が向きそうだったので盾でコボルトを威嚇して攻撃をこちらに向ける。

そこをロミーが後ろから木の杖で殴りつけ、更にアニーが槍で突く。

さすがにコボルトはそれで倒れて牙が残った。

残った1匹も同じ様に盾で往なした後の体勢を崩した隙に3人が攻撃をすることで倒すことができた。


 2匹目のコボルトが消えて牙を残したのを確認してから3人に声をかける。


「よし、お疲れさん。怪我はないか?」


「お疲れ様です。私達に怪我はありません」


とセシリーが疲れたような感じで答える。

攻撃は向かなかったはずだが、やはり初めての戦いだったので気を張っていたのだろう。

気配を探ったところでは近くに敵はいないようだし、少し休憩をさせよう。


「怪我はなさそうだが疲れたようだな。少し休憩していこう」


事前に買わせておいた各自のコップに「水滴」の魔法で水を入れて渡していく。

3人とも受け取った後は座り込んで水を飲んでいる。

せっかくなので、先ほどの戦いで気が付いたところを指摘する。

そんな指摘できるほど自分も慣れているわけではないが直せる部分は直しておこう。


「セシリー、攻撃時に声は出さないほうが良いな。

声を上げるのは自分に気合を入れるためや敵を威嚇する時だけだ。

特に背後からの奇襲時などはせっかくの奇襲なのに相手にわかってしまうしな」


「ロミー、攻撃する時はセシリーと挟み撃ちで同時に攻撃すると良いぞ」


「アニー、戦闘時は自分の後ろの方にいて、敵を狙ったほうが安全だ」


 もちろん、3人にはよく戦ったことは褒めて指摘をする。

3人共それぞれ指摘部分を理解したようで色々考えてくれているようだ。

特に下の2人は戦っていかなければならないというのが身に染みたのだろう。


 次にコボルトを1匹見つけたときには、セシリーに盾役、ロミーとアニーが攻撃の形も試してみた。

セシリーは妹2人が後ろにいるためか、安定した盾技を見せた。

セシリーの元々の素養もあるのかもしれないが上手く育てば安定したタンカーになれるかもしれない。

日本で言えば高校生の女の子にそんなことをさせるのに多少罪悪感は感じるが、彼女達が戦って生きていくためには必要なことだろうと自分を納得させる。

そんなことを考えながら見ていたら、無事にコボルトを倒すことができた。

多少時間はかかったが、セシリーの活躍もあり、全員無傷だ。

先ほどよりも長く戦っていたが、直接戦ってアドレナリンでも出たのか比較的元気そうだ。

そのまま次に行けそうだ。


 その後、コボルトリーダー+コボルト数匹の集団やコボルトが5匹などの集団も見つけて倒したが、セシリーはコボルト1~2匹であれば問題無く盾役をこなせるようだ。

時間もお昼を過ぎたところで、少し早いが引き上げよう。

今日は、コボルトリーダー3匹、コボルト15匹倒せたのでパーティー初日としては十分だろう。


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