第二話 ~異世界をさまよう
さて、異世界にきてしまいました。
「異世界、異世界ねえ……」
言葉にすると何とも言えない響きがする。
日頃の読書の結果、異世界と判断してしまったけど確定したわけではないので仮定としておこう。
さて、異世界というのはとりあえず受け入れて、これからどうするかを考えないと。
これからどうするか……
どこに行くかは、ここがどこかわからない。
行動するにも状況もわからない。
結局、何も情報がない時点で考えても仕方がないということか。
まずは人がいるところを見つけて情報を集めてからだな。
さっきみたいに襲われるのも怖いのでさっさと安全そうなところへ行こう。
道があるんだから、どこか人の住む場所に通じてるよね。
そういえば、さっきの仔犬はやはり魔物やモンスターなんだろうか。
服着てたし、目は血走ってたし、普通の動物じゃないよなあ。
でも、動きはそれほど速くないし、怖さは感じないんだけど。
他に怖い魔物がいたら嫌だけど、でないことを祈るしかないんだよなあ。
そうだ、さっきの仔犬が消えた場所にあった牙は拾っておこう。
何かの役に立つはずだ。
とここまで考えて、道なりに進むことを再開する。
先ほどの襲撃を踏まえて、周囲の警戒は怠らないように進む。
途中で仔犬に襲われる、撃退するを繰り返すを何度か繰り返す。
すると、だんだん慣れてきて、襲われる気配を感じれるようになった。
ふと考えてみると、ここまで結構な距離歩いてる割に体が疲れないなあ。
しかも、歩きながら警戒やら仔犬の撃退やらしてるのになあ。
30になって体力の衰えを感じてたはずなんだが、衰えどころか体力が増してる感じするな。
「まさか、これが噂の異世界チート!」
なんて独り言を言いながら歩く。
一人暮らしが長くなると、独り言が増えていかん。
なんて考えながら、歩いているとようやく森の出口が見えてきた。
ちなみにここまでに倒した仔犬は10匹。
牙も10本。
森を抜けて久々の解放感を味わいながら周りを見回すと、かなり先だけど町のようなものが見える。
やっと人に会える!